第一章 第3話 剣技
【魔法の発動について】
魔法の発動方法は3種類の方法が確立されています。
簡単に説明します。詳しくはまた後日。
口で唱える方法。歌や詠唱などが当てはまる「詠」、一挙手一投足で発動する。手で作る印や踊り、演武や武術の型が当てはまる「型」、実際に書く。刻印やルーン文字、符などが当てはまる「文」ですね。
因みに発動体は「文」です。
後、●●●●によってはプロセス抜きで発動可能な場合もあります。
* * *
ルーナリアは本気だった。本気と書いてマジだった。
発動機を同時に4つ展開している。かつて彼女が先代十傑第9位を倒した時の装備だ。
髪の毛も邪魔にならないように1つに纏めた。
コレで万全。完全体。野次馬は多いが気にもならない。だが……、
———この不審者……強いよな?
黒ずくめの強さを測りかねていた。
強者には強者らしい雰囲気がある。
燃えている炎の大きさのように。
だがこの黒ずくめからは強さを感じない。弱そうとも感じる。
だが、自分の魔法を一つも直撃せずに、避け続ける技量は相当だ。
———このまま押し込めるか?
相手はここに出てきた時点で大怪我を負っていたうえに、右腕が全く動いていない。
自分も幾つも魔法をぶっ放しているが、元々の魔力量は多いし、魔力回復も結構早い。
「ん?」
顔に手をやった途端、黒ずくめの雰囲気が変わった……ような気がした。
左手に冷気が集まり、氷の剣が作り出される。
表面上の変化はない。だが、何かが変わったのがわかった。
そして、その変化はすぐ表面に現れた。
「!?」
襲い掛かる攻撃。だが黒ずくめは避けなかった。
氷の剣で攻撃を斬り捨てた。かなりの硬度らしく、同じ氷の氷柱だけでなく、火球や蔦、鎖すら斬り捨てる。
どうやら相手も本気になってきたらしい。ならば……、
「これならどうだ!」
岩の棘が地面から湧き出てくる。先程も使った魔法。
だが、数が違う。先程は10程度だったのが、数倍の量はある。
発動機で発動している最中に口で詠唱していたのだ。
魔法の多重発動は難しい。2重発動すら難しいのに、それを5重発動する。
元素使いの本領発揮だった。
それに対し……
黒ずくめは避けなかった。
ただ、剣を腰に構えて、居合抜きのような構えを取った。
そして……。
斬!!!
岩の棘は残らず両断された。
……その代償に氷の剣の刀身は砕け散った。
そして、フードが取れた。
そこから、中性的で一見するとどっちの性別かわからない顔が現れる。
髪は少し長めの黒。金色のメッシュが入っている。瞳の色は黒かった。
おそらくは少年だろう。
「極剣技 風の型 疾風怒濤」
「……今の技の名前か?」
「ああ、あの爺さんいつも技放った後に、技名言っていたから」
「爺さんが誰かは知らないが、もしかして剣神の流派か?」
「よくご存じで。コレ使っていた人より、数段威力は落ちてるけど」
「……そうか」
本当に第3位の関係者らしい。
それにしても、この男は強い。
今の技だけでもわかる。
おそらくかなりの修練で身に着けた物であろう。
———それにしても声が変わったような?
心なしか低くなっている。
しかも目つきがかなり鋭くなっている。
「さて……、どうするお嬢さん。続けるか?続けるのなら、手足の5、6本は持って行かせてもらうぞ?」
「私は節足動物になった覚えはない」
「そうか……、で?」
「わかっていることを聞くな」
「そうか。なら覚悟しろよ?」
一触即発。
少年は新たに生成した氷の剣を構える。先程の居合抜きの構えとは違い上段の構えだ。
少女は幾つもの火球や氷柱、風の刃を宙に展開させている。
それらが放たれようとした瞬間……
轟!!!
暴風が舞い降りた。というよりは風と共に誰かが落ちてきた。
【極剣技】
剣神と呼ばれた剣士が創設した流派の呼び名です。6つの型が存在します。以上。
……え、短すぎる。今回はコレ以上言えないのですよ。詳しくは第二章で詳しくやるそうです。お楽しみにしてくださいな。