そして蝉はなく
「な‥なんていう技なの!?相手の放ったエネルギーを吸いそのまま攻撃って、まるで邪神が使いそうな技じゃない!?」ユイはヒロが放った技に動揺が隠せなかった。
するとヒロは振り向き笑った。
「!?ヒロ‥あなた‥」ヒロの右の髪は半分白くなり、右目は青色になっていた。邪神の技を出すときの副作用なのか、ヒロは少し苦しそうな表情だった。
「ごめんな‥この通り邪神の技を使ってしまうと、少しづつ邪神化してしまうんだ。だからユイ。俺は戦う時は君とリンクがしたい。」ヒロがそう話すとユイは走り、ヒロを抱きしめた。
「リンクとか邪神とかじゃないの!!まずはヒロが生きて!元気に!目覚めたのが私は‥私は‥嬉しかったの!!!」
泣きながらユイはヒロの無事を喜んだ。
「そっか‥俺ユイに心配を‥ごめんな‥でも、これからは俺がずっと守るからな。」泣いているユイの頭を撫でながらヒロは、ユイを一生守ることを誓った。
その後ヒロは病院に戻り、検査入院をした。もちろんユイもヒロのそばに寄り添った。
「はい。大丈夫です。えーと‥目に異常なしと。それではヒロさんこれで今日の検査は以上になります。お疲れ様でした。」ヒロはお礼を言い、病室に戻った。
「今日の検査はこれで終わりね。どうだった?」病室に戻るとユイが出迎え、様子を聞いた。
「そうだね。とりあえず何もなかったよ。まぁでも本番は明日の血液検査とリンク検査なんだよな。今の俺に頑張れることはないが、真実を受け止めていくよ。あの時だって乗り越えたし。」ヒロは暴走したことを思い出し、真実を受け入れる覚悟をしていたのだ。
「そうね。きっと私達なら大丈夫よ。」ユイも笑顔で励ました。
夜まで時間があるけどどうするの?」ユイが聞くと
「そうだね。リハビリがてらに散歩にでも行こうっか。」ヒロがそう答えると右足を引き摺りながら病室を出た。
ヒロは邪神の力を使った時体力が戻ってないのにも関わらず大技を放ったため、その引き換えで、右足の筋力を少し奪われてしまった。
ユイが右肩を支えながらヒロはゆっくり歩き出した。
外に出ると日差しが強く暑かった。
「どうする?結構気温高いけど、いく?」
ユイが少し嫌な顔で聞くと。
「ごめんな。ちょっと外の空気でも吸いたいし、歩きたいから行こう。まさか暑いの苦手なの?」ヒロが少し小馬鹿にすると
「そうね。暑がりじゃなくて肌が焼けるのを気にしただけよ!」
ユイはムキになって答えた。
「ははは。それはすまなかった。ユイも一応女の子だしね。」ヒロがそう話すと
「何よ!一応って!さぁさぁ早く行きましょ!」
外に出ると蝉の鳴き声が響き渡った。病院の周りには草木が生え自然に囲まれていた。
「はぁ〜いい空気だ。蝉の声。風の音。なんだか心がリフレッシュするよ。」
そうヒロが話すとユイが暑そうにして答えた。
「ヘーそうなのね。私は蝉の声はうるさすぎて嫌いだわ。」
「え!?そうなの。俺は好きだなぁ。短い命であんなに元気に声を出しているんだよ。短い命が尊いが僕は必死に生にしがみつく蝉は、生き物の中でも結構好きだな。」
ヒロは蝉に対しての思いを語った。




