第11話 プロとして、語るということ
【業務日誌 西暦2025年4月11日】
名前:(天使 まこと)
<内容>
業界誌「エロス・クリエイト」より、えろいえっちくんにインタビュー依頼が届いたてんし!
人生初の“性癖プレゼン”、本人は死にかけてたてんし!
<所感>
インタビュアーの眼差しが、まるで性癖スキャン。
プロは言葉を選んで、なお尖るてんし♪
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ステータス更新
江呉依 英知:顔面蒼白率:87% 言語化能力:高騰中
編集者:共感度:想定外 次号表紙候補:検討中
社長(天使まこと):横で全肯定モード
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「というわけで、こちらが『エロス・クリエイト』の編集さんてんし~♪」
小柄で眼鏡の、でもどこか気迫ある女性が頭を下げる。
「はじめまして。今日は“新人クリエイターの本音特集”ということで……よろしくお願いします」
俺は背筋を伸ばしながら、深く頭を下げた。
「では早速、今回の作品、どんな思いで作られたんですか?」
「え、えっと……あの……妹が兄の布団に入ってくるっていうのがですね……」
「……はい」
「最初は背徳感と葛藤をテーマにしてまして……でも、最終的には“誰かを理解したい”っていう気持ちが……」
「すごくわかります」
優しい微笑み。
思ったよりも、真剣に聞いてくれてる。
社長が後ろから小声で言う。
「えろいえっちくん、もっと“愛”を語っていいてんし!」
「“愛”って、何の……?」
「性癖の中にあるやつてんし!」
……意味はわかるけど、言葉にはしにくい。
でも、俺は決意した。
「たとえば、妹キャラが“自分は子ども扱いされてる”ことに苛立ちながらも、心の奥で兄に甘えたがってる。その葛藤が、俺にはすごくリアルに感じられて……」
「“距離”を描きたかったんですね?」
「……はい」
インタビューは予定を大幅に超えて続いた。
最後に編集者が言った。
「……正直、こんなに真剣な話になるとは思いませんでした。ありがとうございます」
そして、満面の笑みで、こう言った。
「次回作、楽しみにしてます」
俺はその笑顔に、救われた気がした。
【次回予告】
業界認知は得た。
次は……修羅場!
納期、バグ、声優の限界収録!
ついにやってきた“制作の最終局面”!
次回、
『デバッグ地獄と72時間戦争』
正気を保て。いや、無理だ。