1.人からペットを貰う時には、最後まで責任を持って飼えるかを確認しましょう
初めて書いた小説です。10年も前に書いたために色々と拙いところがあります。
さて、困ったことになった。
ここはリグレス国の軍人宿舎。青で統一された第三軍の宿舎だ。
その応接間で、私は一枚の指令書を受けた。
先月行われた他国との戦争での後始末の一つだ。
ここリグレスは強国だ。大陸中指三本の内に入るほどの大国で、その強さは近隣に恐れられている。まあ、その強さの秘訣はこの指令の内容と深い関係があるのだが。
そんなリグレス国が負けるはずがない。小国アリレスはあっけなく潰されて、今ではリグレス国指揮下に入っている。
まったく、それもこれもうちの国王が戦好きだから!言ってもしかたのない文句を考える。言ったら不敬罪になるし。…考えるだけならタダだ。
今年に入ってもう三つの国を落としている。半年の間に。
国民として喜ぶべきことなのだろうが、それに関わる者としては迷惑極まりない。私は平和なのが好きなんだ!
ああ、国を変えれたら…と何度考えたことか。まあ、そんなことは無理なのだがな。
男も女も18才で徴兵されるこの国は脱国者を許さない。強国故に他国に情報が漏れる可能性を許さないのだ。
男性の場合はそのまま軍人として上がっていく。女性の場合、能力のある者は軍人になれるが、ほとんどは軍人の世話や戦場での後方救急などのサポートとなる。まあ、ぶっちゃけメイドみたいな?
男女とも三年で任期は終えるので、女性は軍職時代に出会った男性と結婚することが多い。
男性にとって生きること自体が難しいこの三年間は、女性にとって相手を探す良い機会となる。
もちろん、戦場に連れられて戦後の慰め者になる女性がいることも確かなので良いだけではない。私はそういった女性たちと顔を合わせる機会があったので特にそう思う。
戦死者が多いこの国では孤児が多い。孤児の女性が慰め者として連れられていくのだ。
さて、辛気臭い国の事情なんて聞きたくはないよな。
私はレイニー。こんな口調だが性別は女だ。今、目の前にある指令書に困惑している真っ最中の21歳だ。
「シドネス将軍。この指令書は…」
「ああ、レイニー。誰にも出来なくてね。困っていたんだ」
「他にもっと適任がいるでしょう。私のところまで回ってくる意味がわかりません」
「いや、私のところの綺麗どころで試したのだけどね、落ちなかったんだ」
「…なおさら私では無理じゃないでしょうか。綺麗じゃないし」
わけがわからない。なぜ私に回ってくるのだ。平凡な容貌、可愛いとも綺麗とも言われたことはない。彼氏もこの年までいないし。うう、へこむ。
「まあ、胸もないんだけどね~」
考えを読むな!将軍じゃなかったら殴っているところだ。…平凡な容貌のうえ貧乳。うう、泣ける。
「貧乳が良いという男もいるのだし、気にしなくてもいいよ」
「へえ、じゃあ今回は貧乳の私めへの指令でしょうか」
頬が引きつる。
「いや、貧乳でも可愛い子は試したんだよ。でも落ちなかった」
「……まさか、男性が好きなんじゃあ?」
そっちの趣味ならどうしようもないだろ。
「いやぁ、試したけど。食いちぎられそうになってね」
うわぁ痛い!じゃなくて試したのか。そして駄目だったのか。どこがとは死んでも聞きたくない。
「レイニー、君なら出来ると信じているよ。どうしても落として欲しいんだ」
「…私にできる保障もないでしょう」
「駄目もとみたいな?」
ほんと、将軍じゃなかったら殴りたい。
「わかりました、お受けします。そのかわり、今の指令をこなしている間は他の仕事はしなくてもよいですね?」
「ああ、助かったよレイニー!うちの子たちが自信消失して大変だったんだよ。引き取ってくれるなら安心だ」
はあ、とため息をつく。
「不詳レイニー。この指令お受けいたします」
まったく、面倒なペットを押し付けられたものだ。
投稿サイト閉鎖により読むことができなくなっていましたが、諸事情によりサルベージすることに………。