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我々は今ここで異世界で  作者: ウミガラス空
2章 虐めの存在証明
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4 卒業する者と卒業した者

サボり、それは学生にとって罪悪感がありながらも至高な行動。

 

 なはずなんだが、この心奏(しんそう)高等学校は進学校。端的に言って馬鹿真面目で学力の高い生徒が多い。


 この部活に設けられたサボり公認のルールは「活動の為にどれほどの期間休学しても構わないが、内申点遅刻欠席には影響する」というもの。


 つまりだ。怒られたり生活指導などには呼ばれないが進級進学には影響しますよと言った、ほぼ意味をなさないクソルール。そしてそのルールを強要することができる部長という存在。


 そのルールは進学に推薦を使いたい者にとっては邪魔でしかない。


 全員が推薦を狙ってるわけではないが、進級に対して危うい可能性を秘めているのであれば馬鹿真面目な生徒たちは、この部活を避けるだろう。


 その理由も含め、この部活に来るやつは変な奴しかいない。


「おぉ!見直しましたよ東瀬!私はいつサボれるのかワクワクしていたので」


「つられちゃん、もしかしてサボり目当てで入部したんじゃないの?」


「え、逆にそれが一番の魅力じゃないんですか?」


 などと訳のわからないことを告げる半琶流(はんべる)は部活に入って以降、一番の笑みを浮かべる。


 それにしても休学か。去年も何回か休学した期間はあったが進級に影響はしなかった。

 担任から推薦はもう使えないと伝えられたが、特に使う気はなかったので対して問題ではないし、それに使えたとしても、もう使えない。


 しかし、休学して行動するより先にやるべきことがある。それを出来ないと言うのであれば休学の段階に入ってもいいだろう。


「みきちゃん、学校側や保護者、大人に相談はしてないのか?」


俺はみきちゃんに疑問を投げかけるが、それに対し代わりに答えたのは東瀬。


「伝えたらしいんだが、虐めの証拠がないと加害者に対し何も出来ないといわれたらしい。やってくれたのは加害者に対してではなく、クラス全体に虐めはダメだと言う警告のみ」


「そうか。それで休学して証拠を集めに行くってことか?」


「そうだっ」


 東瀬は指をパチンと鳴らし肯定する。


「部長にこのことは?」


「さっきメッセージを送った。生徒会の後に来るらしい」


 それから俺らは咲羅部長が来るまで、詳しい話を本人から聞くことにした。


***********************


 20分ほど経った頃、部長がやや猫背気味に歩きながら部室に入ってきた。


「お、凛。めっちゃ疲れてんな」


 数分前にドアに寄りかかるのをやめ、立って壁に寄りかかっていた間湯先輩は心配するセリフとは逆に笑いながら話しかけた。


「そりゃ疲れるよ、だってもうすぐ文化祭だから色々と決めなきゃ行けないことが多くって」


 この心奏(しんそう)高等学校で特殊なのはこの部活くらいであり、文化祭は他の学校と変わらず行なわれる。少し時期は早いがな。


「文化祭、か。俺らは今年で最後だな」


「そうだね」


 間湯先輩と咲羅先輩は高校三年生、もうじき卒業を控えた最後の一年間。

 きっと最後の文化祭はより一層力を入れてくるだろう。


「そういや、黒励(こくれい)先輩たちも来るらしいぞ」


 黒励(こくれい)先輩か。つい数ヶ月前に卒業したばかりだが、もう懐かしい名前に感じる。

 

読んでくれてありがとうございます!

キャラと用語が増えてきたので、まとめを近いうちに投稿します。

次話もよろしくお願いします!

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