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第7話ー③『戦士の覚悟』

 この地球にウォーグを追って来て、気付いた事がある。俺は間違いなく強くなったが、奴も少なからずパワーアップしていると。


 俺の強さは胸に収められたアメージングストーンの影響である事は疑いようがない。ストーンを手にしたあの時、俺は迷わず石を自分の胸に押し込んだ。まるでストーンの意志に導かれるかのように、何故だかそうしなくてはいけないように思えたのだ。そして、俺は変身出来るようになり、奴らと戦う力を得た。


 とはいえ、最初は少しばかり力が上がっただけで、まだウォーグに敵うものではなかった。その時変身した俺の全身は黒く染まっていた。


 力が飛躍的に伸びたのは、奴の謀略により仲間が惨殺されてからだ。あの時、俺は怒りに燃え、体内から力が溢れ出て来るのを感じた。そしてそれを解き放った時、全身も黒から銀色に変わったのだ。感情が力を増幅させる……これもやはりストーンの力なのだろう。


 不思議な感覚だった。あのウォーグの攻撃がスローモーションに見え、驚異的な威力のあったパンチも蚊に刺された程度にしか感じなくなった。そして、軽く繰り出した右の拳は、相手を吹っ飛ばした。とんでもない力を得たものだ。自分でも信じられないくらいのパワーだった。


 そしてここからは俺が優位に立った。ウォーグが繰り出す配下を次々に打ち倒し、奴自身が出て来ても、俺が優勢だった。ただ、さすがにウォーグは一筋縄ではいかない。奴自身、徐々に力を上げてきて、段々とこちらの余裕がなくなって来たのも事実だ。ストーンの力でパワーアップしたものの、これが限界なのか……


 いや、そうではないだろう。おそらく何らかのトリガーで俺の力はさらに上がる筈だ。それが何なのかはわからないが、きっかけを掴み、力を急上昇させられれば、その時こそウォーグを倒せるに違いない。


 何故、そのように思うか。上手くは言えないが、身体に眠る石の意志のようなものを感じるのだ。アメージングストーンはただのパワー増幅器の役割を果たすものではない。何か意志を持って存在している。まるで俺の中で生きているような……そう確信している。ウォーグの力が上がっていると感じる今となっては、次の爆発が起こる事に期待するしかない。


 いや、だが、あいつ……サコガワユウが戦力になるならば、話は別かも知れない。口には出さないが、あいつは俺に似ている。あれだけやられても決して諦めない信念は認めざるを得ないし、化ける可能性はある。サコガワが俺のバディとして戦えるレベルになれば……


 ただ、今のあいつでは本気のウォーグを前にして殺されるのがオチだ。仲間の二の舞、それだけは絶対に止めなくてはならない。俺が認める強さにならない限りはやはり厳しく接する他あるまい。


 そもそも地球の科学力であれ以上の力を得る事が可能なのか。あいつは無理をしてでも力を手に入れようとしそうだが、事と次第によってはそれも止めなくてはなるまい。無謀な戦いに挑む為に己れの身体を犠牲にするなど馬鹿げている。ウォーグと命のやり取りをするのは俺だけでいい。それ以上の犠牲は極力防がなくては。


 身体の中に眠る石が語り掛けてきている気がする。もっと力を解放しろ……と


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