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もう一度異世界へ  作者: 池田 真理奈
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41 聖竜の旅14 伴侶

更新が遅くなりすいません。

「む、この姿では分からんか・・・」


美青年の身体が小さくなり、目の前に現れたのは、エルフの村で出会ったセイクリッドだった。

「ええーーー!セイクリッド!え?どうして?」

優華は、ディークラールハイトとベンダーバールの間から顔をのぞかせて、エルフの村で出会った子どもが、実は美青年と知って、混乱していた。



「姿ならば、いつでも変化できる。性別も女性になろうと思えば、簡単な事だ。」


ほえーーすごい変身技です。ラミパスラミパスルルル??

あっこちゃんもびっくりだよ。


「優華、そなたが気に入った。我の伴侶になれ。その証として、首飾りを渡したのだ。」


はあ??伴侶?伴侶?

伴侶って、あれですよね。ちまたで言う夫婦って事ですよね?

・・・意味わかんない?

首飾りが証?え・・・もしかしてーーーそれ知ってて、ルミエールさんは驚いていたの?

どーーして教えてくれないのよ~~!


いきなりの『伴侶となれ』発言で、言われた本人だけでなく、周りはみな一様に驚き、優華に好意を抱くものは、怪訝な顔をし、モンソンは剣に手をかけたまま警戒している。


優華はたまらず、2人の間から割って、セイクリッドの目の前に歩み出た。


「あのね、セイクリッド、まずお互いの気持ちを確かめて、両思いなら付き合って、その先のずっとーー延長線上に結婚という言葉があるの。すっとばして、いきなり『伴侶』と言われても無理だから!!」


『ふはははーーーお前振られたな!愉快、愉快!』


甲高い、威圧感のある声が森の中に響き渡った。その声は、頭から響いてくるような不思議なものだった。


「親父殿、笑い事ではありません。私は優華を伴侶にと、固く決めたのです。」


『この娘を伴侶とするには、骨が折れるぞ。』


「それは心得ております。この世界の王、『守り人』、それにごく最近ですが『騎士の誓い』をかわした人物もいます。」


どうして・・・騎士の誓いの事まで知ってるの?セイクリッドが知るはずもないのに・・・。


『この森で起った事であれば、我らに知らぬ事はない。我は、そなた達が探している聖竜。』


ええ・・・??聖竜さん!

まさか私の心読みました?

という事は・・・セイクリッドは聖竜の息子って事になるよね?

って私・・・聖竜さんの息子にプロポーズされたのお~~??


「先日、エルフの村に気まぐれで立ち寄ったところ、エルフでもない、人間でもない気配がしたため、興味を持った。会って、人目でわかった。償還されし者だと」


はあ、そうだったんですか。私はセイクリッドの事を、ハーフエルフの子どもと勘違いしてたんですけど。


「高飛車な鼻につく女かと思っていたが、話をすると心根が優しい、面倒見の良い、飾らないところに惹かれた。優華、もう一度言う。我の伴侶となれ」


吸い込まれそうな紅い眼で、すっごい、みつめられてるんですけど・・・。

そんな事、面と向かって言われると・・・恥ずかしいよう。

第一、セイクリッドが聖竜の息子だって、知っていたら、違う態度になってたと思うし、勝手に気に入られてもね・・・。


周りは、『聖竜』と聞いて驚愕し、戸惑っていた。幾日も、森で捜索していたが、みつける事ができなかったその『聖竜』が、自ら名乗ったのだ。

周りの戸惑いとは違う感情の者がいた。優華に『伴侶となれ』と言った聖竜の息子と思われる人物に対して、殺気をむき出しにし、気の短いストラヴィンは、セイクリッドの前に歩み出た。


