烟り
烟りを吐き出している街を、夢の中で訪れたのです。
みるみる内に青白い不定形があたりを破壊して再生していく、あたりとは輪郭の集合体でしか無いことが、帰納的に解るとも言える街を僕の此れも形を失った脚が進んでいくのでした。
てのひらに月の映る水を掬う、例えば其の様なこと。
掴みとる方法は色々とあるものだ。
死ぬ様に生きてこそ、僕は僕であり得るだろう。
烟りはパステル。
烟りは肉体。
烟りは指。
指輪を纏う指の、指輪は烟り。
夢はすでに烟りであり、裏も表もない。
はっきりしない世界が好きだ。