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流れ星  作者: 竹内 なな
5/5

◆ 彼女

岡谷ジャンクションを過ぎると、中央高速は長野自動車道に名称が変わる。


塩尻北インターの手前にある みどり湖サービスエリア で車を停めて、彼がトイレに行っている間に、仕事先の事務所に確認の電話をいれることにした。


仕事がある時は、30分前にはスタッフが電話をくれる。

まだ、かかってこないから5時からの予約は入ってないと思うけど・・・ 入っていたら完璧に遅刻だ。

彼を連れて出勤する訳にもいかないし、1度は家にかえらないといけない。


「あっ、小夜華さん、お疲れ様です」

若い男性スタッフの渡辺さんが電話に出てくれて ほっ とする。

もう1人のスキンヘッドの小川さんは気分にむらがあって顔にも態度にも出るところが、どうにも好きになれなかった。機嫌が悪いと露骨に私のことを邪険にする。


「あっちゃん、お疲れ様です。今日の予約状況、教えて欲しいんだけど」


「え~っと、、、小夜華さんは、6時から90分と8時から120分・・・10時半から90分で、今のところ3本ですね」


「了解。 で悪いんだけど、その後 入れないでもらえるかな。ちょっと体調良くなくて、3本はがんばるから」


嘘も方便、生理になったという手段もあるけど本当になった時が困る。


「大丈夫ですか?それじゃあ12時上がりで締めますね。6時からの90分は青木様で場所はまだ未定なので追って連絡します。」


と通話は切れた。時刻を確認すると、あと5分で5時になるところだった。

もし、予約がなかったら体調不良ということでお休みを貰おうとおもっていたけど仕方ない。


お陰様で、稼げない日はない有難い状況。

私って人気ものじゃん・・・

自虐的になる気持ちを押さえ込み、仕事が終わったら彼にカレーでも作ってあげようと考えてみる。


刺激物だけど、断食の後とか食事制限のかかった病気の後に無性に食べたくなるって聞いたことがある。


トイレから出た彼が、こっちに向かって歩いて来るのを見て、カレーが食べれる位には体力が回復してる気がした。流石、10代だと思う。

さっき歳を聞いたら 4月に19歳になったばかりだった。今年 29になる私とは10も年の差がある。


なんとなくそのままま見つめ続けてしまい、長時間の運転で凝り固まった体を伸ばすのを兼ねて、外に出て電話をかけただけなのだが出迎える形になってしまった。

彼は、9cmも踵のあるヒールを履いている私より 更に10cm位 背が高かった。廃車で横になっていた時は180cm位かと思ったけど、もう少しあるかもしれない。167cmある私がヒールを履けば、そうそう見上げる男性にはお目にかかれない。


「小夜華さんも?」

彼はトイレの方に目をやり、私に視線を戻した。


「電話してただけだよ。人を乗せて高速とか運転しないこら、緊張で体がガチガチ。仕事、休めたらって思ったんだけどダメだった」


「今から仕事なの?」


「6時っから、12時半には帰れると思う。晩飯、それからになっちゃうけど待てる?」


頷く彼を見て、なんだか恋人同士の会話みたいで気恥ずかしくなる。

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