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9話

 朝、正確には朝かは知らないが、目が覚めた。結果的には野営は成功したと思ってもいいんじゃないか。1回だけの試行回数で完全に安全だとは思わないけれども、1晩中魔物に襲われなかったんだから、結構な成功とみていいんじゃなかろうか。まあ、試行回数も何も、失敗してたら死んでるんだと思うけど。


 あれから昨日は、2層のマッピングをしてからすぐに野営の準備に入った。野営といっても、寝るための場所に行くだけなんだが。で、実際寝たら1晩中安全だったという訳だ。何処で寝たのか。俺は階段で寝たのだ。魔物は律儀にも階段にいる人間には襲い掛からなかったのだ。一応試しに、タゲられながら階段に駆け込んで追いかけてくるのかなんかを確認して、確信をもってはいたんだが成功して何よりだ。これで今後の野営の計画も立つというものだ。


 そんなこんなで数日経った。俺はまだダンジョンに潜ったままだ。今は6層目のマッピングを終えたところだ。6層目のバットもまあ、ただの蝙蝠だし、ライトニングを撃っておけば何も問題はなかった。ただ消費MPが100必要ってなだけで特に見どころも何もなかった。群れで出てこられたらどうなのかは分からないけど、今のところ単品でしか出てこないんだよなどの階層も。コボルトなんかだと、群れで来られた方が辛いと思うんだけど、そこのところは迷宮側がバランスとってるのかもしれない。


 あと、本当に偶にだが迷宮の深いところに潜っていっている人たちを見かけた。騎士を目指してアイアンゴーレム狩りを目標に行っている者たちと、もっと深いところを潜っているであろう騎士たちの2種類だ。騎士たちは明らかに装備が揃いすぎているから一目で解る。5,6人で正解のルートを通っていっているのを何度か見た。騎士ってどの階層を攻略しているのであろうか。気になるが、まあ、まずは俺自身がどこまで行けるかが問題だからな。


 そんな訳で、いざ7層目に。新しい階層に来た時にすることは、まず出入り口を記入してから少しだけ先に探索する。新しい敵がどの程度で倒せるのかを検証するところから始める。基準は1層前のバットが基準だ。7層はストーンゴーレム、バットよりどれだけMPが必要になるのかを計ってからでないと、安全が確保できないからこの辺りは入念にチェックする。…剣で倒してもいいんだけど、動いちゃうとマップがズレる恐れがあるからね。なるべく魔法で倒したい。おっ早速1体目のゴーレムが現れた。体格は人型150㎝って所かな。マッドゴーレムより大きいな。マッドゴーレムはなんで人型なのか解らないけれど。


「ライトニング」


 とりあえず、バットと同じ出力でライトニングを放つ。当然のように動いてこちらに向かってくるので、もう一度ライトニングを放つと紫の煙を残して消えていった。うーむ、やっぱり階層が深くなる毎にMP消費量が増えていくな。次は120位使ってみようか。と思ってライトニングを撃ってみたが140、160、200と増やしてみたが、何故か1撃で倒せない。何故だ⁉ と思っていたところに、鑑定を取っていたのをすっかりと忘れていた。ゴーレムを1度鑑定してみる。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ステータス

名前:

HP:120/120

MP:25/25

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 名前が無いのはいいけど、種族名なんかも無いのは若干不便だな。まあ、HPとMPが解れば十分だろう。で、ライトニングをMP100で撃った結果がこちら。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ステータス

名前:

HP:35/120

MP:25/25

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 うん、ちゃんとHPが減っている。そしてMP80でライトニングを撃った結果がこちら


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ステータス

名前:

HP:52/120

MP:25/25

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 うんうん、ちゃんとダメージが減っているな。じゃあ、MP200ならどうか。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ステータス

名前:

HP:35/120

MP:25/25

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 うん⁉ MP100の時と変わってない⁉ どういうことだ? 1撃のダメージに最大値があるのだろうか? …1撃の最大ダメージが決まっているなんてのはあり得ないだろう。それよりもライトニングの最大MP消費量が100が上限と言った方が良いかもしれない。これは面倒なことになってくるぞ。スキルのレベルは1度に扱うMPの量に関わってくる。これは回復魔法で魔力枯渇させる時に解ったことだ。


 レベルが上がれば扱うMP消費上限が増える。それと同じように、魔法によってMP上限が決まってしまっているのだろう。…そうなるとゴーレムを1撃で倒すにはライトニング以外で魔法を考えないといけないだろう。魔法に呪文や、固有名称のある世界ではない、レベルで魔法を覚えない弊害がここに現れているのではないか。1番簡単に扱えるようになるライトニングの限界、俺のオリジナルな魔法の限界。


