アニマル町での戦い
最恐、最狂、最強、3s<スリーエス>なアニマル町
ここは、天界、地上界、地獄、アニマル町、異世界、魔界。
6個存在する世界の一つ。アニマル町。
一つの町で一つの世界。ここは、最強の世界、アニマル町……
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突然地面が割れ、岩が宙を舞い、砂煙が立ち込める。
その中に人影が一つ。
「よーし、逃げ切れたぞ」
地面を割って現れた彼女は、アニマル町の村長、犬人族のアスカ。
轟音と共に再び地面が割れる。
「見つけた」
「チッ、完璧に逃げれたと思ったんだけどな!」
現れたのは小さい女の子、熊人族のパクト。
「完璧にって……メチャクチャ痕跡残しながら言われても……」
「それは言わないお約束ってやつだ。さてっと、逃げるか」
アスカが再び走り出す。空気が揺れ、音が遅れて聞こえてくる。
「待てっ、逃すか!」
パクトの周りに七色の球が現れる。
「行けっ、レインボーブレイカー!」
七色の球がアスカに向かって打ち出された!
「甘いっ、せい!」
アスカが右腕を振り、全ての球を弾き飛ばす。弾き飛ばされた球が着弾した直後、着弾点が大爆発した。
「甘々の甘ちゃんだ、例えるなら食後のデザートで食べるステーキよりも甘い」
「周りを巻き込むとヤバイからね、手加減したのよ。それに、本命はそっちじゃないわよ?」
止まっていたアスカの周りに光りが現れ、光の中から鎖が飛び出して来た。
鎖はアスカのことを捕らえたが、アスカによって一瞬で引き千切られてしまった。
「やっと近づけた」
その一瞬の間にパクトが間合いを詰め、アスカのことを、思いっきり叩いた。竜巻が発生したのと共に、響く轟音。
「あっ、ちきしょう」
そこから始まった壮絶な叩き合い。アスカが腕を振り、それをパクトが躱す。
それを力尽くで当て、逃げようとしたところを、パクトが背後から魔法を当て近づく。
今度はアスカがそれを躱し、また離れる。
そのような攻防戦が繰り広げられしばらくした頃、勝負が動いた、アスカが風圧による攻撃でパクトを遥か後方へと吹き飛ばし、ビルとビルの間を通り抜ける。ビルの窓ガラスを割りながら。
「まだ、付いて来れるか……なら少しペースアップしようかな」
アスカが走る速さをあげると、ビルが崩れ始め、時空が裂け始めた。
「あー、後でパクトに怒られるな。ハァ、まあいいか、だって真剣勝負だしな」
そうして全てが更地になった時、アニマル町全体にホイッスルの音が鳴り響いた。
「これにて!アニマル町町内運動会のデモンストレーション、アスちゃん対パクトの鬼ごっこ終了!勝者はアスちゃん!」
「よっしゃー!買ったー!村長として負けるわけには行けないからな。」
「……村長としての自覚があるんだったらさ、真剣勝負とはいえ町を破壊するのはやめようね?」
「悪かった悪かった」
この、地面が割れたり、ビルが無くなったり、時空が裂けたり、していたこの戦いは鬼ごっこだったのであった……
これが……アニマル町なのである……
ここまで読んでいただきありがとうござい