第二話
黒焦げの物体は「ヒャァァアァアァ…」と呻き声をあげながら僕から逃げるように動いた。
そうはさせるか!と思い、思いきって黒い物体を引っ張った。
すると蝉の抜け殻みたいに黒焦げの物体はずるっと何かから抜けた。
「わあああああああああああきっもちわるいぬるぬるするううううううううあああああああ」
?「いやああああああああああベトベトだあああああああああああ」
叫んでいるともう一人の叫び声が聞こえた。
叫び声の方を見ると、赤髪の碧眼美人がいた。男だが。
しかも裸だった。男だ。裸…
「っておい変態か!?警察呼ぶぞ!?何でこんなぬるぬるした抜け殻みたいなのに入ってるの!?」
?「え?裸?裸の何がいけないことなの!?」
いや、いけない事では無いんだけども。社会的に危ないぞこいつ。
?「ねえ、ここら辺に水が浴びれる場所ない?ベトベトしてるの取りたいんだけど。」
「プールならあそこにあんぞ」
?「違う違う、自然の水がいいの。それか暖かい水。」
そう言われてもここは街のど真ん中だ。
川なんてないし暖かい水がそこら辺を流れているわけもない。
そうこうしているうちに人が集まって来たので仕方なく家の風呂へ招こうと思って声をかけた。
「川はここらへんにないし暖かい水もねぇから僕ん家の風呂使ってけよ、さっさと行くぞ。」
?「え…まさか巧妙な手口で家に招き入れ、俺にあんなことやそんなことを…!?」
「するかボケェエエ!大体お前男だろ!男と男であんなことやそんなことをできると思ってんのか!?」
?「え?君、女の子じゃないの?」
「え、嘘だろ、僕女だと思われてたの?男だよおおおおおおお!?」
?「ごめん、俺君の事は女としか思ってなかった。」
「もういいです。入れてあげません。」
流石に怒ったので帰ろうと思い、玄関を開けた。
ちゃんと謝ってくれれば入れる気満々だったのに。
?「ま、まって!?ごめん!許して!?僕警察に連れて行かれちゃう!連れて行かれてあんなことやそんなことをされてしまうかもしれない!」
「警察はそんな事をするところじゃねぇよ!つか早く入れよ変な目で見られるだろうが!!」
しまった。つい本音が出てしまった。
するとそいつは嬉しそうに僕の家へ入ってきた。
?「あ、ありがとう!君は恩人だよ!!」
「あっそう。ていうかお前の名前聞いてないな。俺は瑞未、お前は?」
「緋弥だよ、よろしくね…」
そう言うと緋弥は突然倒れた。
「お、おい!?どうした大丈夫か!?」
「…お、お腹…すい、た…」
餓死するんじゃないかこいつ。
それが怖くなったので急いで風呂を沸かし、夕飯を作って緋弥に食べさせる事にした。
黒焦げの物体の正体は緋弥君でしたね!
黒焦げのなのに中身はぬるぬるベトベト、蝉の抜け殻みたいです。
次回、緋弥君の正体が明らかに…なるのか?