表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

7話

 再び迷宮の第1層にやってきた。ここからは魔法も解禁だ。MPもまだまだ9割方残っているし、全然余裕である。索敵や気配察知を全開にし、速足で進んでいく。前方にゴブリンの反応があった。さっきもそうだったが、基本的に1体ずつしか出ないのだろうか? まあ楽でいいが。目で見える場所まで来た。他に戦っている探索者の気配もなし。よし、


「ライトニング」


 右手を雷でバチバチとさせて、ゴブリンに向かって腕を振って放つ。こんなことしなくてもいいのだが、これをする方が指向性がついて狙いやすいのだ。雷なので多少は追尾するのだが、この方法の方が使いやすいというのがある。ズドンッと音をたてて放たれた雷が一瞬でゴブリンに命中し、黒い煙をあげつつ、紫の煙をたててゴブリンが消えた。一撃か…大体MP30位の感覚で放ったのだが、この程度でいいのか。


 2層への道を進んでいると、何組かの探索者が引き上げて行っていた。彼らも2層で猪狩りをしていたのだろうか。丁稚の子供が荷物を一生懸命運んでいる。これからの時間、もしかしたら2層が空いているのかもしれない。足取り軽く2層へと向かうのだった。




「ライトニング」


 2層でレックルボアに向かって魔法を放つ。そうするとゴブリンと同じように黒い煙をあげつつ紫の煙をたてて消える。この階層に来て何度も見た光景だ。詠唱や魔法名すら必要ないのだが、やっぱり声を出した方がなんとなくだが、魔法を使っているという感覚になる。魔法名も「サンダー」よりも「ライトニング」の方がかっこいいと思うから言っているだけだ。…実利をいうならば、魔法名を言った方が、一定のMPで撃ちやすいというのがあるのだ。決して中二病的な発想からだけではない。それもないとは決して言えないが。


 ドロップ品もなかなかに落ちてくれる。4時間程潜っているが、人がいなくなったからなのだろうか、レックルボアの湧きの数も結構な数になってくれている。倒して索敵、倒して索敵とサクサク殺っていく。もう午前の潜っていた時よりもドロップ品が多いほどだ。それほどにはレックルボアを狩っている。しかし、迷宮はいい。無くならない資源というのは魅惑の響きだ。この資源を有効活用しないのはもったいない。


 しかしながら、何よりももったいないのが、迷宮の地図が無いことだ。なんと受付で聞いたのだが、この迷宮に地図が無いと言われてしまった。これでは、探索者が頭で記憶した最短距離しか探索してないことになる。なんともったいない。前世では、ゲームのマップは全て埋めるタイプの俺からすれば、何たることかと思う。迷宮があるのに地図がない。必要不要の是非の問題ではない。無い方が気持ちが悪い。無いならどうする? 俺が作るしかない。剣よりもまず買うのは魔道具のペンだ。そして皮紙だ。こうして迷宮のマッピングを考えながらレックルボアを狩るのだった。


 迷宮から帰って来たのは、夕方を過ぎてもう夜になる頃だった。満杯になるまで詰め込まれた魔石と肉を担ぎながら探索者組合に帰って来た。受付で話をし、買い取り窓口にやってきた。俺のアイテム袋に詰め込まれていたドロップ品は、魔石19個、猪肉11個だ。〆てお値段14500デルである。午前の3人組の成果を余裕で超えていた。効率よくサクサクとやったおかげである。ほくほく顔で今日の宿屋に向かう。孤児院時代から情報を集めて、良心的な値段でマシな部屋を用意してくれるのが今から向かう宿屋だ。個室で、部屋には机があり、敷布団代わりの藁山に掛布団代わりの皮布がある。朝食付きで4000デルだ。個室にしては少々高いが、今日の稼ぎを考えると、これくらいで十分だ。しばらくこの部屋で厄介になる予定だ。3泊4日分の12000デルを支払ってきた。随時追加して延長していく予定だが。


 明日はまず、魔道具屋に行ってペンの値段を確認し、また2層目で金を稼ごう。階段が見つかったら3層目の方が効率が良いかもしれないな。誰もいないっぽいし。確かマッドゴーレムのドロップは500デルだったはずだから、2層で他の探索者とかち合うくらいなら3層を独占した方が効率良いだろうし。今日行っていない所に階段があるだろうから探しながら討伐していけば良いかな。そうと決まれば今日のところはしっかりと寝てしまって、また明日頑張ろう。あ、魔力はまだまだ伸ばす予定ではあるので、今日もまた使い切りますよ。


