もうひとつの視点
勇士は部屋をでた。
しかし部屋のまえで立ちすくんでいる。
「本当にこれでよかったのだろうか・・・」
そうつぶやくと勇士は歩き始めた。
12時のために、準備始めた。
勇士は少年のころに、両親を亡くしていた。
それは、勇士が10歳のころのことだ。
勇士もその昔1つの個体だった。
実験される日々だった。
しかし、それを知った両親は、勇士を連れて逃げた。
それでもつらい顔をしたら遊園地に連れて行き、悲しい顔したら水族館に連れてってくれた。
そんな生活が長く続くはずもなく車で三日逃げ続けた。
その時間も永遠にも感じた。
逃げ続けるつらさと、そんな状況でも自分を愛してくれる両親がうれしかった。
そしてアパートに追い詰められた。
しかし父は、母はあきらめなかった。
政府の人間を殴って父は言った。
「はやく逃げてくれ、はやく!!生きてくれ、俺の分までいきてぐれぇ」
父は、泣いていた。
「勇士こんな父さんを笑わないでくれ。母さんといっしょに生きてくれ。勇士は人を思いやれるひとになってくれ。
ごめん。最期に父さんに笑った顔を見せてくれ。」
勇士まだ小さく幼く恐怖で震えた口を精一杯よこに開いていった。
「お父さんごめん。わらえないよぉぉ、わらえ・ない・よぉ」
「いいんだ。いいんだ。父さんもう一回勇士の笑う顔を見るまで死なないから」
そういうと母さんと二人で勇士は逃げた。
車は使えなかった。使わなかった。
それでも走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った走った。
何キロも走った。
海についた。
母さんは捕まった。
「勇士。逃げて。父さんとの約束を守って。ちゃんとご飯たべて大きくなって、その姿を見せて」
ダァンダンダン
銃声だ
そして勇士は一人で逃げた。
一人で。
なにを思っただろう。なにを考えただろう。
捕まるとき無残だった。泣き叫び、死のうとも思った。
死のうとも。約束は守ってた。
その功績を称え実験は3年間にさせてもらった。
そのあとは、世話係になった。
「本当にこれでよかったのだろうか」
「本当に」
ちょっと重くなりましたね。