第3話 エロゲ声優(仮)、家族バレの危機!
【業務日誌 西暦2025年4月3日】
名前:(海老原 鯖男)
<内容>
江呉依、初の収録ボイスが社内で高評価。
社長、次回作も視野に入れはじめる暴走状態。
彼の家庭環境に波紋が生じている模様。
<所感>
エロゲ業界、家族には不向き。
彼の表情にあったあの焦燥感──いずれ俺も通った道。
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ステータス更新
江呉依 英知:羞恥レベル:MAX 家庭崩壊率:38%
社長(天使まこと):企画生成数:3本/日 共感力:-12
海老原 鯖男:冷凍保存願望:上昇中
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翌朝。
俺は昨晩からのショックを引きずったまま出社した。
──母さんに、バレたかもしれない。
コンビニで偶然買った可能性もゼロじゃない。
でも、あのメモ書きの含み……絶対に気づいてる。
社内に入ると、昨日よりもざわついた空気が流れていた。
「おはようございます……」
俺の挨拶に反応したのは、声優スタッフの一人だけ。
「噂の“エロいえっち”くん、来たー!」
「そのあだ名、もうやめてくださいってば……」
「で、どうだった? 昨日の体験版」
「……家族に見られました」
スタッフ一同、絶句。
「……南無」
「でも、台詞が良かったって話題よ?」
嬉しくない。
そのとき、社長が事務所の奥から飛び出してきた。
「えろいえっちくん! 新企画ひらめいたてんし!」
「ちょ、朝イチからやめてくださいって……」
「『妹の前で喘ぎ声収録してみたADV』どうてんしか!? 自伝風にいけるてんし!」
「それもう俺の人生壊しに来てませんか!?」
とにかく今日は、母さんへの誤解を解く手段を考えないと。
俺の声を使った証拠……CD音声はまだ未収録、きっと……
そのとき、ポケットの中でスマホが震えた。
母さんからのメッセージ。
『声、間違いなくアンタだった。あとで話がある』
……終わった。
【次回予告】
家族バレ確定、逃げ場はなし。
母との対面で、語るべきか、誤魔化すべきか。
さらに、新たな双子声優が現場に登場──!?
次回、
『母と声と収録スタジオと』
家庭崩壊 or 更なる進化──その瀬戸際!