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75:狂乱の迷宮6

迷宮の壁が紅く輝く。


それが何を意味するのか、考えなくても解る。

「後ろだ」

気配察知スキルに反応があったのだろう。ヤンさんが皆に注意を促す。


通路の先、遠くに紅い眼光が四つ。

「双頭の魔獣オルトロス、か」

まさか次遠吠えしたら一つ首でブラックドックとかヘルハウンドとかが出るんですかね。とか思いつつ鑑定する。


ケルベロスに比べると弱い。

それこそ三分の二くらいの比率で弱い。

(頭の数で強さが決まるんじゃないか?)

(うーん、否定できない)

(適当だな!)

(だね! ところでケルベロスがもう一度仲間を呼んだら何が出てくると思う?)

(リン、そこは仲魔と呼ぶのだ! 多分オルトロスじゃないか?)

(やっぱりそうかな、じゃあ、ケルベロスからだね)

(じゃあ、あっちの駄犬は我が殺ろうか?)

(ダメでーす。クロは今回お休みです)

(ぶー! リンのケチ)

今回は、目が多すぎるのでしょうがない。私も縛りプレイと言うのに付き合わなくてはいけないのだしね。



「後ろは私とヨランさんで足止めします。テレスさん達はまた仲間を呼ばれないように一気に畳み掛けてください。マティアさんはラムダ君達の回復を最優先で」

「ええ、わかったわ」

「わかりました」

「任せろ!」

「ラムダのダンナにヘイトを集めればいいんだな」

「リン様、足止めと言うのは...」


オルトロスが火球を放ってくる。

遠距離攻撃だ!


「水の壁!」

オルトロスと私達の間に水の壁が...間に空気を挟みながら。


二十枚出現する!!!


ジュッ! ジュッ! ジュッ!

三枚目で火球が消滅する。

「す、凄い。無詠唱であんな数の水の壁を...」

「私が合図します。地面から突き出るタイプの岩の槍の詠唱を始めて置いてください」

「は、はい! 気高き大地の...」




「フンッ! こちらもいくぞ。シールドアタック!!!」

ラムダ君が自分の盾をケルベロスに投げつける。豪快な技だね!


ガゴンッ!


クルクルと回転して飛んでいった盾が獣の頭に直撃し戻ってくる。

ハッシと戻ってきた盾を掴み魔法の鞄にしまい。中から両手剣を取り出す。


その剣の名は、ライオンハート!

真の英雄が持つにふさわしい最高の剣!


盾を捨て、攻撃モードに移行した英雄が叫ぶ! 魂の叫びだ!


「俺のやる気は有頂天んんんんんんん!!!」


これは、挑発スキルだ。


グガアアアアアアアアアア!!!

挑発されたケルベロスが青白い炎を吐きながら突っ込んでくる。

「効かん効かん効かん効かんんんんん!」

あきらかに炎のダメージでHPが減っているのだけど効いてないらしい。

「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール! ヒール!」

マティアさんが回復呪文を連発している。

「ヒーリングフィールド!」

ラムダ君を中心に範囲回復を発動する。これで範囲内の仲間は呪文の効果が切れるまでヒールほどではないけど永続的に回復される。

「回復はラムダ君だけに集中してもらっていいです。他は私がやりますので」

「ああ、リン様、助かります。ラムダ様があの様な戦い方をする人だとは思っていませんでした」

マティアさんが苦笑しながら話しかけてくる。さすがに司祭様ともなると結構余裕があるんだね。


「ハードスラッシュ! パワースラッシュ! スピンスラッシュ!」

ガチ殴り合いを始めたラムダ君。

「隠密。不意打ち。だまし討ち...ダンナ失礼するよ、スラッグショット!!!」

ヤンさんがラムダ君の背後から横を向きながらクロスボウのスキル五倍撃を発動する。


ギャアアアアアア!

ケルベロスの怒りがラムダ君に集中する。


「オオオオオオ! 強制の鎖(フォースチェーン)! 今だ殺れ!」

見えない鎖がラムダとケルベロスを繋ぎとめる。


「夢想...羅刹拳!」


ゾボッ!


おかしな音がしてケルベロスの胴体が消し飛ぶ。


ゴオオオオオ!

断末魔の声を残して、ケルベロスが元の状態に戻る。


「なんだ!?」

「ヌッ!」

「これは!」

そう、ケルベロスには命が三つある。

「後二回殺して」

問題なさそうに私が言う。

「わかったわ」

問題なさそうにテレスさんが答える。


そう、このようなことは、よくあることなのだ。

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