 朝、久しぶりにゆっくりと寝た気がする。敷布団がある生活がこんなに疲れを残さないとは。でも一応回復魔法をかけておく。どうせ使い切れない程に魔力があるのだから無駄にはならないし、何か病気にでもなったら問題だ。それに回復魔法をかけると気分が若干よくなる。気持ち的なものだが、気持ちは大事だ。そんな訳で、宿屋の1階部分にある食堂で朝ご飯を食べる。こちらの世界に来て初めてパンを見た気がする。…固い黒パンだけど、パンはパンだ。スープに浸しやわらかくして食べる。噛むといった行為をこうもまともにしたのは前世以来だろう。


 さて、食事を終えて魔道具屋にやってきた。昨日のうちに探索者組合に魔道具のペンが売っている魔道具屋を聞いておいた。値段については知らないということだったので、仕方なく確認に来たわけだ。探索者組合だけで済むならそれでよかったんだけどね。さてさて、ペンの魔道具はっと…。うーん30000デルかー。割といいお値段するな。2日位かかりそうだな。さてと、今日も迷宮に行くか。


 1層を順当に飛ばして2層にやってきた。索敵や気配察知を使っていると、結構な数の探索者が引っかかる。やっぱり早めに3層目に移行した方が良いなこれは。昨日は行っていない道を進み始めて1時間弱、3層目に続く階段を見つけた。戦闘も何回かこなしたが、何処にも探索者がいて獲物の取り合い状態だ。早速3層目に行ってみよう。獲物はマッドゴーレムらしいから魔法でさっくりと行くだろう。


 某国民的アニメをご存じの方には違和感があるかもしれないが、マッドゴーレムにも雷魔法は有効だった。じめんタイプにはでんきタイプが効かないなんて事はこの世界ではない。打ち消されたりなんてしないのだ。マッドゴーレムに魔法を撃ってみたところ、無事核を破壊できたらしく、一撃で倒せた。ただ、ゴブリンよりはMPを使った気がする。ゴブリンやレックルボアが30位だとすると、50位使った気がする。およそ倍だが、まあ、その程度だよな。それでドロップはレックルボア以下、戦闘回数をこなさないとな。


 およそ10時間程戦っていただろうか。索敵しては倒し、また索敵しては倒しを繰り返した。魔石も粘土もかなりの数確保したと思う。今回は貰った袋かばんに入れずに、最初からアイテムボックスのスキルを活用していた。ドロップ品も30個を超えた辺りから数えていない。それくらいはドロップしたんだ。3層目から4層目に繋がる階段も見つけたくらいにはがっつり探索しましたとも。そろそろ疲れてきたので、組合の方にさっさと帰って換金しよう。


 ということで、帰ってきました探索者組合。買い取りの人も大量の粘土が持ち込まれたので驚いていたが、粘土は鍛冶や陶器作りに使われるらしく、需要も満たせてないとかで有り難がられた。魔石が51個、猪肉が2個、粘土が63個という大量納品だ。〆て48400デル也。明日には魔力ペンが買えるぞやったー。うんまあ、200体くらい倒した関係で、MPが半分を切っている。あんなに余裕があったはずのMPが半分を切るとは…もっともっと増やさないといけないな。1日に増えるのは3か4なのでなかなか増えてはくれないのだ。自然回復もするにはするが、過信できるほどでもないのだから、絶対量を増やさないといけない。それよりもなんか2層よりドロップが良い気がした。気のせいなんだろうけど。あと、アイテムボックス持ちなのは確実にバレただろうな。


 帰りに魔道具屋を見ていくと、まだ開いていたため、魔力ペンと板と皮紙30枚程を買い込んでアイテムボックスに仕舞い込んだ。これで明日から1層から順にマッピングを行っていくぞ。誰のためでもなく自己満足なのだが、こればかりはやりたくて仕方がないのだ。マップを開いて1マス足りないもどかしさ、わかる人はわかってくれるはずだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