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1 異型な塔

続きですです

                    2

「終わった・・・帰るかな」


授業と言う拷問を終え、やっと放課後になった。広い学校の校庭にはもういち早く帰ってしまおうとする生徒だらけになっている。広い校庭は生徒で埋まり狭く感じた。体中がさっきまで寝ていた影響でギシギシとしなるのを感じる。

重い体を引きずりながら俺もその生徒達に紛れ校門をでる

学校の帰り道は綺麗なイチョウが見ることが出来る。

ここらのデートスポットってやつだよ。うん。確かに綺麗なんだけど・・・正直、なぁ。うるさいんだわ。カップルとかのイチャイチャした声っての?そんなのがウザったいし。いつもここを通るたびに聞こえる声がイライラする。

ほら。今日もその声が聞こえ・・・ん?


『うわあああああああああああああああああ!!?!』

『なにこれぇ?!いやぁ!いやぁぁぁぁぁああああ!?!!?!!』

『は、はやく離れよう?!早く!!』

俺の横を何人ものカップルが通り過ぎていく。全力疾走。ダッシュ。焦りと恐怖を滲ませた顔で、いけない物を見てしまったかの様に。まるで殺人鬼が人を殺すのを目撃してしまったかの様に。

それは・・・まるで・・・まるで・・・・悲鳴じゃないか?

嫌な予感を感じた。足が自然に速くなる。角を曲がればその悲鳴の聞こえた所だ。その角は先ほどの言ったイチョウの道である、イチョウが辺りに生え、色鮮やかな黄・赤の色を見せてくれる並木道。イチョウ並木はとても綺麗だ。角を曲がるまではそうおもったが・・・目の前に広がる赤の世界はとてもそう思えなかった。


「・・・・・・・・な、んだよ・・これ」


周りの悲鳴はなくなった。人が全員逃げたのだろう。俺はその赤い物を見てイヤな予感しかしなかった。鉄くさい臭いが鼻を痛めつける。

目をなぶりつけてくる。辛いなんて軽いコトバで終わらせるにはとても無理な現状だ。地獄絵図と言っても良いだろう。赤の世界。そこは鉄臭い血が飛び散った景色だった。

イチョウの黄色も赤に塗り替えられアスファルトも雑草も、土も血を吸い黒っぽく変色している。そしてその道のど真ん中でドンッと立っているものがある。それは常識では有り得ない物体だった。だがこの血の量からして、これはこの物体からの物としか思えない。その物体は・・・巨大な腕だった。

俺の身長ほどあるドデカイ腕が縦に置かれている。横幅も太く1mはある。そんな巨大な腕が関節辺りから斬られ、イチョウ並木のど真ん中に血で染まった状態で堂々と存在していた。斬られたであろう辺りから血がドバドバあふれており、今でもその腕はビクビクンッと跳ね回っている。

この血は、人間一人の血の量ではなかった。というより、人間の腕による血ではなかった。鉄の臭いと、その場の情景を見て吐き気を及ばせた。うぉ・・と口を押さえ尻餅をつく。

すると上の辺りからドーン!と建物が爆発したような爆音が聞こえる。あまりの爆音に耳を押さえながら上を見上げる。

そこからひとつの小さな影が降って来た。俺の目の前のイチョウの木の幹辺りにその影は落ちてきた。ッダーーン!という音と共に鮮血色のイチョウの赤く染まった葉が落ちてきた。根っ子さえも抉れて見えてしまうほどの衝撃が木の幹に襲ったのだ。なんだ・・?衝撃波でつい目を閉じた俺は目の前を見る。そこには・・・女がいた。血の雨が降り注ぐこの場を見越していたかの様に黄色の雨合羽を着た幼い顔。赤の掛かった髪が微かに見えている。その顔には微かにはにかんだ笑顔が浮かんでいる。それが斜め上の所から落ちてきて、、というより飛んで来て木の幹を利用して着地した。

「お。見られちゃったッすね。こりゃいけないっすわ」

幼い顔をした女が笑う。無邪気でかわいい顔だったが、俺はそんなのを見ちゃいなかった。見ていたのは・・そいつが持っていたアイスホッケーのスティックだ。雨合羽にアイススティックという状態に驚いたのではない。アイスホッケースティックにベッタリとついた“血”に目が奪われていた。

真っ赤な血だ。べっとりとした濃い血。ここいらに広がる赤とは度の違う赤。でかい腕にこびり付いた肉の血と同じ、それがアイスホッケースティックにべっとりと張り付いているのだ。よく見たらアイスホッケースティックには酷い色の肉が張り付いている。なんの肉かは判らない。その肉の薄皮にはまだ毛が張り付いているのだ。それを見た俺は理性を留めていられなかった。ただただ恐怖で体が強張った

なんだよなんだってんだよこのおんな何者だよくんなよ俺に近づくなよ話しかけんなよ

関わらないでくれよ。関わらないで・・・来るなぁ!!!


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


俺は絶叫する。ともかく絶叫した。喉が痛んでも絶叫を止めなかったし、涙が出てきても声を張ったままでいた、口の端が切れても口は大口開けたまま固定していた。それにポカーンとした顔で俺を見ている女。それでも俺は声を出し続けた。


「あ、あんのぉー。落ちついてぇ。ねぇってばさぁー、、」

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


手を差し出す女をみてさらに発狂する。尻餅付いたのも忘れて砂を足で掻く。両足を思い切り上げて思い切り地面に叩きつける。するとズダンッ!と音を立てて少年は浮き上がった。「お?君、それって・・・・」何か話しかけてきてた気がするが気のせいだ。気のせいであってくれ・・・!!!!

