表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

引き付けるもの

今日がストッキングの日という事で、丁度執筆中だった次話のストッキングが出てくるシーンを先行投稿!

空気が、まるでセロハンテープを貼ったように止まる。

一定の距離を変えぬまま、二人は静止し、互いを見合う。

神社の静寂は保たれ、風に揺られる木々以外の音はしない。

目が合った以上は無視する訳にもいかなくなったが、しかし過去を思い出した時点で既に、まるで賢者の如く気が萎えていた綺凱は、「会って話す事がない」、「未練があると思われる危険がある」、「別れてから全く話していないから嫌われているのだろう」などと思考し、美紗と話す気が無いことを自分に言い聞かせている。

一方の美紗は、何となく振り向いた先に知人が、しかも元カレがいるとは思わず戸惑っていた。

さらに、彼の顔を見ることで過去の出来事が次々と湧き出るように思い出される。

付き合う前の波瀾万丈、付き合っているときの夢物語、別れてからの一方的な嫌がらせ行為。

今更ながら、何故嫌がらせをしていたのか分からず、正直、素直に謝れない感がある。

それ故に、この状況は好ましくない。

いっその事、一生謝らずに流してやろうとさえ思ったこともある。

成人式で出くわしたら気分次第で謝るかもしれない、という程度で考えていたのは事実だ。

それが、まだ高校生である内に出会うとは思わなかった。

美紗は脳内で必死にこの状況の打開策を巡らせていた。

どうすれば話し掛けずに終われるか、せめて過去の話題が出ないようにするにはどうすれば良いか。


しかし、二人の思い通りに行くことはなかった。

風が吹いた。

強い風だった。

今の季節が春であることと、この街が海沿いにあることが合間ったのだろう。

その風は力強く通り過ぎた。

美紗のスカートを巻き上げつつ。

スカートがなびく。

風に負けまいと必死で抵抗している様にも見えるその光景は、しかし生地の敗北によって終了した。

ストッキングで覆われた艶美な太股がゆっくりと姿を現してゆく。

スカートは風で持ち上げられることで盛り上がり、山陵にも似た曲線を描く。

しかし風圧を抑え切れなくなったそれは、まるでダムが決壊するときの様に勢い良く、その姿を尾根から谷へと変える。

裏返り、裾あげの跡が見え、そして裏地が姿を現した。

驚き、うっかり目線を下に下げると、そこにはストッキングで覆われた下着があった。

下着の色はストッキングが邪魔をして分かりにくいが、おそらく肌色だろう。

地肌との境目が分かり難い肌色の下着は、通常は何も感じないのだが、ストッキングを通して見ることで直接見る時とはまた別の色気が感じられる。

しかし、この至福と言える時間も直ぐに終わりを告げる。

風はすぐさま通り過ぎ、スカートを少しずつ下ろしてゆく。

まもなく下着は隠れ、裾は定位置に戻った。

一体何故こんなハプニングが起こってしまったのだろうか、二人はそんなことを考える余裕はなかった。

彼は、三次元に置いては初めて見る風パンチラに対してどう反応して良いか分からずに硬直している。

彼女に至っては、突然のハプニングに反応が間に合わずスカートを抑えることが出来なかった事と、下着を公共の場で晒してしまった事に対する羞恥心とで、軽く気絶していた。

何故こんな事になってしまったのか・・・

敗北の原因は、恐らくスカートにあった。

制服のスカートはプリーツスカートだった。

プリーツスカートとは、分かりやすい例を挙げるならばセーラー服だ。

そしてそれは風になびきやすい構造をしている。

小説やアニメなどに多用される所謂パンチラシーンを見ればお分かり頂けるだろうが、そのシーンで女の子が履いているのはプリーツスカートだ。

風が吹く、からのパンチラとなれば、女の子が履いているのは確定でプリーツスカートだと言って良いだろう。

そんなプリーツスカートを履いていたために起こったこの出来事は、結果的に二人の思惑を砕き、ぶち壊し、そして二人を再び引き寄せることとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