目覚め
今日は7歳の誕生日、初等魔法教育学校への入学式はあと3日後。
やはり悲劇は起きた。
「ルシエン!!」
聞いたことのないくらいの怒号で目を覚ました。
「お、父様?」
寝起きでまだかすれた声で怒号の主を呼ぶ。
「ルシエン、ちょっと来い。」
信じられない力で腕をつかまれた。
その瞬間悟った。そして思った。
あぁ、やっぱり。
部屋から出ると、というか出ていない。
部屋の扉を開けた瞬間、床が赤い液体で濡れていた。
「え?」
その液体を流しているのは、母だった。
「ルシエン、まさか、お前じゃ、ないだろう、な?」
父の声が震えている。
そうか、今、僕は泣いていない。
ただ目を見開いて母の死体を見ている。
「イレス、処理しろ。」
母、父にとっては妻に対して言うには随分と失礼な言葉だろう、
とは思わなかった。
だって、その『処理』は僕に対して放たれたものなのだから。
「はい。」
イレスが歩いて近づいてくる。
「どうしたのイレス?」
「....」
「ねぇ。」
「....」
全部わかっていたし、これからどうなるのかも知っている。
母が昔ある本を貸してくれた。
たぶんそれは『子育ての本』。
でも、それに書いてあった文を忘れたことはない。
『もし我が子が闇属性と判明したなら、即座に殺さねばならない。』
『殺さなければそれは王への反逆となる。』
『殺さなければ、その子供が7歳の誕生日を迎える時、母は原因不明で死す。』
そんなの迷信だと思った。
言葉通り母が死ぬまでは。
はっと我に返ったときには、
イレスの手にナイフのようなものが見えた。
もう、無理だ。
和解なんてしようがない。
この人たちの頭には今、
『息子を殺す』『お坊ちゃまを殺す』
ことしかない。
【死者操作】
対象は母しかいない、訳がない。
天才を甘く見るなよ?
これまで一人でいる間に何体の部下を使役したと思っているんだ?
「イレス!退け!」
父が叫んでいる。
いや、父じゃない。
国の書いた本の内容を信じ、
踊らされているだけの操り人形だ。
母はおそらく国の諜報員か何かに殺されている。
そんなの少し考えればわかるだろうに。
狂信者。
その操り人形に操られているメイド長。
この国は腐ってるな。
自分の体内の魔力の流れを把握したときに、
もう自分が『闇属性』だなんて理解してるんだよ。
元父親と目が合う。
その横にはイレスとその他のメイドや執事たち。
「ひっ。誰なんだお前は。」
そんなに変貌してたか。
それとも見違えるようにカッコよくなってた?
どちらかと言えば前者かな。
【殺せ】
俺はこの日、復讐を開始した
【使役数+11】




