第二章 第参拾捌話 盟友約束
【幻の型】
極剣技の1つです。
称号は「剣鬼」です。
特徴は徒手空拳で戦います。武器は使いません。
え?七つ目があるの?と疑問に思うかもしれませんが、あったんですよ。過去形ですけど……。
剣神は六神刀を育て終わった後、最後に弟子を取ったんです。その人は最初の師匠に剣士としては潰されてしまい剣を使えませんでした。剣を握れなくなったそうです。なので無刀の剣士と言うわけです。
その初代剣鬼、弟子は取らない予定だったのですが、色々あって弟子を1人取りました。それがウツロさんです。なので彼女は二代目剣鬼と言うわけです。
ウツロさんはクロトに呼吸法と全技を教えているので、クロトも剣鬼と言えるかもしれません。
彼の知り合い3人が状況に何も言えない中、唯一彼を知らぬキーリが声を掛けた。
「……ところで、貴方は?」
「あ?ああ。クロトだ。宜しく」
笑うのをストンと止めたクロトが名乗る。
「先程はなぜ笑ったのですか?」
キーリが尋ねる。
今の笑いは間違いなく自分が関係している。
「ん?ああ、盟友との約束が守れそうで嬉しくてな」
「盟友?約束?」
キーリの頭上に疑問符が浮かぶ中。
「さて、キーリ・シュヴァレンタイン……さんでいいんだっけ?本名?」
「はい。呼び捨てでもいいですけど」
「あらそう」
クロトがキーリに呼びかける。
「あんたに3つ伝言がある」
「伝言?……まさか!」
その言葉を聞いたキーリの顔が驚愕する。
伝言に心当たりがあった。
それに構わずクロトが続ける。
「まず1つめ。『悪い、決闘の約束果たせそうにねえわ。まさか風邪がここまで悪化するとは思わなかった。つーわけで死ぬわ。だから、コイツに頼む。技は全て託した。弟子取らねえつもりだったのによお、ここまでさせたんだ。覚悟しとけ』だそうだ」
「……2つめは?」
感情を押し殺したような声で続きを促す。
クロトが答える。
「ああ。そして2つめ。『ええと、初めましてデス。私は……まあ本名は長いので略させてもらうデス。色々あって147戦目の戦いを任せられた者デス。アタシが本来果たすはずだったのデスが無理っぽいデス。なので私の仲間に託すデス』だそうだ」
「あ、ああ、あああ」
キーリの顔が歪んでいた。
まるで嬉しさのあまり叫び出したいのを堪えるように。
「因みに3つめは勝った後で言わなきゃならん。許せ」
「では……では貴方は!」
「ああ。俺は剣鬼ティキ・ティックと我が盟友にして、剣鬼唯一の弟子、ウルレルリルティロ・レイルシュトローム・ツァイトレンセンデ・バーバリアーニン・ローバールーニアに変わり、147戦目の戦いを果たすもの、クロト・デジョホンだ」
クロトが名乗る。
いつもの刀を抜こうとしなかった。
両腕両脚にまるで靄のような物を覆い、ガントレットとレガース代わりにする。
そして、構えた。
徒手空拳で挑むつもりのようだ。
それを見たキーリは凄絶な笑みを浮かべる。
両手の剣を身体の前でクロスさせる。
まるで戦う意思を示すように。
「私はキーリ・シュヴァレンタイン。剣聖キーリ・シュヴァレンタイン!!!」
名乗る。
叫ぶように。
歓喜の叫びだった。
「いざ」
クロトが言う。
その顔は嗤っていた。
「尋常に」
キーリが続ける。
この顔も哂っていた。
「「勝負!!!!!!」」
2人同時に叫ぶ。
そして、飛び出した。
【ティキ・ティック】
初代剣鬼です。クロトの盟友ウツロさんの師匠ですね。
飄々としたチャラ男です。因みに死因は病死です。
剣聖とは仲が良く、ウマが合い、よく模擬戦していたそうです。その模擬戦の決着の為に弟子を育てたようなものです。他の六神刀とも付き合いがあり、年の離れた友人みたいな感じだったそうです。
弟子を取らないつもりだったのに、取ってしまったので、晩年には他の六神刀には会いづらかったようです。




