第一章 第31話 巨蟹
【詠】
魔法の発動方法の1つです。
口で唱える方法です。
まあ、詠唱ですね。
種類も色々あります。例えば、結界などを発動した後に補強する「後述」、魔力を複雑に編み込み多数展開する「多重」、文を幾つか略す「高速」、言わないでその魔法の名前だけで発動させる「破棄」などなど。
因みにディーネさんは風魔法で詠唱を使って、更に強化ということができます。
後、ジョーカー展開にも詠唱がありますが……、言う人は少ないです。長ったらしいので隙になります。
でも言わないように威力が上がるそうです。まあ、プラシーボ効果かもですけど。
* * *
戦場で向き合う2人。
ルーナリアは髪を纏めての戦闘スタイル。
イスルギは腕輪型の発動機は持っていた。
「じゃあ、始めようか!」
「ああ」
開始の合図のブザーが鳴る。
それと同時にルーナリアは拘束と攻撃の魔法を発動させる。
迫る火球と電撃。蔦と鎖。
それに対し、イスルギは、
「堅甲鋏爪巨蟹」
自身のジョーカーを発動させる。
その途端、攻撃と拘束は消え失せる。
イスルギの後ろにはかなりの大きさの蟹がいた。
鋏を4つ持つ、8本脚の大蟹だった。
右の上の鋏がシオマネキのように大きい。
「さあ、覚悟しろ?前みたいには行かねえぞ?」
挑発するイスルギだったが、ルーナリアはそれに答えない。
無言のまま魔法を発動させる。
———自然属性 『木』 拘束魔法 樹木龍
木で出来た龍が現れる。その数10匹。
蟹を拘束しようとする。
「ハッハァ、無駄ァ」
3本の鋏が動き、木の龍を斬り刻む。
間髪入れずに出てきた鉄の鎖すら斬り刻む。
「おいおい、この程d」
最後まで言えなかった。
彼女が始まりから準備していた魔法が発動した。
———自然属性 『火』 攻撃魔法 火竜招来
巨大な火で出来た竜———前足がないためワイバーンだと思われる———が蟹に襲い掛かる。
ドッカーン!!!
大爆発。
実は前準備として、気流操作をして、火力を上げておいたルーナリア。
……えげつない。
「これで終わっていれば楽なんだが……」
ルーナリアが呟いた。
その願いは空しく、
「言ったろ?無駄だってな」
無傷の蟹とイスルギが出てきた。
どうやら、蟹が鋏火で火の龍を撃ち落としたようだ。
さらに、完全に彼を火から守りぬいたらしい。
「言っておくが、前みたいな手は通用しないからな?」
イスルギがニヤリと笑いながら言った。
* * *
「あのカニゴリラまあまあ強いな」
「遂に混ざっちゃった!?」
相変わらずなクロトとディーネ。
「それにしても……」
「?どうしたの?」
「ルナは前はどうやってあのカニゴリラ倒したんだ?」
「もうカニゴリラ確定なんだ……」
ルーナリアがピンチなのにまったく動じていない2人。
因みに、ルーナリアは十傑争奪戦では速攻で決めにいったのである。
具体的には……。
1.挑発して、怒らせる
2.技を大振りにさせ、冷静な判断を出来なくさせる。
3.火の魔法中心に打ち込む。それと並行して氷の壁を作り、閉じ込める。
4.酸欠状態にする。
「あのぉ、ヴァンホーエンさんの心配はしないんですか?ごめんなさいぃ」
セレンからの疑問に2人はこう答える。
「だってねえ?」
「この程度……」
「「?」」
疑問符を浮かべた教師に2人は揃って答える。
「ピンチって言わない。この程度」
「それにピンチはチャンスだからね」
「……本当に仲いいな」
グレスがツッコミ、煙草の紫煙を空に吐き出した。
「それにしても……」
イスルギは強い。
コレと言ったスキルをあの化身……蟹は持たない。
その代わり、攻撃力や防御力高く、精密動作が得意なのである。
前みたいな手段は効かないだろう。
「さて、ヴァンホーエン。お前はどうする?」
グレスが呟いた。
……枝豆とビールを持ってなければ絵になっただろう。
【型】
魔法の発動方法の1つです。
身体の動きで発動させる方法です。
踊りや武術の型、手の印などで発動するようになっています。
結構便利なのですが、動きでバレる時がありますね。




