16話
「おお雷帝よ、
抑えられない夜に
怒号の雷鳴響き渡る
春風と共に東から
青白い電轟かせ
何処までも続く闇の中
月下の道を歩みゆく」
吟遊詩人が唄う。今から200年ほど前、この地は魔物で溢れ返っていたという。スタンピードという大災害が起きたと言い伝えられている。今ではそれも見る影もなし。大きく繁栄したこの街は、文化の街と知られるものになっている。この吟遊詩人もそれを目指し来たのだろう。今も雷帝の詩を唄っている。
雷帝、200年前にスタンピードを押し返したとされる雷魔法の使い手。剣術の腕も相当だったと謡われている。一言で言ってしまえば、この街の英雄だ。雷帝が居なければ、またこの街はスタンピードに呑まれていただろうと。
「何処までも続く穴の中
真白な髪をはためかせ
瞬く間に敵を討つ
残影残る剣筋が
刹那を呪う電が
紫の煙漂わせ
進む先よ導いて」
雷帝は街に溢れ返る魔物を一蹴し、すぐさま迷宮へと潜っていったという。…ただ、この後の雷帝の姿を見たものは少ないと言われている。最初期に低い階層で見られていたという記録が残っているだけで、後は組合にも顔を見せたことが無かったという。その後、5年ぶりにふらりと組合に立ち寄ったと言われている雷帝は、150枚もあったとされる迷宮の地図と共に舞い戻ったと言われている。
…常人では考えられないが、5年もの間、迷宮の中にいたとされる雷帝は、150層全てを1人で踏破したと謡われている。何処からが本当の話なのかは解らない。多分誇張されている部分も多々あるだろう。しかし、雷帝が作成したとされる地図のおかげで、スタンピードにならず迷宮を攻略できているのもまた事実なのである。
そして、雷帝が5年ぶりに帰って来た時に、組合の受付で言った言葉があるという。それが、
「無限迷宮というから10年は潜るつもりで居たのに半分で帰ってこなきゃいけなかったじゃないか。」
と。
―fin―
私には俺tueeeは無理そう。
書くのって読むのと違って難しい。
次こそは長編書きたい。明日から上げます。
誤字報告ありがとうございます。




