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第7話ー②『父の嘆き』

 私のしてきた事が正しかったとは思わない。自分でもいつか報いを受ける気ではいる。しかし、優が戦士となって私の前に姿を現わしたのには驚いた。これも運命なのか……。


 優は私が幼い頃から鍛えてきた通り、確かに強くなっていた。おそらく鍛錬を重ねてきており、人間のレベルでは相当なものだろう。そして、私が教えた通りに「絶対に諦めない」信条を持ち続け、私に向かって来た。自分で開発したのだろうか、あの強化スーツも人間を超える力を備えた素晴らしいものだった。きっと父が敵となって現れた事に、少なからず衝撃を受けていただろうに……。立派になったものだ。


 私は確かに自分の探求欲に溺れた。ウォーグ様は私に未知の世界を見せてくれた。地球以外の惑星の環境、科学力、宇宙特異の人種など……それらに魅せられたのは間違いない。だが、その結果、妻や子を巻き込み、さらに無関係の人間まで被害に遭わせてしまった。これは許される事ではない。


 私は己の罪を償わなければならない。その為には手段を選んでいる余裕はない。そして、ついに巡り会えたカイゼル、奴の持つアメージングストーンを奪えば全てが解決する筈だ。先日、奴と対峙して、その力は実感出来た。単純な強さだけを言えば、ウォーグ様をも凌ぐであろう。その強さも原動力はアメージングストーンによるものだ。従って、私がストーンを奪えば、奴と同様の強さを発揮出来るに違いない。


 正面からぶつかり合っては分が悪いのは目に見えている。だから、私の開発したワープムーブで奴を倒す。いくら奴といえども、瞬間移動してくる相手を掴み切る事は出来まい。先日の邂逅でもそれは実感出来た。後は背後なりから奴を倒す術さえ用意すれば……


 こんな私を優は何と言うだろうか。卑怯者と罵るかも知れない。しかし、何と言われようとも私にはなすべき事がある。カイゼルが悪でないのはわかっているが、それでも奴を倒してアメージングストーンを奪うのは私の至上命題なのだ。


 事を成せば私は消える。それこそ、優に打ち倒されるのも良いかも知れない。奴は父を超え、悪を討つ。罪人である私に相応しい幕切れで、まさに本望ではないか。


 そして、好美……。私の言葉を受け入れてくれて自らを犠牲に……。夫として、いや、男として彼女には頭が上がらない。何と詫びようと済まされる事ではない。


 だが、今や私はウォーグ様の忠実なる僕、マインズなのだ。鉄の仮面を付けた時から迫川巧ではなくなっている。あの笑みを浮かべた鉄仮面は私の心と逆を示している。顔で笑って心で泣いて……



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