第八話 驚きはいつも唐突に
遅れました!お久しぶりです、ろくみっつです!
レオプラ第八話、どうぞよろしくです!!!
「さて、では神装について説明しよう」
と、ロゼ姉は前置いた。
「まず、神装というのは、我らの崇める聖書の神が作り出した武装である。これは最初に説明してあるはずだ。そして神装は人間の血が流れる者にのみ現れる。ここまではいいな?」
「あぁ、一応はな。その神装って呼ばれる武器の中でも特別なものが俺が持ってる大罪神装なんだろ?」
「そうだ。では、それら以外の神装はどんなものかというと、これは基本的にどんなものでもあるといえる」
ロゼ姉の言葉に俺は眉をひそめた。
どんなものでもある。というある種雑な説明に何を言っているんだ。と思ってしまう。
だが、ロゼ姉はそれを見越していたようにフッとほほ笑む。
「すまない、言い方が悪かったな。どんなものでもある。というのは、神装はそれを宿す人間によって形も効果も変わってくるのだ。これも初めに言っておいただろう。千差万別の武装だ、とな。
あれは別に言葉遊びでそういう言い方をしたわけではなく、まさしくあらゆる形になってしまうからだ。
といっても一度発現してしまえば容易にその姿から変わるわけではないがな?」
という。
なるほど。形を一概にコレ、と表せないということらしい。
ならば、どのようなタイプなのかを調べる検査というのも意味がないのではないか?と聞くと
「いや、そんなことはないさ。詳細な部分が異なるために同一のものを見つけるのは難しいが、どういう方向性の効果なのかとかどういう形状なのか、というのを把握できないわけではないからな。
例えば、剣のような形状で炎を纏える。という神装で攻撃に向いているとか、杖のような形状で人の傷を癒す効果を持つので支援向きだ。とかそういう大まかなものだがな」
と説明された。
「ってことは、俺は神装のそういう方向性?とかを見てどういうことをやらせるのかを決めてるのか?」
「そういうことだ。神装はどんなものでもある。といったが、これは神装を保有した者の潜在的な意思によって方向性が決まるといわれている。」
「潜在的な意思……?」
「そうだ。例えば、誰かを守りたいと言う者には敵から人を守る力を発現しやすく、誰かを癒したいという者には傷を癒すための力が発現しやすい。という風にな」
「なるほど。っていうことは、俺の神装も俺の意思?によって決まるってことか……」
そういわれると考えてしまう。
自分の潜在的な意思とはどんなものだろうか。何を成したいのか……。
考えればふと思い返されるのは過去の記憶。
俺には何もできなかった、ただ逃げすしかなかったあの事件のことだ。
それを思い出せば、確信をもって言えることがあった。
「俺は、もう二度と家族を失いたくない。
だから、俺は家族を守れて、幸せにできて、傷付けることのない力が欲しい」
気づけばそれは自然と口にしていた。
ハッとしてロゼ姉の方を見る。
「そうか……。イースは、相変わらず優しいな」
そうロゼ姉は言ってくれた。少しばかり恥ずかしさが込み上げてきて。、視線をずらしてしまう。
「ふふ。そう照れるな。お前のそういうところは好ましい。
お前が心からそう思っているならば、神装も応えてくれるだろう。例え大罪神装であっても、人の感情や欲望、意思によって象られたものなのだからな」
「そうだと、いいんだけどな。……そういえば、大罪神装と神装の違いってのは神様が創ったかどうか、とか力が強いか。とかそれだけしかないのか?」
俺は気恥ずかしさを誤魔化すために話題を変える。
「いいや、それだけはないぞ。というか、それだけならばまだよかったんだがな。他にも厄介なモノがある」
「あるのか……。どういうのがあるんだ?」
「そうだな。大きいものでは二つだな。
まず、神装の持つ力が与える周囲への影響だ」
「周囲への影響……。それって孤児院で俺に言ってた、俺の大罪神装が悪魔を呼んだとかいうやつか?」
「あぁ、そうだ。ただの神装ならば周囲への影響はあまり大きくはないのだが、大罪神装は全く別物ではと思えるほど影響力が強い。
世界各地で起こる大きな事件や事故、それに自然災害の一部は大罪神装の保有者が遭遇した数々な異形との闘いの影響が原因だったことが幾つもある。
小さいことから大きいことまで大罪神装は周囲へ影響を与えてきた経歴のようなものがあるんだ」
「怖いな、それは……。俺に扱いきれるのか不安になってくるよ……」
「不安になるのは分かるが、しかししっかりと制御してもらわなければ困るぞ。
それに、もう一つの方が更に厄介だと感じる者も多い」
と、ロゼ姉は言う。
周囲への影響よりも厄介なモノがまだあるらしい。
俺は少し気後れしそうになるが、それでも自分の中にあるモノの事だ。しっかりと把握しておかなければいけない。
