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もう一度異世界へ  作者: 池田 真理奈
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15 脱出大作戦?

一樹が暴走中です。

オレは一樹。


優華と異世界に召還されてしまったいわゆる「巻き込まれ」ってやつだ。

小説やアニメや漫画で観るような出来事がまさか、自分自身に起こるなんて。

まあ普通の凡人なら、今の置かれている状況を嘆いたりするんだろうな。

ところがどっこい、どっこい!今まで何度も夢に見た二次元だったはずの出来事が、今は目の前に広がっている。

これはもう、オレに楽しめ!と言っているようなもんだ。


『ディーたん』という輝くばかりの美人と尊敬する師匠シェルフト様が、自分たちのいた世界に帰還する魔方陣が1週間後に準備完了との報告を受けた。

凡人なら、「やったー!」なんて両手を挙げて大喜びするところだろうが・・・。


『あと1週間しかないのかよ!』


凡人には嬉しいはずのお知らせが、オレには残念極まりないレッドカードのように感じた。

先日は、友人達とともに町に行くことができたが、あんなもんじゃ足りねえよ!

冒険者ギルドにも行ってねえし、本物の冒険者にもまだお会いしてない。

魔法使いは、城のじいさんに会ったからいいとしてだな。

鍛冶屋や魔法学校や神殿、ダンジョンなんてのもまだ行ってねえし、あーードラゴンにも!!やりたい事が数えきれないぐらいありすぎて、1週間で終わるはずがない。


玉座での出来事から、知美のことが、気になるが・・・あと1週間の辛抱だ。しかも元の世界に帰ったら、記憶をすべて無くすんだ。無問題。


幾度か、町に行きたいコールをするものの、危険だからとか、姫のご友人に何かあったらとか、ことごとく断わられ、このままだと、城にいて書物を読んで、はい~終わり!なんて事になりかねない。

もうこれは強行手段しかない!

という訳で、オレは城から抜け出す作戦を練っていた。


色々つっこみどころが満載で、どこからつっこんだらいいのか分からない状態のイタイ一樹だった。

いつの間にか、ディークラールハイトが「ディーたん」になっていたり、いつの間にか「シェルフト」が師匠になっていたりと、この数日で彼の中で何かがはじけたようだ。



一樹がお城脱出大作戦を考えているなんて思いもよらない優華は、『ディーたん』ことディークラールハイトと城の中庭で小さい妖精たちと遭遇していた。


優華の目前にいるのが、花の精霊たち。

大きさは、優華の手のひらの半分ぐらい、背中には虹色でぴかぴか輝いている羽を広げて、眼はグリーンで大きくまつ毛がばしばしで、とても美しく、可愛らしい姿だ。


「カワイイ!」

「すごいーー綺麗!!」

あまりの愛らしさに優華は、顔がゆるんでしまう。童話にでてくる妖精が目の前にいることで、テンションが上がりっぱなしだ。


「もしかして妖精の粉をかけたら飛べる?なんて事はないですよね?」

有頂天になった優華は、思わず大好きな物語にでてくるシーンを思い浮かべていた。

「粉?ですか??」

不思議そうに優華を見ながら、ディークラールハイトは返答に困っていた。


またやってしまったよーーはあ・・・。この世界にはピーター〇ンの物語はないよね。

だって、本物の妖精が存在する世界だもん。

優華は、大学生時代にたびたびこういった発言をして、周りを驚かせたり、困らせたり、笑われたりしたことがあった。そのたびに自身の発言を恥ずかしく感じたり、また友人がなぜ困惑しているのか分からないことがあった。そのため、自身の発言には極力気をつけてはいるのだが、『守り人』と何度か交流していく中で、優華が気づかない内に心を許してしまい、気がゆるんでいる。


「あ、ええーー気にしないでください!すいません。」

焦って撤回し、恥ずかしくて下を向いてしまう。

今日の朝からほんとに失言が多いなあ。気をつけなければ!と自分自身に気合を入れていた。


優華は、気を取り直して可愛らしい妖精たちを見ていて、ひとつの疑問が浮かんだ。

「どうして今日はこんなにたくさんの妖精たちが?この前、ストラヴィンさんとここに来たときは、妖精達の姿がまったく見えなかったのですが?」


「あーーそれはですね。花の妖精たちはとても、心が繊細なため、ストラヴィンのように感情をすぐ高ぶらせてしまう人は、苦手なのです。ストラヴィンはああ見えて、とても繊細で優しいところがあるんですけどね。」

クスっと笑いながら答えてくれた。


『ああ見えて』ってところにちょっとトゲがあるような・・・。きっと感情的になったストラヴィンさんを毎回止めるのは、ディーさんとベンダーバールさんなのだろうなあ。このおふたりがいなければ、ストラヴィンさんは、暴走しまくり状態なんだろうなあ。

そう思う優華だったが、今日の朝の「抱きつき事件」で、ストラヴィンの怒りを抑えるひとりになっている事が、明日には広く知れ渡ることとなる。


美しくて、可愛らしい妖精に見惚れてしまった優華は、目の前のことだけに集中してしまい、足元がお留守になり、可愛らしくない悲鳴をあげて足を踏み外してしまう。

「うわーー」

「姫!」

そういえばこの前は椅子に座っていたから危険は回避できたのかーーと転倒しながら頭の中で解析していた。

転倒しそうになった優華を、慌てて手を引いてくれたディークラールハイトに助けられた。

ディーが手を引いたことによって、優華は自然とディーの腕の中に納まってしまった。

腕の中でまじかで見る「ブルー」の瞳はとてもきれいで、吸い込まれてしまいそうになる。

女性らしいきゃしゃな身体と思ったが、ほどよく筋肉がついていることが確認できた。


「姫?だいじょぶですか?」

「あああーーーごめんなさい。筋肉が気になってーーー」

はっ私って何言ってるんだ。


「筋肉??」

「えっ、わあ、あのですねー。ディーさんと話していると、同じ女性と話していると錯覚してしまい。すごく綺麗ですので、女性でも男性でもいけるというか、ディーさんこそ妖精というか、筋肉を感じて動揺したというか・・・」

はあ??私なに言ってるんだーーー焦って、言葉が意味不明なことばかり、この場で筋肉関係ある?

どうして筋肉なんか気になるのよーーー!!

自分の発言に自分でつっこんで、混乱している優華の様子を見ていたディークラールハイトは、クスクスと笑い出した。

「姫といると、楽しくて、心が和やかになりますね。」

「いあ、そのすいません。助けて頂いてありがとうございます。」

優華は、筋肉発言して、心が和やかになるものかな?と疑問が浮かんだが、お礼を述べて、深く考えずに打ち消すことにした。


「お怪我がなくてなによりです。しかし、本当に何もないところで転倒されるのですね。」

関心されてしまった。トホホ・・・そ、それは残念ながら、真実なんですよーー。演技とかじゃないです。


「今回は役得でした。偶然とはいえ、姫を抱きしめられましたから」

美形のディークラールハイトに、にっこりと笑顔で言われて、自身の状況を理解した優華。


そうだ!私はディーさんに抱きしめられたのか!とようやく気づいた優華は赤面してしまった。

ブックマークありがとうございます。次回にキャラのラフ画をアップする予定です。

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