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24:初めての授業3

購買で買ってきた小皿を取り出し水を少し張る。

「じゃあ、こちらに集まってください」


なにをするの?

さあ。

あれ、水だよね?


疑問を囁きつつ教壇の周りに生徒が集まる。

「えっと、皆は魔力操作とかってできます?」


え?

なに?


「あの、魔力操作というのは?」

「んー、他の属性魔法使える人で、例えば...」


宙に水の玉を作る。

(ウォーター)(ボール)、普通に作るとこの大きさだけど、魔力を込めると」


水の玉が倍の大きさになる。

「え?」

「倍になった!」

「いやいやいや、水魔法にそんなのないよ!!!」

水魔法スキルを持っている生徒が完全否定してくる。

「もしかしてスキル名を唱えてるだけかな?」

「え? それ以外に何が...」

「うーん、そっかぁ、じゃあ」


なかなかやり辛いなぁ、ローブの中をごそごそしながらアイテムボックスから魔法の杖を取り出す。


「今から実演するね。これ、トマトの種をひとつ」

小皿に張った水の中に落とす。

「ヒールっていうのは基本的に治癒の魔法なんだけど、怪我人自身の治癒能力を高めるんじゃなくて、魔力を注ぐことで...あっ、ヒールっと」

危ない危ない、ちゃんと唱えないとダメだよね!


魔法の杖から暖かな光があふれ出し小皿の種へと注がれる。

しばらくすると種から芽が出て、見る見るうちに周囲の水を吸収しながら育っていく。

「おおお!」

「凄い!」

「何が起きているの!?」


「魔力自体をエネルギーにして人の場合は再生力を植物の場合は成長の促進を促す、これがヒールね。ちょっとヒール使える二人こっちにきて」

「はい!」

「あ、はい!」


同じことをやってもらうが上手くいかない。

「二人でひとつの種にヒールを掛けてみて、っとその前に魔力はまだ平気?」

「後、一回位しか...」

「私も、」

「じゃあ、こっちの成長したやつに二人でヒールしてみて、魔力が通りやすくなっていると思うから」


「はい、ヒール!」

「ヒール!」


二人同時のヒールによって少し成長し葉が開く。

「やった!」

「効いた!」

少し疲労した二人が喜ぶ。

ヒール二回でMPが尽きちゃうとは実用には程遠いなぁ。


「はい、二人ともよく出来ました。二人のご両親は光魔法を持っていないようなので、はっきりいってしまうと光魔法自体に成長する可能性は低いかもしれないけど魔力に余裕があるときはこれを続けるようにして下さい。使い続けることでヒールの効率が上って使用回数が増えるから、五回くらい使えるようになれば治療士としてやっていけると思います」

「「はい!」」

変な期待を持たせても意味はない。

二人がそれぞれ何を目指しているかは知らないが、自立するつもりなら治療士というのは十分に贅沢な暮らしの出来る職業だ。



黙ってこちらを見つめる生徒達。

「えーと、皆さんには同じことをやってもらいます」

「え?」

「あの?」

「実技の時間、怪我人にヒールって唱えてるそうじゃないですか。それである日いきなりヒールが発動すると思ってる人っています?」

「……」

「……」

そんな都合の良い事が起きるなんて普通に考えたら無い。


「けど実際マリー様が光魔法を会得しましたわ!」

「あー、マリーさんね」

出たよマリー・フラワーネットさん。だってその人中身別人でしょ?

よくわからないけど、セルビナって元から光魔法持ってる人に入れ替わっているだけなんだから使えて当然だよね。


あ゛ー、面倒臭い係わりたくない!

絶対碌なものじゃない、乗り移るとかそんなのじゃないの?

フラワーネットってさ、お花畑のネットワークとかって意味じゃないの!?

そうだよね?

絶対そうだよね?

フラワーネット家の呪いとかそんなのが出てくるんでしょ?

絶対係わらないからね!!!



「フラワーネット家ではある年齢になるといきなり高レベルの光魔法を使えるようになるらしいです」

適当に嘘をついておく。

「そうなんですか!?」

「そうなんです」

嘘なんです。


「で、話を戻しますね。植物が成長する事を思い描きながら魔法の杖から魔力を注ぐのです。これだと結果がヒールになるのでさっきの話の剣を振るという作業と同じになります。で、実習の時は今まで通りヒールを唱えてもらいます。あれは魔物を斬りつける行為みたいなものなので...」


「あ、じゃあ今までは剣の振り方も知らないで魔物を斬りつけてたってことですか?」

お、いいね! ハナマルをあげよう。

「その通りです。なので講習で素振りをして、実習で実践をするみたいな感じに切り替えることで、わずかですけど可能性が上がるという寸法です」


「実際、植物は魔力を注がれるだけでもある程度は成長します。もしその成長がヒール並みの速度に達したら」

「スラッシュが撃てたという事ですか?」

いいねぇ、君いいよ。名前知らないけどナイスですよ。ってあれ?

「光魔法のスキルに覚醒するかもしれませんね」

「おお!」

「凄い!」

「わかり易い!」

「素敵です!」

「好きです!」

ちょっとまって、最後のはなんですかね?



私が発芽させたトマトの木でいいのかな? を土の入った植木鉢に植え最前列の席に置く。

「じゃあ、これは魔力が通りやすくなっているので一人づつ順番に魔力を注ぐ作業をしてみてください。魔力切れには十分注意してね」

「「「はい!!!」」」


「次回からもこの形式で、魔力が通りやすい状態の植物を私が作るのでそれに皆が順番で魔力を注ぐようにしましょうか」

「「「はい!!!」」」


皆元気だね。

「じゃあ、マウラさん」

「あ、はい...」

「こっち来て、どこが悪いか見てあげるから」

「え?」

うん、ナイスな突っ込みを入れてくれたお礼だよ。

面倒じゃなければ解決してあげます。


「はい!」

と嬉しそうにこちらに来るマウラさん。

嬉しそうにほいほいと来るその笑顔が里帰りしている彼女と重なる。


はっ、もしかしてこれは恋?

私は彼女に恋をしてしまったのかしら!?

揺れ動く乙女心、次回私のハートはドッキドキッ!

ご期待くださいなのだ!

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