第2話 姉が俺をロリ扱いしてくるADV、開発スタート!?
【業務日誌 西暦2025年4月2日】
名前:(江呉依 英知)
<内容>
出社初日。
いきなり任されたのは、スクリプト修正とバグチェック。
渡された資料には、見覚えのあるタイトルが。
『姉が俺をロリ扱いしてくるADV』──えっ、俺の性癖!?
<所感>
社長の行動力、怖すぎる。
社内スタッフ、全員がどこか壊れている気がする。
エロゲ開発、想像以上に戦場。
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ステータス更新
江呉依 英知:精神混乱度 47% バグ疲労:中
社長(天使まこと):萌え暴走率:91% 納期感覚:ゼロ
海老原 鯖男:徹夜歴:72時間 会話数:3語
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出社初日。
夢にまで見たエロゲ制作会社の現場。
でも、現実は想像を超えていた。
「はいこれ、君に任せるてんし!」
出社して一時間後、社長が俺の机にドンと置いたファイル。
印刷されたタイトルに目が釘付けになる。
──『姉が俺をロリ扱いしてくるADV』
俺の口から漏れた性癖が、もう作品名になっていた。
「え、ちょっ……社長、これ……」
「えろいえっちくんの性癖、あまりに美味しかったてんし! だからもう動いてるてんし!」
「……企画って、そんな即決で?」
「情熱と締切が揃えば、なんでもいけるてんし♪」
ファイルをめくると、登場キャラの立ち絵案、仮シナリオ、ボイス収録スケジュール表──え、収録!?
「これ……もう声優さんにも台本渡してるんですか?」
「もちろんてんし! 昨日もう収録済みのとこあるてんし!」
「早すぎる……」
その後、海老原さんにスクリプト編集環境を教えてもらい、俺はひたすらバグと向き合うことに。
しかし。
「このフラグ飛び、どうして……」
「こっちのif文、変数定義されてない……?」
作業に没頭していると、不意に背後から声が。
「新入りくん、声、よかったよ」
振り返ると、社内スタッフの一人、声優担当の収録監督だった。
「……えっ? 声って……」
「テスト用ボイス、君が読んだやつで仮収録してたんだけどね。案外、そのままでもいけるって話になってて」
俺の頭が真っ白になった。
──まさか、あの収録……ほんとに使われるの?
その日の夜。
家に帰ると、リビングのテーブルに、見慣れないパッケージが置かれていた。
『姉が俺をロリ扱いしてくるADV・体験版』
「……え?」
そしてその横には、メモ書きが一枚。
『さっきコンビニで見かけた。アンタ、まさかこれ……? 母』
俺は、膝から崩れ落ちた。
【次回予告】
収録した音声が流出!?
母親にバレるのか、それとも……?
次回、
『エロゲ声優(仮)、家族バレの危機!』
理性崩壊、目前!