1 マジで混じの異物
ここはどこにでもある普通の学校。
ただ一つ、他の学校と違う点を挙げるとするならば、それは特殊な部活があることだ。
俺はその部活に所属している高校2年の丹羽 蓮。今日は新入生に向けた部活動紹介の日である。
「1年のみんな!心奏高等学校への入学おめでとう!」
そんな生徒会長の呼びかけで部活動紹介は開始された。
この部活動紹介では各部活二人が登壇し、部活の説明に魅力などを交えつつ勧誘する。もちろん、こんな面倒な行事に積極的に参加したいと申し出るものは少なく、俺が所属する部活も例外ではない。
去年は現部長の咲羅先輩が自ら名乗りを上げてくれたため、あと一人決めれば良かったらしいのだが生憎今年は咲羅先輩は生徒会と重なってしまったので、どれだけ本人がやる気でも出ることは叶わない。
名乗りを上げる唯一のものがいなくなり、最終的に登壇者はジャン負けで決めることになった。
そして悲しいことに負けたのが俺というわけだ。
「おい丹羽。この部活動紹介ボイコットしないか?」
またそして隣からヒソヒソとバカみたいなことを提案してきたのがジャン負けの同士、同級生の東瀬だ。東瀬は2年の中では『バカだけど運動できるタイプの馬鹿』で有名である。なぜ運動部に入らなかったのか今でも疑問だ。
「する訳ないだろ。右前を見てみろ」
「ん?右前に何が、あっ」
壇上に立っている咲羅部長は険しい顔で東瀬の方をジーッと睨んでいた。
「やだな〜丹羽さんったら、いきなり何言いだすのかしら」
「オネエ口調で俺に擦りつけてくるな。あと」
もう一度、顎で咲良部長の方を指す。
「・・・サーセンした」
東瀬が静かになった。
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東瀬が静かになり二十分ほど経っただろうか。俺らの番は次に迫っっていた。
「俺らが壇上に上がるの初だよな?分かってたけど、やっぱし緊張するもんだな」
「そうだな、大勢の前に立つからな。」
「・・・」
東瀬の顔が緊張からか強張っている。何か気の利く言葉でも投げかけておくべきかと一瞬思案するが俺はあまりそういうのが得意ではない。
「全員の顔をカボチャとかだと思っとけ」
「いやそれするの幼稚園生までだろっ」
本来の意味で成功はしなかったが緊張がほぐれたようなら何よりだ。そしてそんな会話を生徒席から向かう途中にしているうちに壇上までついた。
マイクの前には園芸部の生徒、俺らとは正反対に女子二人が立っておりお辞儀をしていた。どうやら、ちょうど終わったところみたいだ。
「園芸部の活動紹介をこれで終わります。それでは次の活動紹介に移ります。」
進行が早いなと思いつつもマイクの前まで足を進める。
「しゃっ、緊張しててもどうにもならんし、いっちょかまして新入部員100人目指しますか!」
「そうだな、お前はさっきのことで部長に怒られるだろうし、帳消しにできるよう頑張れよ」
「おいおい、一気にやる気無くしたわ。これはもう新入部員0人だわ、どうすんだ」
「なんでだよ」
そんなことを話ながらマイクの前まで来た。目の前にはパイプ椅子に座った新入生がざっと200人おり、後半に差し掛かっているためか全員眠そうな目をしていた。
「うわ〜見てみろよ、部長から圧が」
そう言われ咲羅部長の方を見ると確かに圧を放っている。近くの一年がビビっているので早急にやめて欲しい。
ただ言ってしまえば感じるだけ。何にも動じずに淡々と事をこなせばいい。東瀬は問題あるようだが、こちらは問題はない。
「それではこれより『異界調査部』の紹介を始めさせていただきます」
聞き慣れない部活名を聞き、半数の新入生が眠そうな目を見開き興味を示した。そうして俺たち「異界調査部」の部活動紹介が始まった。
よろしくお願いしまぁぁぁぁぁす!