プロローグ:ズレたレール
「こらっ、館田! また授業中に居眠りか!? お前今年で卒業なんだから、少しはしっかりしたらどうだ。」
寒い外とは逆に、人が集まって眠たくなる様な心地よい暖かさの教室で、眠気覚ましの担任の説教がとんだ。
「ふあぁ~、寝てませんよ。机といつもより深くスキンシップをとっていただけで~す。」
「またお前は訳の分からんことを、私はお前の進路がどうなるか心配でならん。」
別にどうでもいいよこの先のことなんて・・・・・・。
「いいか、今何をしたかで未来は大きく変化するんだ。少しの努力、考えの方向性、それらが混ざり合って将来が出来上がってくんだぞお前たち。」
そんな大層なもので出来た将来なんて俺はいらないかな。今のまま適当に生きて出来た未来ならどんなものだって我慢するさ・・・・・・。
「とにかくだ、今頑張らないと、この先苦労することになるからな、このことを良く覚えておくように。」
聞き流していたつもりなのに、あの時の担任の話を今でも覚えている。
「あの時、俺もなにかしら努力していたらこんなめんどくさい未来にならなかったかもな。」
「ちょっと聞いてますか、浩也! あなたこれ以上授業に出席しないとヤバイのわかってますか!? あなたの立場上、留年なんてできないんですからね。もっとしっかりしてください。」
今度は同級生に説教されるし。
「まぁまぁ、翔ちゃん。ここはひとつ、お茶にでもして落ち着きましょう。と言うことでコウさん、お菓子買いにひとっ走りして来てもらっていいですか?」
なぜかナチュラルにパシリをさせられようとするし。
「京華、ずるい。ラミも、お菓子、欲しい。コウ、ラミも一緒に、連れてって。」
両手を俺の方に伸ばして連れてけっちゅうことは、つまり担いで行けと? 体力とメンタル的に辛いわ!!
狭い一室で、美女三人との男子なら誰もが羨むシチュエーションのはずなのに、この仕打ち。
どうしてこんなことになってるんだろうか。
館田 浩也十六歳 、ある事情から学園最強やってます。