第一章 第32話 冷静
【書】
魔法の発動方法の1つです。
書く物を指します。
例えば、魔法円やルーン文字、物に刻む刻印などです。
そして忘れていけない発動機。これには魔法の式が書き込まれています。
なので分類はコレです。
符もこれですね。事前準備が必要です。
* * *
戦いは拮抗していた。膠着していたとも言える。
ルーナリアは動かずに、様々な攻撃魔法を飛ばす。様々な属性が乱舞する。
イスルギは動きながら化身で防ぐ。鋏が魔法を撃ち落とし、甲羅が魔法を防ぐ。
ルーナリアの魔法にはイスルギの防御を突破する力がない。
イスルギの化身は遠隔に攻撃する手段がない。
だが、精神状態はお互いまったく違った。
ルーナリアは冷静だった。
魔力や体力共に十二分。
それに練習に付き合ってもらったディーネの言葉が耳に残っていた。
『戦いは焦っちゃダメだよ。冷静にね』
『冷静に……』
『うん。特に負の感情は出さないこと』
『怒りとか焦りとかですか?』
『うん。特に焦りは禁物。落ち着いて対応すればいい。クロなんて頭冷やすために物理的に冷やすときあるし』
ケラケラ笑っていたディーネ。
『でも、怒りとかは上手く使えればプラスになるけどね』
『そうなのですか?』
『……まあ、今のルーナリアさんには少し早いけどね。もしかしたら見る機会あるかもね。クロはアレで感情の制御上手いから』
———冷静に、冷静に。
魔法を撃ち込んでいく。
前回使った手段は使わない。
そのキャパシティを攻撃に充てる。
拘束はどうせ無駄。
そのキャパシティも攻撃に充てる。
相手が何かしてくるまでこれで行く。
冷静なルーナリアとは裏腹にイスルギは焦っていた。
———何で魔力が尽きない!?
魔法が全然効いてないのに撃ち続けている。
持久戦は望むところだ。
だが焦れてくる。
……使うか?
切り札。切るときか?
考えながら走っていると……。
「足元注意だ。悪く思うな」
時限式の魔法が発動する。
岩の棘が襲い掛かる。
「チッ!」
転げることで、どうにか回避。
「なめてんじゃねーぞ!!!」
イスルギが咆えた。
その途端、化身である蟹が動きを止めた。
そして、殻が剥けるように脱皮をした。
それが第2ラウンド開幕の合図だった。
* * *
化身である蟹の姿が変わっていた。
色が薄い黒だったのが、鮮やかな赤となっている。
「茹でカニゴリラだな」
「いつまでそのネタ引きずるの!?」
相変わらずな2人。
だが、ちゃんと見ているところは見ている。
「魔法効きづらくなっているな」
「アレがカニゴリ君のⅢかな?」
「おーい、移っているぞ~」
グレスがツッコミを入れた。
どうやらあの脱皮がイスルギの必殺技らしい。
脱皮することで攻撃に耐性をつけるようだ。
「なるほどねえ。中々厄介だな」
「でも無効化じゃないのがねえ」
「確かにな」
この2人はその能力について全く恐れをなしていなかった。
まるで敵として出てきても、倒せると言っているようである。
「お前らならどう攻略する?」
グレスの問いかけにバカップルは……。
「別の攻撃方法を使う」
クロトが答える。
「耐性だから、ガンガン押していく」
ディーネが答える。
「まあ、間違ってないな。ヴァンホーエンはどうするんだか」
煙草の煙が空に消えた。
【魔法発動の現状】
専ら発動機(書)が主です。
便利ですし、どうせ全部の魔法使える物好きなんてそういませんし。
後は、一族固有の魔法を受け継ぐのに身体に刻印したり、武術や踊りの型もありますね。
「詠」はあまりいません。覚えるの大変ですしね。
……まあ覚えている物好きもいますけどね。




