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僕は彼女に恋をした。

僕は彼女に恋をした。

作者: めろう
掲載日:2017/02/02

僕は彼女に恋をした。

ふわふわしたショートボブ、目鼻は整い、胸もそこそこある。

運動神経がよくて、性格はちょっと男勝り。

趣味は音楽を聴くことらしく、話していたのを聞く限りでは洋楽が好きらしい。

だから最近は僕も洋楽を聞くようにしている。

でも、僕が好きになったきっかけは、そこの何処にもない。

それは、数週間前の事だった。




梅雨が明けて、図書委員だった僕は本の陰干しをしていた。

雨も降らなくなったというのに、僕の心はこの重労働に曇り模様だった。

ジャンケンで負けて、一人で最後の本棚の本を干している時だ。

夕暮れ時、その日は夕日がとても綺麗だった。

蒸し蒸しとした部屋の中を、さらりと心地よい風が一つ過ぎる。

パラパラとページがめくれ、「黄昏時は、誰そ彼時とも云われ、幻想的な――」そんな描写が目に入る。

嗚呼、確かに幻想的だ。

窓際で、一人座って本を読んでいる。いつの間に居たのだろうか。

独り言を、聞かれやしなかっただろうか。そんな事より、僕の目は彼女に釘付けだった。

眼鏡をかけており、何時もとは違う雰囲気だが、恐らくは錦野(にしきの) 淼華(びょうか)、彼女だろう。

男勝りだと思ったその印象は、今は影も形もなかった。

ふと、疑問に思う。

――彼女は誰だろう。

いや、名前は知っているのだけれども。

何故か、そう思ってしまったのだ。


「――美しい」


つい、口が動く。

彼女はその言葉が聞こえたのだろうか、こちらを見ては、目が合った。

声が出ない。顔が、熱くなるのがわかる。

変じゃないだろうか。いや、目が合ったまま固まっているのだ、変な奴だと思われただろう。

でも、目が離せなかった。離したくなかった。

暫し沈黙が空間を包む。風でパラパラと紙が擦れる音だけが、不気味なほどに聞こえてくる。

何時間たっただろうか。

いや、数分かもしれない。

もしかすると、まだ数秒しかたっていないのかもしれない。

それでも、この時間が一生のように過ぎていくように感じられた。



部屋が徐々に暗くなっていく。

日が目に見えて沈んでいく。と、彼女から目が離れたことに気が付く。

もう一度彼女に目線を移すと、彼女も夕日を眺めていた。

「……たしかに、美しいな」

彼女はふっと笑い、こちらを見る。

いや、僕は夕日の事を言ったんじゃあない……んじゃあないかもしれない。

でも、この胸の高まりは、恐らくだが、幻想的な世界で生命を燃やす、彼女に向けられたものではないだろうか。

再認識すると、今までの行為が異様に恥ずかしくなってくる。

何か、弁明をせねば。


「あっ、いや、うん!ホント、綺麗だ……本当に……」


あぁ、これは、しまったな。

余計変な奴に思われたかもしれない。


「何だ、あんまり喋ったところを見ないからどんな奴かと思ったけど。面白い奴だな、君は」


そう笑いかけてくれる彼女は、さながら僕の心を奪い去る王子様のような……

って違う。そうじゃない。

でも、彼女が魅力的だというのは、変わりない。


「そ、そうかな……」


そんな当たり障りのない応答しか返せない。

さっき面白い奴だって言われたばかりだが、面白い返答なんて僕にはできるはずもなかった。


「面白いと言われたのに、面白い返答が出来ない……なんて思ってるだろ。

 やっぱり面白い奴だ。思ったことがすぐに出る奴なんだな」


嘘だ。咄嗟に顔を隠してしまう。

そんなにわかりやすい奴なのだろうか、僕は。

そんな事一度も言われたことがないのに……。

彼女を見てみる。

くっくっくっと、笑いをこらえている。

不思議と、彼女に笑われても、腹が立たない。

寧ろ、彼女の笑顔が見れてうれしい、と思ってしまう。



そうか、うん、わかったぞ。

こんなの、漫画や小説だけのものかと思っていたが、本当にあるものなんだな。

そう、僕は。

僕は彼女に恋をした。

ふと思いついて書いてみた恋愛短編小説です。

話の流れがおかしかったりしても、大目に見てくださいまし。


次回:http://ncode.syosetu.com/n3412du/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 描写が綺麗で、とても読みやすい。 キャラが立ってて、続きを読みたいと思える。 結論的には俺得
2017/02/02 11:06 退会済み
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