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5.ペットにご飯をあげてみましょう

雑誌とか本とかお菓子とかを買っていたら、2時間が経っていた。


ちょっとはめを外しすぎたな。まぁいいか。

部屋に戻ってくると、バラの香りがした。

…うん、獣のような匂いがしなくてよかったというべきか。

バラの香りのするティッシュ、尊敬するぞ。


「どうです?寂しくなかったでしょう。うさちゃんとねこちゃん居ましたし」

ぐったりとしたジルに話しかける。媚薬が抜けてきたのか、息は落ち着いている。精神的に落ち着いているかはわからないが。

「…」

うーん、さすがに苛めすぎたか。

「よく自分で処理できましたね。いい子いい子」

キっと睨まれた。逆効果だったか。


「…その話し方はやめろ。さっきのが素なのだろう?」

…確かに。さっき素で胸ぐら掴んでいたな。

「なんだ。もうしなくてもいいのか。じゃあ、いつものように話させてもらうよ」

ジルを素通りし、半分くらいになったティッシュ箱を横目に見ながら、奥のソファーに座る。

もちろん、さっき買った雑誌と一緒に。

ジルは懲りたのか、大人しくしている。


そういえば…。

「ジル、最後に食事を取ったのはいつだ?」

「…2日前」

やばい!ここに連れてきてから何も食べさせていない!?

大人しくしているのはぐったりとしているの間違いだったか!!

捕虜を餓死させたとなったら、さすがに怒られる。


「おいおい、さすがにそれは早く言ってくれ!!」

…うわっ外道を見るような目で睨まれた。

確かに私が悪いな。ちょっと反省。


ぐったりとしているジルに少しづつ水を飲ませてやる。

「え~と、我慢したご褒美だ。食べたい物を言ってくれ。すぐに作らせるから」

「…粥を」

確かに。絶食中の腹にすぐ食べ物を入れるのは悪いからな。

「少し待ってろ。すぐに用意させるから」


数十分後、ほかほかのお粥が届いた。軍では専属の料理人がいる。ここの料理はうまいと評判だ。彼も気に入るだろう。


と、ふーふーして食べさせようとしたら、彼から苦情がきた。

「…自分で食べられる」

確かに。手錠は鎖付きのものだから少しは自由が利く。自分で食べれるだろう。

だが…。


だが、それでは面白くない。


テーブルにお粥を置き、蓋をして冷めない様にする。

「なぁジル。ゲームをしないか?」

「…?」

怪訝そうにしている。

「簡単なゲームだ。ここに一枚のコインがある。お前はただ右の手か左の手を選ぶだけ。それだけのゲームだ。」

「…」

「コインの在り処をお前が当てれば自分で食べれる。外せば私が食べさせる。どうだ、簡単だろう?」

「…やろう」

拒否すれば酷い目にあうと思ったのか、意外と素直に乗ってきた。

ふふ。このゲームで私が負けたことはない。


後ろに手を持っていき、右手と左手をぐーで差し出す。

「ど~ちだ」

ジルは私の手元を見ていない。私の目を見ている。

…さすがだ。人間ものを隠すとき、無意識に目をかけてしまうことがある。コインがはみ出ていないかなどの不安によって。

さすが策略家。一筋縄ではいかないようだ。

「…右」

ほう、すぐに決めてきたな。そして視線は私の目からそらしていない。ちょっとつつくか。

「本当に右でいいのか?」

ニヤリ。彼は迷ったようだ。

普通、その言葉はコインが右手にあるから誤魔化すために発すると考えるだろう。

だが、ジルは私の意地の悪さを知っている。

そう考えて右手にあると私が思わせようした、と考えたはずだ。

だから裏の裏をかいて左にある――そう考えるはずだ。


「いや、左手に変えていいか?」

ほうら、やっぱり。

左手を開いてみせる。――無論コインはない。


「くっ」

悔しそうにするジル。だが約束は約束、と食べてもらえるようだ。

「はい、あ~ん」

恥ずかしそうにしながら食べさせてもらう美形。

ふふっこういうのもたまにはいいかもしれないな。


赤らめているジルには悪いが、このゲームで負けたことはない。

だって…。


――だってコインは両手共にないのだから。

『一枚のコインがある』とは言ったが『そのコインを片手に隠す』とは言っていない。

言葉でつつくのはあるように見せかけるためだ。

だから…だからコインの在り処について、『どっちにもない』と答えるのが正解だ。

無論、ばれたら怒られる手口だがな。

しかし、ばれたことはない。

だって、その後に誤魔化しちゃうんだも~ん。同じ相手には二度とやらないし。


屈辱そうにして恥ずかしさを誤魔化している相手には悪いが、やっぱりお前で遊ぶのは楽しいよ、ジル。


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