「それは、どういうものなんだ……?」
ロゼ姉は俺の問いに答えようと、口を開く。
だが、そこにタイミングが良いのか悪いのか、ゴンゴンゴンとドアがノックされる。
一旦話を中断しなければならないようだ。
「誰だ」
とロゼ姉が聞くと帰ってきたのはさっき別れたばかりのアウラさんの声だった。
「ロゼ先輩!お客さんっス!!開けても良いっスか?」
どうやら、ロゼ姉に来客があったようだ。多分案内をアウラさんが任されたのだろう。
「あぁ、問題ない。入ってもらえ」
「了解っス!てことでOK貰ったっスから、入ってください」
そうロゼ姉が答えると、ドアの向こうで少しだけ話声が聞こえてからドアが開かれる。
そこに居たのは、案内をしていたアウラさんと、一人の白金の髪の男性だった。
短いサラサラとしていそうな髪に、綺麗に光る翠の瞳。表情は柔和で、優しそうな雰囲気を纏っている。
青年というには少し年を重ねているように見えるが、それが寧ろ彼の全体的な印象を際立たせているようで、男の俺でも見惚れるほどだった。
「やぁ、ロゼ。任務お疲れ様。帰ってきたと聞いてちょっとだけ急いで来てみたんだけど、お邪魔したかな?」
彼はそう優しく微笑みながら言った。
親しそうな雰囲気を出しているし、どうやらロゼ姉と知り合いのようだ。
そして、ふと俺がロゼ姉の方を見ると、彼女は少しだけびっくりしたような顔をしていた。
「ミ、ミカエル様!なぜこのような場所へ……!というか、また後日にでもこちらから伺おうと思っていたのですが、いきなり過ぎませんか!?」
彼の名前はミカルというらしい。というか、ロゼ姉が敬語で話すっていうことは、ミカエルさん?は目上の人っていうことなんだろうか……?
と、俺が少し考えていると、ミカエルさんが俺の方を向いてこういった。
「彼が大罪神装の保有者かな?ふむ、無事任務を達成したようだ。中々に優秀だね、ロゼは。
さて、初めまして、私の名前はミカエル。天界勢力の熾天使が一人、天界をまとめるリーダーのような役割を担っている天使だ。
君の名前を聞いてもいいかい?」
天界勢力……は、ロゼ姉が所属する組織の大本で、セラフィムってのは、なんだろ。俺が知っている限りでは天使の中でも一番位の高い天使だったような……?
それに、天界の……リーダー!?てことは会社の社長さんとかそういう人!?
と、そこまで考えが至ったところで、返事を返さなければまずいと気づき、慌てて答えを返す。
「え、えぇと、イース・レリジンです。ロゼ姉……ルイーゼ姉さんとは、同じ孤児院の出身で、ええっと……」
「ふふふ。そこまで畏まらなくてもいいよ。
僕としてはアウラのようにフレンドリーに接してくれれば気が楽でいいからね。
そうか、君はロゼと同じ孤児院の出だったね。
いきなりのことで戸惑うことが多いかもしれないけど、何かあればロゼに聞けばいいよ。彼女はベテランだからね」
「あ、はい」
そこまで話したところで、ロゼ姉が驚きから脱したようで、少しわざとらしく咳をしながらミカエルさんへと問いかけた。
「それで、ミカエル様。今日はどのようなご用件で?
任務の達成の一報に合わせて後日そちらに向かわせていただくという旨はお知らせしたと思うのですが……?」
「いや、何。特に意味はないよ。ただ、早くこちら側へと来てくれた大罪神装の保有者がどんな人間なのかを見ておきたかっただけだ。
だから今日はこの辺で帰るよ。」
ミカエルさんはもう帰るらしい。
突然着て手早く要件を済ませて帰る。なんというか忙しい人だな。と思うが、まぁ天界の社長さんならしかたないし、むしろここまで来ているほうがおかしいのでは……。と思ってしまう。
「じゃあね、ロゼそれにイース君。もうまた数日後にイース君の神装を観る時に会おう」
そう言ってミカエルさんは立ち去った。
アウラさんもそれいついていく形で部屋を後にする。
「ふぅ……。いきなりだったな……」
と俺がため息をつくと、ロゼ姉は少し疲れたように同意する。
「そうだな。あの方は我々を驚かせるのが少しばかり好きでな。それ以外は優秀でお優しい方なのだが……。
まぁ、いい。今日はここまでにしておこう。もうそろそろ夕飯の時間だろう。お前の部屋ももう使えるはずだ。疲れはあまりないと思うが、休んでおけ」
そういわれ、時計を見ると、既に時間は六時を回っていた。
なので、言われたとおりに自分の部屋へと戻る。
そして、その廊下を歩いている間に気づいた。
「そういえば、まだもう一つの厄介な点っていうのを聞いてなかったな……。まぁ、いいか」
こうして俺の新たな拠点での一日が終わった。
いかがでしたか?
次回は念願の神装解放!?
さて、どうなることやら……
って感じです!
また来週お会いしましょう!
では、ノシ