5話
あれから1年が過ぎた。朝起きて朝ご飯を作り食べて、皆の分の洗濯をし、読み書き計算を夕飯までみっちりと教わる。そのあと、夕飯を作り食べて、剣の素振りをして寝る。ということを繰り返している。因みにこの世界では昼飯という文化は貴族にはあるが、平民では裕福な家庭でしかとらない。当然、孤児院でも昼飯は食べない。
読み書き計算はもうすでに出来るようになったのだが、余りにも早く覚えすぎたらしく、まだ年長の子たちがやっている仕事はさせてもらっていない。因みに孤児の仕事は、街の清掃であり、馬糞なんかも子供たちが回収していた。そしてその回収したゴミを魔道具に掛けて、燃料にし孤児院の運営に当てている。これのおかげで、街が清潔に保たれていたんだなと思った。
剣や魔法、その他の訓練も欠かしていない。雷魔法だけは使う場所が限られすぎて全然レベルが上がっていないが、剣術や回復魔法、索敵については順調に上がっている。中でも顕著なのが索敵で、おそらくその索敵からの派生で気配察知のスキルが生えた。
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ステータス
名前:トルステン
HP:33/33
MP:3683/3683
スキル
・剣術Lv16
・雷魔法Lv8
・回復魔法Lv32
・索敵Lv19
・気配察知Lv6
・鑑定
・アイテムボックス
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これが今のステータスだ。スキルが生えるとは考えてはいたが、こんなスキルが生えるとは思ってもみなかった。武器スキルかなんかかなと思っていたところにこれだったので、偶然ってあるものだなとは思った。
孤児院での生活は、これがまた少し、いやかなり面倒なことになっている。何しろ自分はアルビノなので、髪も肌も真白なのだ。これが子供達にも忌子扱いを受けるようになったのだ。髪の色なんて皆の色もカラフルなのに白というのが物珍しいのだろう。俺に話しかけてくることも最低限で済むように、まるで腫れ物に触るかのように扱うのだ。その所為で孤児院内の通達事項がたまに漏れたりするのだ。後で怒られるのは俺なのでたまったものではない。…まあこれのおかげで、余計な関りが無くなったのは良かったのだが。
後、したことといえば、探索者について調べたことくらいか。迷宮の情報を偶に来る先輩探索者に聞いていたのだが、10層までの情報しか解らなかった。 1層がゴブリン、2層がレックルボア、3層がマッドゴーレム、4層がコボルト、5層がワプス、6層がバット、7層がストーンゴーレム、8層がヴィーゼル、9層がテネルディア、10層がアイアンゴーレムと言うことが分かった。そして、殆どの探索者が2層までで生活していることも分かった。
なんでも、2層のドロップが良い物であるのもあるが、3層から6層までのドロップが渋いらしい。そして7層のストーンゴーレムで詰んでしまい、それ以降に潜ろうとするが出来ないとのことだ。8層と9層からは皮がとれるので需要があるのだが、10層のアイアンゴーレムでまた詰んでしまうとのこと。それ故、11層以下の情報が殆ど手に入らなかった。唯一手に入ったのが20層の情報で、なんでもミスリルゴーレムであるとのこと。しかしこれも眉唾の情報なので本当かどうかは潜ってみないことにはわからないのだが。今のこの町の探索者の実力では、20層なんて夢のまた夢なのだ。…こんなに探索者のレベルが低いのだろうか。正直今から心配になってきたな。それでも俺は探索者になることは決定事項なのだが。