プロローグ
俺...もとい僕は裕福な家に生まれ特にこれといった才能も大きな問題もなくすくすく育ち.....
ってこんな前置き誰がちゃんと読むかぁー!
いや、あの真面目すぎる教師陣は読むかも、
それよりもこっちの文章の方が好みなんじゃ?
途中まで書いていた和紙のような原稿用紙をしっかり破り捨て、引き出しの中にしまう。
『幼稚園卒業論文』なんてイキった真似をさせないでほしい。
なんでこんな文章を書かせようとするのか、
最近の教育者の意図がさっぱり分からない。
理解できない。
というか、
理解したくもない。
「はぁぁぁぁぁ.....。」
すべてを投げ出してもういっそのことこのままベッドの上で寝てしまいたい。
「ルシエン?大丈夫?なにかうめき声のようなものが聞こえましたけど。」
「奥様!お坊ちゃまは今、卒業論文を書いておられるのです。
どうか今しばらく見守ってあげましょう。」
「まぁ、一人で頑張っているのですね。
では邪魔をしてはいけませんね。」
今の声は、お母様とメイド長のイレスだな。
真面目なメイド長なのはいいんだけど、
今はそっとしてほしくないかもしれない。
この論文、『卒業論文』とか大きく出てるくせに、
『お題』は『これから何をしたいか』とかいうただの将来設計だけ。
普通の子供なら、『魔法使い』やら『王子さま』やら『お姫様』とかいうのかもしれない。
だがしかーし、今のおr、僕にはそう書く気力がない。
なぜか、そんなの簡単だ。
この世界において、齢6歳にして僕はこの世界を悟ってしまったのだから。
将来なれる職業は、
王立(もしくは州立)初等魔法教育学校に入学したときの
適性検査
によってすぐに世間に決められてしまう。
『光属性』に適性があればもう人生勝ち組。
正直、初等魔法教育学校の間なんて、ふざけていても合格を出される。
それだけ『光属性』はこの世界から求められている存在なのだ。
逆に『闇属性』ならほぼもう詰み。
『闇属性』というだけで『異端者』のレッテルを貼られ、差別される。
....なんて、論文を書かないための駄々をこね続けていても仕方がないか。
てきとーに教師の喜びそうな文章を書いて提出しておこう。
「ルシエン、もうあの論文を書き終わったの?」
夕食、お母様の声が鼓膜を震わせた。
「はい、お母様。なんとか僕でも書くことができました。
日頃からお母様の語彙・文法指導を受けているからだと思います。」
「まぁ、それはよかったわ。」
「それにしても、最近よりいっそう賢くなる速度が上がったような気がするな。」
長机のお誕生日席に腰かけているのが、父にして領主、ルーガリッド・アノドフ。
「そうですね。
3日前には初等部3年生が読むような教魔書を半日で読み切ってましたしね。」
頭に一冊の本が浮かぶ。
あー、あの教魔書か。....そんなに難しいとは思わなかったな。
「やっぱりルシエンは天才なんだな!」
「全く、すぐにそうやって天才天才と、」
正直、天才とは自分で思っている。
だって、この年で大体のことは理解できるし、
魔法はまだ使えないが、自分の体内を流れる魔力は制御できる。
さて、、確定事項が一つある。
僕はこの家を7歳の誕生日の日に追放される。




