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プロローグ
その日、世界で同時多発的に局所的な大地震が起こった。
大地の咆哮と供に地面が崩れ落ち、墨を塗ったような深き穴が生まれ、その下には未知の超巨大構造物が存在していた。
《深淵》。
のちに《大深度地下構造物》と呼称されるその正体を、人類は英知を集めて解き明かそうとした。
日本政府を例にもれず、江の島島内に出現した《大深度地下構造物》に自衛隊を派遣。三〇名で構成された先遣隊に内部調査を命じた。
そしてその三〇名全員が死亡、先遣隊のあとに続いた本隊一五〇名も、そのほとんどが帰らぬ人となった。
それから一〇年の時が経っても、人類は《大深度地下構造物》の一端しか知ることができていない。