ランドセルの中の宇宙
僕は小学校に行くのが嫌になった。
いじめられているとか授業についていけないとか、そんなことはない。
ただ、みんなから凄いとか先生から偉いとか言われることに疲れた。
悪い子の僕は、ママにそう嘘をつく。
本当は将来の夢っていうテーマで作文を書かなきゃいけないことが嫌だ。
どうして、みんな成りたい姿が分かるんだろう?
昨日の宿題はしてある。
でも不安になって僕はランドセルを開いた。
するとランドセルの中には、お星さまが沢山落ちていた!
僕はお星さまを拾いたくて、ランドセルに手を入れたけど拾えない。
悔しくて、もっと手を伸ばしたら僕はランドセルの中に落っこちた。
沢山のお星さまの中を落ちていく。
キラキラして、お星さまは流れていく。
落ちて落ちて、どこまでも落ちていく。
やがて何処かに僕はぶつかった。
痛くないけど、ここはどこなんだろう?
あっちこっち見てみれば、そこにはウサギさんが立っていた。
慌てて捕まえようと走れば、いつもより速かった。
いつも、これくらい走れたら一番になれるのに。
ウサギさんが沢山いるところで、お団子食べて美味しかった。
お空に見た青い丸が凄くて、僕はウサギさんにアレは何って聞いたけど何も言わない。
僕は急に寂しくなった。
おうちに帰りたい。
きっとママに嘘ついたバチがあたっちゃったんだ。
どうしよう。
会いたい、会いたいよう、ママ。
僕は目を閉じて、泣いていた。
するとママの声が聞こえて僕はハッとする。
いつの間にか、僕は布団の中にいてママがのぞき込んでいた。
大丈夫?
僕は安心して泣いちゃった。
どうやら僕は熱が出て眠っていたみたい。
ママに嘘ついていなかった。
ホッとしたけど、あの冒険が嘘なのが悲しかった。
だから僕は見た夢をママに話して、お星さまが沢山ある場所を冒険してみたいと言ってみた。
困らせちゃうかなって思ったら、ママは教えてくれたんだ。
お星さまが沢山あるところは宇宙っていって、宇宙飛行士になれば宇宙に行けるって。
だから将来の夢は宇宙飛行士に決めたんだ。
作文にも将来の夢は宇宙飛行士って書いた。
でもね、熱を出してみた夢の事はママと僕だけの秘密だ。
だって寂しくてママに会いたくなったって言ったら、みんなから笑われるもん!
そんなの恥ずかしいじゃん!
あの後、僕はランドセルの中を見た。
僕のランドセルの中には、もう宇宙はなかった。




