23:初めての授業2
学園購買部:
「えーと、取り合えずこれとこれとこれ。あとは...すいませーん、なにか植物の種ってありますか?」
マウラさん達にカートを押してもらい、色々と必要なものをそろえていく。
支払いは学園にツケでというのは可能だろうか、などと思いながら色々と話を聞く。
「じゃあ、今いる人達のまとめ役はマウラさんなんだ」
「はい、魔法の発動は出来ませんけど一応光魔法スキルを持っていますので...」
おおぅ、そういえばなんか言ってたね。まあ授業内なら相談に乗ってあげてもいいか。
「お二人は、巻物で覚えたんですか?」
「はい、魔力はありましたので、家のほうで学園に入る前に」
「私もです」
この二人は貴族さんなのか。だけどそんなに裕福では無いと。
スキルの巻物はいくつかの種類がある。
鑑定した時に、「光魔法の巻物」と後ろに何もつかない状態で出るか。
「光魔法の巻物:回復」のように特定の魔法名が後ろについているかだ。
「光魔法の巻物」を使用した場合、スキルに光魔法1が増えスキルレベル1の光魔法が全て使えるようになる。熟練していくとスキルレベルも234と上がっていき使える魔法も増えていく。つまり生まれながらに光魔法を持っているものと同じスキルが手に入るようになる。
当然、このようなものは迷宮でも滅多にドロップしないし、ドロップしたとしても市場に出回ったりしない。出たとしてもオークションにかけられとんでもない金額で取引される。
「光魔法の巻物:回復」のように単体の魔法しか覚えないものは、スキルに光魔法1が増えるわけでないので成長も何もしない。
例えば「火魔法の巻物:火の矢」などは冒険者ギルドにいけば比較的といってもそれなりの値段はするが手に入れることができる。
回復の場合は、その呪文自体の有用性と希少性もあるのでそれなりの出費が必要になる。
つまり、学園に行く子供にスキルの巻物は買ってあげられないが、単体スキルの巻物ならば買ってあげられる位の裕福さの、貴族もしくは豪商というのもありえるか。
「先生、これで何をするんですか?」
先生だって、なんだかなぁ。
「まあ、実用的な授業かなぁ」
光魔法の書物。
その内容を整理してわかったことは、光魔法を使えることが前提で書かれているという事だけ。
というか、まず巻物か先天的な素質以外で光魔法は覚えられないと思う。
こんな、ここでやっている授業のようなことで魔法のスキルに覚醒できるなら巻物があんな高値で取引されるわけが無い。
学園もそれはわかっているはずで、自己紹介でも各々言っていたが親のどちらかが光魔法を持っていた。つまり遺伝という潜在的に持っている可能性があるスキルの開花を期待しているのだ。
そんなのは光魔法を使える人が書いた書物を読んでどうこうなるものではない。
あるおじいちゃんの話をしよう。
その人は強さに憧れ剣を持った。
なぜ剣だったのか?
至極簡単、何のスキルも持ち合わせていない自分でも剣ならば振れる。というたったそれだけの理由。
毎日剣を振って振って振り続けた。
スキルが無いから冒険者にもなれなかったが、毎日剣を振り続けた。
剣を振ることが日常になったとき、魔物に出会った。
怖くて怖くてわけも分からず剣を振った。それしか彼は出来なかったから。
その日から剣で斬ることも彼の日常となった。
毎日斬って斬って斬り続けた。
ある日、離れた魔物も斬れるような気がして斬ってみた。
斬ることは彼の日常だから剣さえ届けば斬れると思った。
いつものように剣を振ると剣から気が迸り魔物が倒れる。
それは、剣術スキルのスラッシュだった。
彼の空っぽだったスキルの欄にいつの間にかあるスキルが発現していた。
剣術スキルを極めた彼は語る。
わし、スキルをまともに使ったこと無いんじゃ。
「と言うお話」
しーんと静まり返る室内。
「あの...」
おずおずと手をあげる生徒その壱。
「なんでしょう?」
「よくわかりません」
うん。私はあなたの質問がよくわかりません!
「えーと、学園に払う学費程度で光魔法が覚醒するなんて甘いこと考えるのはやめましょうと言うことです」
しーんと静まり返る室内。
「素養のない人がスキルを習得するにはそのスキル自体が必要無いくらい極めないと手に入れられないという事です。親が光魔法を持っていたとしても巻物で手に入れただけでスキルレベル自体ほとんど上げていない場合は子に遺伝しないと思われます。理由は今あげた実例と図書館にも関連した書物があります。興味がある人は読んでみてください」
物音ひとつしない室内。
「私の本業は冒険者ですので、実に適った講義というか実習をします。魔力も消費するので他に実習や魔力が必要な自習をする人は見ているだけか講義を受けなくてもいいです」
「光魔法はそのイメージの性質から闇魔法の次に難しいと思われます。他に火水風土魔法が使えるようならそちらの授業に本腰を入れたほうが合理的です」
ここで問題です。
あなた何様のつもりなの!
生意気よ!
冒険者の分際で!
などという反論が起きないのはなぜか?
なぜでしょうね。不思議ですね。
(洗脳か!!! 洗脳したのか!?)
(してませーん。魅了でーす)
(似たようなものやないかーい!)
(反抗心が起きない程度の軽いものだから後遺症はないよ)
(悪魔の所業!)
(一度集団に試してみたかったんだよね)
(極悪非道!)
(いいじゃん、面倒そうなのがいないのは最初見回した時に全員鑑定して判ってたしさ)
(リンの闇を垣間見た我、更に惚れ直す!)
(惚れ直すんかーいってね)
この後に魔法実習がある生徒数人が見学を申し出、他の人は参加という事になった。
この判断は生徒本来の自由意志を尊重している。
「では、講義を始めます」
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