突然異世界へ
優華は、20代後半にさしかかって、少し焦っていた。
今の彼氏とはうまくいってないという訳ではないが、5年以上付き合っていると、「結婚」のタイミングをのがしてしまった。しかも、彼氏は実家の家業をいずれは継ぐことになっており、結婚後に姑とうまくやっていけるかという不安もあった。
このままでいいのかな・・・。
別れて、普通の会社員と付き合った方がいいのかな・・・。
彼氏は、ほんとうに私のことが好きなの?
ああ!誰でもいいから燃えるような恋がしたい!
会うたびにドキドキするような、そんな恋が!
そんな思いをめぐらしている優華
髪はストレートで肩より少し長く、顔立ちはかわいらしく、身長は155センチと低め。
実際年齢より、ずいぶん若く見えるため、初対面の人に年齢を伝えるとかならず驚かれる。優華はこの自身の幼い顔立ちがとてもコンプレックスで、大人ぽい女性に憧れている。
あ!待ち合わせ時間に遅れちゃう!
今日は大学時代の友人達と、会う約束をしている。
急いで用意をして、あわてて自宅をでた。何とか今なら待ち合わせ時間に間に合いそうだ。
「久しぶり!」
ぎりぎり待ち合わせ時間に間に合った優華。
1年ぶり以上の再会で、懐かしい友人達。
居酒屋の個室へ、5人が座れる広々としたところだ。
幹事の知美から「存分に食べてね!食べ放題飲み放題だから!」
「ハイハイ!とりあえず生中の人!」
リーダー役の知美、とてもしっかりして、お姉さん的な存在。
知美は、ベリーショートで、身長は165センチでスタイルがよく、目が少しきつめな印象。
短パンにTシャツというカジュアル服だが、スタイルがよく町を歩いていると、目をひく存在。
雄也は、少し赤みをおびた髪を、軽く先端のみパーマをかけている。ボーダー柄の半そで、その上から紺のブラウスを羽織り、胸にはチョーカーをつけている。服装には自身のこだわりがあり、目がくりくりして、かわいらしい男の子という印象。お調子者でみんなをいつも笑わせてくれる。
一樹は、黒髪で無造作に耳までのばして、ナチュアルスタイル。メガネをかけているため、一見すると、とても真面目でとつきにくそうな雰囲気ではある。ゲームおたくで、多趣味のため、いろいろ物知りで、何かあったときに頼りになる。服にあまりこだわりや興味がなく、会社に行く以外はジーパンと決まっている。
さゆりは、茶髪の髪を肩より10センチほどのばし、ふるゆわパーマを先端でかけている。白いふわ~としたワンピースを、胸元にはかわいいチョーカーをつけている。身長は160センチ近くあり、優華よりすこし高いぐらいである。派手な服装は好みでではく、ナチュラルな服装を好んで着ている。大人しく、口数は少ないけど、ここぞという時に的確に的を得た発言をする冷静沈着なタイプ。
久しぶりの再開で、友人達との会話が弾む、雄也はあいかわらず調子にのってばんばん生中を注文して、知美は料理がきたら取り皿に分けてくれて、一樹はみんなからの困りごとの質問に難なく答えて、さゆりはそんな友人達をうれしそうに見ている。
優華はというと、いつもの通り、友人達からの受け答えに的外れな返答し、笑いを誘ってみんなを和ましている。天然で、明るい性格のため、憎めないタイプである。
友人達との楽しい会話がはずんでいると
『・・・めさま・・・・』
『どうか・・・もういちど・・・たす・・・てください・・・』
優華の頭に微かに聞こえる声
???空耳??え??なんていってるの??だれ??
優華が困惑していると急に地面がグラグラと揺れだした。
「え??!!地震!??」
5人はあまりの揺れに大騒ぎ、その途端に周りが一面真っ暗になり、魔方陣が足元に光っていた。
「きゃーーー」
「うわーー」
それぞれに悲鳴をあげている。足元の魔方陣がさらに光だし、優華たちの姿がこつぜんと消えた。
どれぐらい時がたったのか。
優華は、いつの間にか気を失っていた。
目を覚ますと、居酒屋にいたはずなのに、地面は芝生、側には湖がある。
え・・・ここ・・・なぜか懐かしい・・・どうして・・・???
こんなとこ知らないはずなのに、そもそも私・・・みんなと居酒屋にいたのに。
「ここどこ??」
優華はあたりを見回し、現状をのみこめないでいた。
優華たちが、魔方陣によって召還されたのは、異世界『イスタシオ』だった。