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73:狂乱の迷宮4

ヨランさんが、杖を中に掲げ呪文を紡ぐ。

「誇り高き地の精霊よ汝の力を我が前に示し給え、その鋭き地の刃で我が前に茨の道を創り給え、ストーンランス!」


コンッ!

と地を叩いた杖の先から地面が盛り上がり前方へ進んでいく。


グギャ!?

こちらへ迫っていた魔物の一団に達した地面の盛り上がりから、次々と鋭い石の槍が生える。

ギャ!!

地面から生えた無数の石の槍に貫かれ魔物達が息絶える。


「…………」

あれが正式な手順なのかあ。と感心しながらヨランさんを見る。

杖の宝玉部分に集中されていた魔力が消えていくと共に地面から生えた石の槍もボロボロと崩れだし消えていく。


「お恥かしい」

集中を解いたヨランさんが話しかけてくる。

「ヨランさんは、土魔法が得意なんですか?」

既に鑑定で土魔法と火魔法が使えることは分かっているけど聞く。

「はい、私は土魔法と火魔法を使えます。使い易さから主に土魔法を主体で使っています」

「そうなんですか」

そうほいほいと自分のスキルの説明をしてもいいものかと思うが、指揮をする私に正確な情報を伝えておこうという気遣いなのかなあと思いながら迷宮を進む。



階段を降り、三層へと進む。



三層も異様な気配は感じられない。普通の迷宮の様相。

「バフを掛け直して置きましょうか、ヨランさんは皆に大地の守りを、マティアさんはラーファ神の加護をお願いします」

「はい」

「わかりました」

異論無く私の指示に従ってくれる二人。いつもと同じというのが一番危ないのだ。それを理解出来ない人はここには居ない。


ちなみに、司祭様は信仰する神様の加護というのを使えるらしい、便利だね。

マティアさんは生命の女神であるラーファ神の加護が使えるという事で皆に加護を掛けてもらっている。



進む。



獣と言うものは、獲物を狩る時。



曲がる。



静かに身を潜め、気配を消し、待つ。



進む。




進む。



(リン)

(うん)



立ち止まる。


私と同じ後衛のヨランさんとマティアさんも私にあわせ立ち止まる。

後衛の変化に気付いたヤンさんも歩を止め、私の視線に気付いたテレスさんもラムダ君の鎧をコンと小さく叩き止まる。



さて、どうするか。


獲物は少し先の暗がりに身を潜めている。

いつもならば、糸で偵察がてら攻撃を行うか、クロが先制で特大の攻撃をお見舞いするのだけど...


「いるのか?」

ヤンさんが小声で聞いてくる。


少しカーブした先の暗がりを指差しながら、ヨランさんにあの位置に攻撃魔法を発動できるか確認する。


「む、確かに何か居るな。しかも気配が読めない、これはヤバイな」

私の指差す方向限定で気配察知スキルに意識を集中していたヤンさんもソレを認識する。

「しかし、よく気付いたな......いや、愚問か」

クロスボウのボルトを特殊な物に交換し短剣を装備するヤンさん。

先ほどまで装備していた短剣と違い今装備したのはマジックアイテムだ。ただ装飾が少し派手なため隠密作業を主とする狩人としては常備出来ないのだろう、戦闘時のみ装備する専用のモノというところかな。


待ち伏せしている相手にわざわざ突っ込んでいく道理はない。ここで迎撃する。


通路の中央にラムダ君が立ち。後ろにテレスさん。

少し離れて、ヤンさん。その後ろにマティアさん私、ヨランさんの順で横に並ぶ。



ヨランさんが詠唱を開始する。



では、始めよう。

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