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2.ペットとの初対面、やさしく接しましょう

今日、シドネス将軍から荷物が届いた。可愛がってあげてね、と手紙つきで。従順な子にしてあげてね、と。


いや、私調教師じゃないから。そんなことしたこともないし。

勤続3年目といってもそんな経験ないですから。


まったく、なにが君なら出来るよだ。私はしがない女の子だぞ?

…失礼。21歳は女の子じゃないな。


そんなことを思っていると部下が声をかけた。

「レイニー様。お部屋に運んでおきましたぁ。結構良い子ですよ~。おとなしくしてましたし~」

…勤続3年。ほとんどの子が部下なんだ。21歳はまだ年増じゃないぞ。うん、たぶん。

「ねえ、レイニー様ぁ、今回の子、私に任せてもらえませんか?」

上目使いでマリアが聞いてくる。うん、可愛い。これが18歳の魅力か!!

じゃなくて。

「ごめん、マリア。今回のは特に手が掛かるようでね。シドネス将軍のところのメイドでも手も足も出なかったそうだ。」

「そうなんですか~?シドネス将軍の部下って優秀な方が多いので、意外です~」

「ああ、だからこそ選りすぐりの子が多いんだが……今回のは駄目だったらしい」

「うちって、いままで来た子いないじゃないですか~。初めての子でしょう?調教できたらうちの子になるんですか~?」

「ああ、多分な。シドネス将軍以前にも他のところをたらい回しにされたらしい。だから最後にここに来たんだ。じゃなきゃ引き取ってないよ」


「ゼルギウス将軍率いる第三軍初の子になるんですね!」

「ええ、だからちょっとがんばってみようかしら」


さて、準備をしてこようか。最初が肝心というからな。やさしく接して警戒心を解かなくてはいけないな。



…出来上がった自分にちょっとへこむ。マリアと同じ格好なのに、なんでこんなに貧相になるんだろう。やっぱり胸か。胸が関係するのか。マリアはふわふわなブロンドに大きな胸。メイド服の短いスカートがとても似合っていた。

私は似合わないな。…いや、女だから壊滅的に似合わないとかじゃないけど。うーん、仮装?いつもは別の服だから特にそう思うのか。

階級によって服装が変わるのだ。私がこの服を着ていたのは最初の年以来か。


そんなこんなと準備して部屋に行く。すれ違った部下達が私の格好に驚いていた。

…なんだ、失敬な!!21歳でもまだミニスカートははけるぞ!!


ガチャリ。


――扉をあけると美しい獣が転がっていた。


銀色の髪に紫の目。その瞳は射殺さんばかりにこちらを睨んでいる。

口に拘束具をはめ、両手足は後ろに縛られている。


年の頃は20歳中頃。長身痩躯の美しい男が転がっていた。


そう、最初に言っていたこの国の強さ。滅ぼした国の強い武将や兵を調教し、配下につける。

…配下につけば、この国の籍も得て出世も出来る。

滅ぼした国の王族は貴族として受け入れられる。反乱の恐れもあるが、それを踏まえた上で受け入れ、掌握している。王族を殺されなかった国民は怒りを表しにくい。今までの生活が維持されるので、変化といえば国のトップが替わるだけだ。

自身の生活に変化がなければ…国民は次第に新しい支配者を受け入れるようになる。

しかし…特に反感を示すのは敵国の軍人。国を守っていたプライドもあるので、その現状を容易には受け入れられない。だが――


いや、だからこそ調教される。恐れや快楽によって我が国を裏切れないようにするのだ。


シドネス将軍の率いる第二軍は最強といわれている。なぜなら、優秀な兵が多いからだ。

……多くの優秀な元捕虜達がいると言いかえても良い。

その秘訣は第二軍付きのメイド達。彼女達は快楽によって落としていく。

逃げないように、反逆を起こさないように。ゆるりゆるりと圧倒的な快楽によって――


ちなみに第三軍は敵の捕虜を受け入れたことはない。

まったく、第二軍の彼女達に出来なかったことが経験のないここで出来るはずがないのに。


そんな彼女達にさえ心を開かなかった綺麗な獣に興味がわく。


「はじめまして。私の名前はレイニーと申します。貴方のお世話をさせていただきます。どうぞ、よろしく」

にっこりと笑顔を作る。最初が肝心、やさしく接しなくては。

「――」

綺麗な顔が歪められる。「貴様によろしくされる覚えはない」という表情。


「いままでのメイドとは違います。どうぞ、安心してください」

たぶん、今までのは押しが強すぎたんだと思う。どんなに綺麗で可愛くても、押しが強すぎたら引くと思うし。鬱陶しく思うだろう。よし、私は一歩引いてみよう。


「――」

彼はちらりと私の胸を見て鼻をならす。「今度はお前みたいな貧乳か。来る女の質が下がったな」みたいな。

失敬な!!思わず、拳がでそうになった。

いけない、いけない。


彼の傍にしゃがみこむ。

「暴れないことをお約束していただけるのでしたら、口枷をはずしますよ」

彼は思案顔になった。そしてコクリと頷く。多分これは――。

ゆっくりと彼の頭に手を掛け、拘束具を緩める。

瞬間。

大きく開いた口が私の腕を噛もうとする。


それがわかっていたのでもう一度口枷をつける。

「んー!んーー!!」

無茶苦茶に暴れても手を緩めない。もう一度きつく締める。

まったく、先が読める獣だ。プライドは高いし、反撃のチャンスを逃さない。

「お約束しましたでしょう?でも、残念でしたね。舌を噛むのでしたら良いチャンスでしたのに」

この気高い獣はきっと、生と死なら死を選ぶ。

だが、たかだかメイド風情なら脱け出せると思ったのだろう。甘いな、私も伊達に3年も軍属していない。

まあ、舌を噛み切ろうとしてもすぐに首筋に手刀を入れて気絶させたがな。


「お約束も守っていただけないなんて、困りましたわ。今日は遅いのでそのままで過ごしていただくしかありませんね」

手を当てて困った振りをする。さすがに相手も焦ったようだ。

食事とかトイレとか?

まあいい。彼も立派な体躯の軍人だ。一日ぐらい絶食しても大丈夫だろう。…もう一つの方は彼に屈辱的な思いをしてもらうしかないかな?

まあ、もし明日来て粗相をしていたら後輩に押し付けよう。


「それでは、今日は帰りますわね。良い夢を」

焦る彼をそのままにして部屋を出る。

しまった。彼の名前を聞いていなかったな。まあ、後で将軍にでも聞いてみるか。


こうして美しい獣がうちのペットとなった。


そういえば昔友達に見せたら、この犬は何犬なの?と聞かれたことがありました。ごめんね。成人男性です。犬じゃなかったんだ…。これから酷い目にあう成人男性(美形)なんだ…

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