「おい!聖竜!コソコソしやがって!声だけかよ!姿を現せ!それにお前!優華は伴侶にはならねえよ!」


『守り人か・・・この世界は酔狂だ。こんな若造を選ぶとは・・・。』


「礼儀もわきまえず。無礼な。」


「なんだと!」


セイクリッドに飛び掛りそうになったストラヴィンの手をつかんだのは、ベンダーバール、ディークラールハイト、カバリュオだった。


「聖竜の息子に手を出そうとするなんてーちょっと落ち着きなさいよー」

「ストラヴィン様、冷静に」

「そうです。冷静に・・・」


まあ気持ちはわかるけど、その言葉はベンダーバールの口から発せられる事はなかった。

相手が悪すぎる。

優華ってば、やっかいな奴に気に入られたわねー。



『償還されし者よ。我の息子の伴侶となるならば、そなたに加護を授けてもよい。』


「ふざけるな!」

3人に抑えられながら、ストラヴィンは身動きはとれず、口のみが動く事しかできなかった。

今の言葉を聞いて、ストラヴィンだけでなく、他の者まで聖竜に対して怒りを感じていた。


「いい加減にしろ。聖竜は、女の子を困らせるのが趣味か?」


それまで、剣に手をかけていたモンソンが、聖竜の発言で何かのスイッチが入り、いつもとは違う別人のような冷めた目線になり、冷気をまとっていた。



「お断りします」


優華のその短い一言に、冷静でなかった周りは静まり返った。守り人、カバリュオ、モンソン、サルバティエラ、他の騎士達は、一斉に優華に視線を向けた。


『我の加護はいらんというのか?』


「はい。その条件ではのめません。私は物ではありません。」


『ふはははーー物ではないと申すか!おもしろい女子おなごだ!』


何が面白いのよーーー私の意思は完全に無視だし、ほんとこの親子は、似たもの同士!

『恩恵』で私を思い通りにするなんて、最悪!


『世界から償還されし者は、この世界のいにしえの歴史を詳しく知らんであろう。』


「え、あ、はい。過去に戦争があった事は聞きました。そのため転移の魔方陣は新しく作ることはできないという事ぐらいです。」


優華は、なぜいきなりこの世界の歴史を聖竜が口にするのか、疑問に感じていた。


『そうだ。転移の魔法陣は、諸刃の剣。

いにしえ、様々な国があり、その国々にはそれぞれに王がいた。

盟約を結び、戦争はしないと誓い合っていたが、ある国に魔力を秘めた『魔鉱石』が発掘された。

それによって富を得た国に嫉妬し、他の国は盟約をやぶり、『魔鉱石』を奪いあう長い戦争が始まった。

戦争が始まり、転移魔法は敵国へとたやすく赴ける『戦争の道具』となった。

その戦争は、長きに、たくさんの血が流され、草木が燃え、精霊たちは嘆いた。

その長い戦争が終わったあと、世界から人間たちに『国』という存在を無くすよう命じられた。

ただ、唯一無二の存在であるひとりの『王』のみをおくことを、固く約束させられた。


あの小坊主のアルカサルは何代目の王だったか・・・


そしてこの場の騎士の中にいにしえの国の王の子孫である者がおるようだ。なんとも運命というのは、面白いもの。


人間というのは、愚かな生き物だ・・・』


「人間は確かに愚かだし、過ちもいっぱい犯します。

私の世界でも「第二次世界大戦」という長い戦争がありました。でも、その戦争から平和への思いを込めて、私の国には「戦争の放棄」という法律が作られました。

私は、人間が愚かという言葉だけでは片付けられないと思います。過ちを後悔し、修正しようとする事もできるのだと思います。」


『そなたは・・・愉快な事を申すな・・・』


『小坊主のアルカサルに、魔法効果が増すと言われて、我を探しにきたのであろう。残念だが、恩恵を受けたからといって、そのような効力はない。』


へ?

王が嘘を言っていたってこと?


いにしえの者たちが、誤ってそのような事を書物に書き残した。『守り人』のシェルフトと申したか?が、その書物に書かれた事を鵜呑みにしたにすぎん。書物に記載している事が、必ずしも真実とは限らん。』


そんな・・・何のためにここまで苦労して、みんなで頑張ってきたのよ。

せっかく聖竜さんに会えたのに・・・。


『召還されし者、努力の対価を求めてはならん。この世界は、常に不条理だ。』


や、やっぱり心読んでるよう。聖竜さんには、絶対ウソはつけないなあ。



『我の息子の伴侶となれば『恩恵』を授けると言ったのは、そなたを試したのだ。すまなかった。』


ええ、冗談だったの?私達の反応を見て、何を試したの?

周りのみなさんの気持ちはどーーなるのよ!



『守り人、騎士達よ。謝罪の代わりに、特別に、我の力で城まで帰還させてやろう。』



城まで帰還?

え。ちょっと。まだいろいろ聞きたいことが・・・

私の記憶とか、世界の事とか!


突然、優華たちの足元がまばゆい光で覆われたかと思うと、聖竜を探す旅の一行は、全員その場から忽然と姿が消えた。



『真実は、目に見えるものではなく、自分自身の中にあるもの

償還されし者よ・・・真実は、自分自身で見抜け。』


聖竜からの別れの言葉の意味が、今の優華にはまだ理解する事ができないでいた。




次でようやく城に戻ります。モチベーションが下がり、最近書くペースが落ちています。感想、激励など書いて頂けるとありがたいです。

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