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85:ナベリウス5

さあ、奇襲による先制攻撃。

楽しそうに話していたけど、一瞬でも隙が出来れば動き出すとふんでいたギルバートさん、予想通りに動いてくれた。


三つの首が独自の意思を持っているように動いていたため、死角と言うものが存在しないと仮定して動く。

三つの意思で一つの体をどう管理しているのかという疑問を封殺する。実際動かせている以上今考える事ではない。


魔眼で()る。


時が、緩やかになっていく。


魔王ナベリウスと目が合う。


一瞬で良い、思考の一つを潰しておこう。

首に絡ませた糸を引き、正面の首を斬り、その糸で頭を斬り刻む。




同じタイミングで魔王のブレスを意に介さずまともに受けるギルバートさん。

光の守りで魔法耐性が上がっていても、皮膚は燃えるし目も焼ける。

「カカカッ! 効かぬのお!」

思いっきり効いてるし! ギルバートさんに絡めておいた糸を通じ直接回復魔法を送り込む。わかっていてのこの行動なのだろう。


渾身の、一切の躊躇のない攻撃が二つの剣を打ち砕き、ナベリウスの左足を切断する。





ギルバートがブレスを受けたその瞬間。魔王に特攻していたクロ。


超加速していたとしても、右の首がずっとこちらを見ていたのだ、余裕を持って迎撃がなされる。

こちらの軌道に真っ直ぐ向かって突き出される魔王の剣。


念動力で上へ弾く。

と同時に弾かれた剣の下から姿を現すもう一本の剣。二本ある右腕による完璧な連携攻撃。


躱せるタイミングではない。

(さか)しいぞ、魔王!」

どこかで聞いた台詞とともに、音の無い空間に突入する。


くるんと一回転し止まって見える剣に着地する。

(むっ!)

前を見ると右の頭の口が糸によって強制的に閉じられた瞬間であった。

ブレス攻撃もするつもりだったのか。流石と言うべきか魔王、隙の無い攻撃だ。


しかし、リンは全てお見通しという訳だ、流石なのだ!


振り返り、リンを見る。

目が合う。赤い魔法陣が浮き出た瞳と目が合う。

(むむむ!? もしかして見えてる?)

反応は無い。気のせい?


まあ、好い。

ととと、と剣の上を移動しジャンプする。

目標は、リンが我用に作った蜘蛛の巣の形をした足場の一つだ。

縮地からの直接攻撃は反撃を受けたときのダメージが大きいので、隠し技を持っているかもしれない魔王には得策でない。


じゃあ攻撃しないのかって?


世界に音か戻る。

いきなり消えた我に驚く右の首。その目がさらに驚きに開く。


我の周りを漂い追随していた黒き炎が、急に我が消えたことでそのまま直進し魔王へ直撃する。


ズドドドドドドッ!!!

「ゴガアアアアアアア!」

「ぬぅん!」

ギルバートの残撃が右足も切断する。


そのまま大上段に剣を構え跳躍するギルバート。

「ゴオオオオ!」

咆哮とともに一瞬で両足を再生する魔王。

「カウンター、マエンザン!」

両の剣が交差されギルバートの残撃を受け止める体勢になり、背の両剣が激しい炎を噴き上げる。


魔力の濃度を、高める。


そして、


両手を握り、強く引く。



ゾブリッ!

と竜牙が皮膚を裂き肉に食い込む。

「オオオオ!」

気合と共に魔王を断つギルバート。


魔王の四つの腕は地から伸びた、白い輝きの糸に縫いとめられている。

それだけでは無い。再生した足も、三つある首は天井から伸びる糸に絡め取られブレスを吐くための口を開く事もできない。


「クロ!」

「うむ! 黒炎斬!」

宙から凄いスピードで落下してきたクロがギルバートの斬った軌道と同じ場所を黒い炎を纏った爪で斬り裂く。

再生を始めていた斬り口が黒い炎と共に燃え出す。


「ミゴトダ...」

再生した正面の首が言葉を紡ぐ。


「ダガ...」

魔王ナベリウスの魔力が膨れ上がる。


魔の炎が溢れ出す。


全てを焼き尽くす。魔王の炎が、


粉々に千切れて消える。

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