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告白されたんですけど




「おまえが好き、なんだ」



 そう言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。

 何も考えられない。え、こういうときってどう対処すればよかったっけ?



 体育館裏、というなんともベタな場所で私は学校一とも言われる不良に告白されていた。



 目の前にいる銀色の髪の男は何て言った。名前もご丁寧に銀という男はとてつもない極悪人である。女たらしである。いろいろ危ない噂も聞くやつである。

 一方で私は、まじめとまではいかないが一般のどこにでもいる普通の人で、銀と関わったのもつい昨日のこと。

 だって不良って何それ怖い。


 私が呆然として黙ったままでいると、銀はふせていた顔をゆっくりとあげた。

 銀色の髪の毛が反射できらきら光ってきれいだと思ってぼんやり見とれていたら、いきなり目が合ってびっくりする。

 え、顔が真っ赤だ!


「ぎ、銀…、顔赤いよ」

「うるせえ!見んな馬鹿!」

「だって、見んなって言われても」

「黙れ!」


 ばっ、と勢いよく顔を覆った銀は昨日と違う人に見える。隠しきれていない耳が真っ赤で、少し笑ってしまいそうになる。何か可愛い。


「くそ、恥ずかし、い」


 そう弱々しく呟いた銀は極悪人とは思えないほど普通の恋する男の子だ。

 だって昨日とは別人だ。




 銀とは昨日初めて会った。

 噂はいろいろ聞いていたり、遠くから顔は見たりはしていたものの、直接会って話したのは本当に初めてだった。


 そして、初対面にもかかわらず、いきなりべろちゅーをかまされた。

 大人のキスも初めてでした。


 更に服も脱がしてきたので、殴って泣きじゃくりながら拒むと無理矢理銀の家に連れ込まれた。そして銀の女性経験豊富な手つきによって抵抗する間もなく美味しくいただかれてしまいましたとさ。

 本当に抵抗らしい抵抗ができなかった。あいつ今までどんな経験してきたんだ。


 それでも唯一の抵抗と、嫌だ嫌だと泣きわめいてみたものの、逆にドS心をあおってしまったのかうれしそうに見ていたのを覚えている。

 顔がよければ何してもいいと思ってんのかよ!と言った私に、にんまりと笑って、良いと思ってるけど?と返してきたのは忘れられない記憶だ。

 

 

 犯罪だ!レイプ!と思ったが、後から考えてそれほど嫌じゃなかったかも、という考えに至ったときはぞっとした。

 

 顔?顔がいいからそう思った?

 体つき?体つきが嫌みかと思うくらい良かったから?

 ステータス?彼と関係を持つことは世間一般的に優越感をもたらすもの、だとは思う。

 でも私はそんなことに興味がある女ではなかったはずだ。


 ぐるぐると考えていると、ある一つの答えにたどり着く。


 そんなものじゃあ、ない。

 手つきがとても、優しかったのだ。

 それこそ彼女に接するように。

 自惚れてしまうくらい、大切に扱われていた。


 最終的には気持ちよくなってしまったのも忘れたくてしょうがない。

 いや、でも、あれは合意の元ではないんだから!

 


 今まで経験したことない世界に引きずり込まれて未だに呆然としていたところでこの告白。

 もしかして今日も、とびくびくしていた私は何だったんだ。


 

 めちゃくちゃじゃないかこの人!


 

 「……、お願い、好きだ」


 どうやら昨日のことは、私を好き故の行為だったらしい。

 さんざん泣いて抵抗していた私はこいつの目には入ってないのか!

 見た目いいくせに、男として最低!

 

 返事をしない私にじれたのだろうか、ちらりとこちらを見上げる。

 その目の奥にぎらぎらしたものを見つけて、ぞくりとした。

 脳が本能的に危険だと告げている。

 

 やっぱただのケダモノだ!

 可愛いとかうそつけ!

 体目当てなだけじゃないの!?

 やっぱり、最低!



「あり得ない!最低!」


 勢いよく言い捨てると、目の前の銀は信じられないように目を見開く。

 そして、少し肩を落として、そっか、と切なげに呟いた。



 そんな姿に少しきゅんときてしまった、なんて私は認めない!




だいぶ前にめもっていたネタを元に書いてみました!

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