第4話 母と声と収録スタジオと
【業務日誌 西暦2025年4月4日】
名前:(天使 まこと)
<内容>
えろいえっちくん、家庭崩壊危機らしいてんし。
でもそれはむしろ萌え素材てんし!
双子声優が今日から正式参加てんし!
<所感>
母子間の確執、背徳感の宝庫。
新しい収録、えろすとドラマのバランスが命てんし♪
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ステータス更新
江呉依 英知:精神圧迫度:76% 母との距離感:激近
社長(天使まこと):新企画ブレインストーム中 背徳感レベル:105%
双子声優(姉・妹):出現フラグ成立 ボイス練度:未知
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午後。
ついにその時が来た。
「英知、ちゃんと話しなさい」
母の声が電話越しではなく、エンジェルソフトのロビーで響いた。
「ど、どうしてここに……」
「アンタの声、あれ……まぎれもなく本物だったわ」
母は静かに、しかし明確に言った。
「やりたいことがあるのはいい。でも、家族のことも考えて」
俺は黙って頷くしかなかった。
けれど、その後ろから社長がひょっこり顔を出した。
「お母様! もし良ければ、えろいえっちくんのシナリオ見ていくてんし?」
「……見るわけないでしょう!」
逃げ出す母の背を、俺は見送るしかなかった。
その日の午後、収録室に新しい空気が流れた。
「よろしくお願いしまーす!」
元気な声がスタジオに響く。
双子声優──姉の天乃つかさ(あまの・つかさ)、妹の天乃あすか(あまの・あすか)。
「うち、そういう“ロリロリしいの”得意やで~」
「お姉ちゃんは自分のこと“ロリ”って思いすぎ……」
いきなり繰り広げられる天然ボケとツッコミ。
「ではまず、えろいえっちくん原案のこのシーンてんし♪」
そう言って社長が差し出した台本。
──それは俺が提出した性癖記録から抜き出された一文だった。
(妹が、お兄ちゃんの部屋で、下着姿のまま『あたしって、まだ子供かな……?』)
「……これ、俺が書いたんじゃないです。たぶん」
「いいのよ、認めなくても♪」
双子がスタンバイに入る。
ブース越しのモニターに、妹キャラが映し出される。
……俺の性癖が、声になって具現化されていく。
その瞬間、スタジオの外から控えめなノック。
「……英知、もうちょっとだけ話せる?」
母の声だった。
【次回予告】
母、現場視察!?
性癖と育児の交差点で何が起こる?
双子の姉が放つ衝撃のアドリブに、全スタジオが凍りつく──!
次回、
『性癖は育てるものです』
母の理解と、妹のセリフと、俺の理性の限界!