第1話:親の反対を押し切り、俺は「萌えの戦場」へ向かう
【業務日誌 西暦2025年4月1日】
名前:(海老原 魚男)
<内容>
本日、新卒の面接があるらしい。
名前は江呉依英知。
社長が性癖の話をすると息巻いている。
プログラマーの海老原鯖男も様子を伺っている。
<所感>
面接官は天使一人。
書類選考はパスしたようだが、果たして彼の性癖は社長のハートを掴めるのか。
社内はいつも通りの修羅場。
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ステータス更新
江呉依 英知:覚悟ゲージ 62% 常識保護膜:消失中
社長(天使まこと):性癖探知モード:起動中 萌え爆発率:78%
海老原 鯖男:感情出力:1% 自席固定率:99%
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『夢を追うなら、親の心臓はブチ抜け』
そんな過激な言葉を、かつてネットの掲示板で見た。
まさか、俺がそれを実践するとは。
──お父さん、お母さん。ごめん。
俺、エロゲクリエイターになる。
俺の名前は江呉依 英知、21歳。
つい先日、大手企業から内定をもらった。
でも、俺はその内定を辞退した。
理由は一つ。
「俺、エロゲが好きなんだ」
この一言がどうしても親には言えなかった。
だから、行動で示すしかなかった。
ある日、ネットの片隅で見つけた。
『エンジェルソフト 正社員募集』
内定辞退の連絡を済ませ、その足で面接会場へ向かった。
都心の雑居ビル。
蛍光灯の切れた室内、机の上は資料とゴミと締切の名残。
その場にいたのはフードをかぶった無言の男──海老原鯖男。
そして、突如現れたのが、金髪ツインテールの女社長・天使まこと。
「私がエンジェルソフトの社長、天使まことてんし!」
「江呉依英知です!」
「えろいえっち!? 名前で採用てんし!」
予想を超えたカオス。
さらに社長から浴びせられる質問──
「で、性癖、語れるてんし?」
動揺しながらも、俺は答えた。
「姉にロリ扱いされながらも、実は威厳を保ちたい兄……みたいなシチュが好きです」
社長の目が輝き、即決で採用が決まる。
そのまま「性癖記録用紙」まで書かされて、俺はこの業界に足を踏み入れた。
こうして、俺の人生は常識というレールから逸れた。
今日から、俺は“エロゲクリエイター見習い”。
萌えと性癖の戦場が、今、始まる。
【次回予告】
――ようやく掴んだ、夢の第一歩。
でも、俺が踏み込んだのは、夢の国なんかじゃなかった。
始業一発目に押しつけられたのは、未完成のスクリプトとバグだらけのデータ。
「これを明後日までに直せ? はい?」
しかも、俺の“性癖”を反映したシナリオが、もう勝手に実装されてる!?
さらに、どこからか漏れ出す収録音声の謎、そして――コンビニに並ぶはずのない商品が、なぜか我が家のテーブルに。
次回、
『姉が俺をロリ扱いしてくるADV、開発スタート!?』
性癖暴走、始まります。