ドンッ!!!久しぶりの全力疾走をした。

スピード一瞬でトップスピードに乗る。その足は一回地面を蹴るだけで20m以上進んだ。ほぼ一歩一歩で空を跳んでいる様なものだ。今後一切本気を出さない様に心がけていた、過去の迫害を思い出すからだったが、正直そんなの関係ない。この場から逃げる為なら人の命でさえ刈り取る自信さえあった。それ程の恐怖が体中を縛り付けた。恐怖に縛られたままの体は空を闊歩するかの様に宙を駆ける。ほぼ空を飛びながらその場を移動する。T字路に出た。T字路の真ん中の看板には「パチンコ店はこっち→」とある。これが目印だ。

T字路の左側にでる。そこはビル密集地の上辺りにある。そしてその密集地へ・・・跳んだ。

跳ねたのだ。思い切りスピードを出しながら思い切り踏み込んで、地面を蹴ってビルのある位置まで跳んだ。それでも距離100m以上ある距離をギリギリで着地した。が、それでも止まってはいけない。失速してはいけない。ともかくあそこから離れなきゃいけない

足は止まらない。そのまま次のビルまで跳ぶ。そこも数十メートルある距離だったが軽がると飛び越えてさらに別のビルの上を跳ぶ。それを繰り返し、一気に数キロ程離れた位置に着地した。そこでやっと腰を下ろす。ひさしぶりの全力疾走で体力がなくなったのだ。


「こ、、ここまで・・・くれば・・・」


そこでやっと安心した。そして息を整える。ここも離れないといけない気がする。けどなんだろう。。考えてみたら、あいつは俺と同じだったのかもしれない。俺と同じ、普通とは違うナニカだったのかもしれない。けどあんなの見たらそんなの考えられるはずがない。

力が抜け腰を崩しかけた時、


「んー。そんなににげなくてもいいじゃないっすかぁ。おねえさん、もう辛いッすぅ」

「?!」


後方から聞き覚えのあるイヤな声がした。

思い切り前へ足をだす。一気にまた20m単位で飛び出した。そこで思い切りブレーキをかけて前を見る。先ほどの俺のいた後方の位置だ。だがそこには誰もいない。気のせいか・・・?油断を解きかけた瞬間に


「しかし、おにぃーさん。凄いっすね。一気に跳んでッちゃうんですもん、驚いちゃったすよぉ~」また後方から声がする。


「うぉあああああ!!」


殆ど反射神経で動き出していた。発狂しながら思い切り足で地面を横に蹴る。体の軸はずらさない。コマの要領だ。コマの様に回転をつけ、そして裏拳をしかける。


「ぉ、お?!」


向こうの上ずった声がする。何か影が見えたが髪の毛にかすっただけでダメージにもならない。髪の毛が手の甲に張り付いていたが、拳が止まるとその髪の毛は地面のひらひらと落ちる、落ちたと同時にその跳んでいた影は着地する。黄色の雨合羽は揺れる、雨合羽のフード部分から焦りの表情を浮かべた少女の顔。


「あ、アブブブッ!?ちょ、初対面のかわいい女の子の顔に裏拳とか何用っすか?!」


向こうは数m後ろの辺りに飛んでいた。やはり手には血で染まったアイスホッケースティック。スティックから血が滴るのを見て生唾を飲む。冷静さを留めるなど不可能だった。


(だ、だめだ、この女、、何処に行っても追い付かれる・・・!?逃げたら捕まる?!殺される?!)

生唾を飲みこむ。体の意識を奮い立たせようと自分の頬を両手で挟みこむ。

俺は動転していた意識を叩き起こす。しなければ、精神統一が行えない。あせっていては、殴りかかってもすぐ避けられてしまう。工夫をイメージ付けろ・・・。


「ま、まぁいきなり降って来たのはびっくりしたとおもうんす。すいませんでした。でも、ちょい話を・・・」

「う、、ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

殺られる前に・・・殺り返す!それしかねえよなぁ!!


「話を聞いて、、てぇえええええええええええ?!」拳を思い切り振り込んだ。それをスティックで弾かれて上側にある

コンクリをぶち抜いた。


「ちょちょちょっ?!おちつきましょうっていってんなにしてんすかーぁ!」

「ああああああああああああ!」


話なんて聞いていられない。今度は足払いを仕掛けるがこれも軽く跳ねられて避けられる。しかし跳ねてるということは動けないことを指す。空中を飛ぶ人間はいないのだ。そこを狙い拳を前に突き出す。当たった!!そう確信を持ちながら拳を振るうが、入った、という感触は感じられない。当たらなかった。俺の手首にホッケースティックの曲がり口が触れている。触れそうになった瞬間に合わせてスティックの曲がった部分を引っ掛けて拳を引き寄せ、それを使い体ごと、地面から引っこ抜かれた。腕に引っ掛けられたまま俺は地面に迫る、ホッケースティックの振りかぶる力が加わっている為地面に迫る早さは異常である。「話聞いてくださいって・・・いってんでしょって!」

そのまま俺は地面に落ちて・・・意識を暗転させた。


長くかいてみました。どんどんつづけてきまーす

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