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我々は今ここで異世界で  作者: ウミガラス空
1章 盗人の時間
4/20

4 例外

 部活動紹介から1日が経ちました。私こと半琶流はんべるつられは任された任務を遂行するため異世界に来ています。異世界に来る方法は簡単。街中に設置されているテレポという円柱型の魔道具の中に入ってお金を入れるだけ。ダイヤルで行きたい場所を選択することもできます。

 そうですね。昔の人たちに説明するなら公衆電話のイメージが近いでしょうか。


 まぁ、そんなわけでテレポを使い異世界に来ているのですがあいにく今日は曇り。今にも雨が降りそうです。


「今日は仕方ない。改めて来ますか。お気にの服が濡れるのは避けたいし」


 事件探しの締切は決められてはいないです。新入部員かつ初仕事のため、少しの遅れは大丈夫だろうけど遅くれ過ぎれば私の部活内での評価に関わる。

 なので、今日ちゃちゃっとみつけたかったのだけれど、そう事がうまく運ぶことはなかったみたいですね。


「しょうがない、地方新聞でも買って帰るかな」


 そう思い私は小さい新聞屋で地方新聞を3つほど買い店を出ようとしたところ、斜め向かいにあるジュエリーショップが目に入った。

 私はたまにそのジュエリーショップに立ち寄るので今日も覗こうかと思ったのですが、どうやら今日は休みらしい。


「あれ、でも年中無休じゃなかったっけ?」


 そんな違和感を抱え私は異世界を後にしました。


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 あれから数日が経った。俺たち部員は咲羅先輩からの招集連絡がない限り集まることはない。だがそれは全員がという意味であり、個々に部室に顔を覗かせることは多々ある。今日は、特に予定もないため部室に向かっている。やりたいことがあって行くわけじゃない、ただの暇つぶしだ。そんなことを思いながら歩いていると、ちょうど部室に入る咲羅部長の姿が見えた。


「珍しいですね、今日は生徒会の集まりはないんですか?」


「そういう丹羽くんも珍しいね。別に生徒会が毎日あるわけじゃないよ」


「・・・それもそうですね」


「で、今日はなにしに来たの?暇つぶし?」


「違います。」


「え、嘘だよね」


「嘘じゃないです、本当です。今変わりました。」


「じゃあ合ってたじゃん」


「合ってないですよ。それよりも寒いんで中入りましょう。」


 鍵を開け、部室の扉を開く。一番最初に目に入ったのが床に転がった片付けされてないサッカーボール。それを見た部長は呆れ顔でため息をつく。


「はぁ東瀬9割、丹羽くん1割ってとこかな」


「何で1割俺なんですか」


「今日来たのは片付け忘れを思い出したからとか?」


「ただの暇つぶしですよ」


「あ、やっぱ暇つぶしじゃんか」


 実際サッカーボールで遊ぶのなんて東瀬くらいで、後片付けをしないのも東瀬くらいだ。

 今の時代、サッカーボールは一般では普及していない。うちの部活にあるのは過去の事件の証拠品として回収したからであり、中には魔力が込められている。そのため厳重に扱わなくてはならないのだが、この有様である。


「そんなに昔のことじゃないのにもう懐かしいよ。あの事件の時は丹羽くん大活躍だったよね」


「まぁ、それほどでも」


「と言いつつ顔はドヤ顔なんだね。まぁでも」


「はい。ですね。」


 俺は奥にある窓から見える夕日をじっと見ながら、一瞬よぎった憂鬱な感情を悟られないよう隠す。


「丹羽くん、もう異世界行けないし」


 この誰もが異世界を行き来できる時代で、たった一人。俺だけが異世界に行けない。


夕方にまた投稿します。よろしくお願いします。

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