 ここから考えなくてはならないのは、下の階層に行く毎に、MP100の威力のライトニングがダメージを与えられなくなるのではないかというのが1番まずい状況だろう。何度もライトニングを撃てばどの魔物も攻略できるという訳ではないと考えるのが普通だろう。今はまだいい。ライトニング2撃で倒せるのだから。ただ、速い相手だと何発もライトニングを撃ち込めるかという問題も出てくる。何はともあれ、新しく魔法を開発せねばならないだろう。


 7層をマッピングしながら魔法について考える。ライトニングの特性としては、発動のしやすさ、攻撃の速度が主な特性だろうと思う。これは、魔法の基本的な扱いと、雷の特性故の速さが基になっているのだと思う。次はここに威力を付ける事を考えないといけない。…RPGなんかから着想を得るならば、所謂ボール系、サンダーボールなんかがいいんじゃなかろうか。


 手のひらに雷をボール状になるように圧縮していく。…意外と難しい。まとめようとするんだが、あっという間に霧散してしまう。固定の魔法が無いことを若干恨みつつ、MPを無残に飛ばし、ストーンゴーレムが出ればライトニング2発でとりあえず処理することに。歯痒い、今まで順調に出来てきただけに、魔法が完成しないのがこんなに苦しくて悔しいのか。魔法について、詳しく本に載せてなかった女神様を若干恨みつつ、マッピングついでに練習するのだった。


 結局、7層のマッピングが終わるまでに魔法は完成しなかった。今まで順調だったのが、大きな壁にぶち当たった気分だ。女神様も、もう少し魔法に優しい世界にしてくれていれば良かったのに。…まあ、いまさら言っても仕方なし。出来ないということは無いだろうから練習するしかない。8層はヴィーゼルだったか。確か皮が美味しいドロップだったよな。ライトニングが通じないとなれば、引き返して魔法の練習をするしかないのだがどうなんだろうか。とりあえず、行ってみてから考えよう。まだ完全に通じなくなることは無いだろうし、最悪剣でどうにかすればいいだろう。…鉄の剣で通じないなら逃げるしかないが。


 そんな訳で、8層目。相も変わらず入り口だけは先に記載しておく。そして、ヴィーゼルを探して索敵や気配察知を使って反応がある方に歩く。…ストーンゴーレムよりも反応が小さい。ヴィーゼルは小さめの魔物なのか。反応を頼りに歩いていると、前方に見つけた。人の足、股関節までの足程の大きさのイタチを見つけた。ヴィーゼルってイタチなのか。イタチならイタチでいいじゃないか。見敵必殺。


「ライトニング」


 最大威力のライトニングを放つ。当然のごとく、1撃では沈んでくれない。って、速い! もう一度、ライトニングを放つ。すると紫の煙をあげつつ消えていった。2発で沈んでくれて良かったが、もう一発耐えられたら噛みつかれるかしていただろう。危なすぎる。やはり1撃で倒すための魔法を考えなくては。


 少し悩んだが、8層目もマッピングすることにした。2発ならまあ問題無かろう、という訳で剣からペンに持ち替えてマッピング。MPがどんどん減っていくが、階段で野営して1晩寝れさえすれば問題ないのだからガンガン行こう。MP1000切ったら階段に帰る準備をすれば大丈夫。最悪、ヴィーゼルなら剣でも何とかなるだろうし。でもこうなると盾が欲しくなるな。タワーシールドが個人的ベストアンサーなんだが、重そうなんだよなー。木のタワーシールドに鉄のコーティングで何とか誤魔化せないだろうか。


 マッピングの最中、早い段階で9層目に行く階段を見つけた。…これは先にテネルディアの威力偵察に行った方が良いかもしれない。8層目で帰るかどうかの判断も必要だし、先にやってしまおう。という訳で、9層目にお邪魔します。索敵と気配察知で一番近場のテネルディアを見つけて最大射程でライトニングを放つ。当然の如く1撃目を耐える。2撃目、3撃目、突進を剣で受け流し4撃目で何とか倒しきれた。…これはダメだ。8層までで帰りだな。


 この後一晩明かし、8層目の地図を完成させてから、久しぶりの地上に帰った。帰ったら受付にいた人に死亡扱いにされそうになっていたよ。解せぬ。


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