3 きみはみき
部室から、疲れ切った顔をした間湯先輩が出てきた。そのままどこかに行くかと思われたが、その場でドアにもたれかかる感じで座った。
俺と半琶流が部室に近づくと、こちらに気付いたのか左手を挙げ、挨拶をしてくる。それに返答をしつつなぜ疲れているのか質問をすることに。
「お疲れですね、間湯先輩。何かあったんですか?」
「あぁ、それは治癒魔法を連続でかけてたからなんだが」
「治癒魔法?いったい誰に」
「部室に入ればわかるさ」
そう顎で部室の方を示しながら言ってくるのを受け、俺と半琶流は部室に入ることにした。
通れるように、座ったまま横に並行移動した間湯先輩の脇を通り部室に入ると、中には見知らぬ女子が椅子に座っていた。その横には東瀬も立っている。
「間湯先輩、あの子は誰ですか?」
「東瀬に聞いた方が早い」
まぁ確かに雰囲気を見れば、東瀬に聞いたほうがいいな。
「え、年下趣味きも」
と、俺が話しかけるよりも先に半琶流が空気を読まない発言をしてきた。いや、こういう発言の方が場が和んでいいのだろうか。
「いやいや、年下もストライクゾーンなのは認めるけど今回は違うよ。つられちゃん」
「え、じゃあなんで?他の理由が皆目見当がつきませんよ」
「あ〜、みきちゃん。話してもいいかな?きっとこの人も力になってくれるから」
椅子に座ってる黒髪おさげの女の子の名前はみきというらしい。みきは東瀬の問いかけに2回小さく頷いて了承した。
「みきちゃんは虐めを受けてるんだ、同級生から」
「あー、じゃあさっきの治癒ってのは」
「いじめの怪我だよ。1番ひどかったのは足の爪全部剥がされてたのだな」
ドアの向こうから聞こえる間湯先輩の声は苦々しいものだった。
「足の爪か・・・それは辛いな。それで東瀬。俺たちが協力すると言っていたが具体的に何か案があるのか?見たところ中高生だろ。虐めが行われるのが学校でなら俺たちもその時間は学校だ。何もできない。まさか」
「そのまさかだよ。部活のルールには抵触してない」
『異界調査部』は一見、楽そうで楽しそうな部活と思われる。実際に部活紹介をした時の新入生の目がそれを物語っている。しかし、ある一つ。ある一つのルールが学校公認で存在しているため入部希望者が極端に少ない。
部活動紹介では、もちろんそのことを伏せて説明するのだが噂は一人歩きするもの。
「じゃ、部員全員。学校サボりますか」
読んでくださってありがとうございます!
第1章見返したら誤字ありました。
間湯→正 関湯→誤
第1章はかなりテンポ早めに書いてしまったので加筆する可能性が高いです。その時に修正します。
加筆したらまた後書きで報告いたします。




