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レオ・ザ・プライド  作者: ろくみっつ
1章:傲慢の目覚
19/26

第十九話 医務室で

お久しぶりです。

今回はちょっとした後始末回ですね、短いですがよろしくお願いします

 ダダダダッ!という誰かが廊下を走る音が聞こえる。

 その足音の主__イースは医務室と書かれた札のかかる部屋に飛び込むと開口一番にこう言った。


「ラファエルさん!!!助けて!!!」


 と。

 当のラファエルは眠気にウトウトとしながら懸命に書類を確認していてその叫び声としか聞こえない声に驚き覚醒したわけだが、それを気にすることなくイースは抱えているルイーゼをベットの傍まで運んでいく。


「な、なに?何かあったの!?」


「ロゼ姉が、ロゼ姉が俺を助けようとして……ッ!!」


 イースは今まで起こっていたことを詰まりながらも説明した。

 段々とラファエルの顔つきが真剣なモノに変化していき、ルイーゼの体を調べながらも回復させるための作業の準備をしていった。

 ベッドに寝かせたルイーゼの服を脱がし、下着姿にする。その後ラファエルが魔法を展開していく。

 ルイーゼの体の上にはルイーゼを覆うほどの大きさの魔法陣が展開し、ラファエルとルイーゼを取り囲むように大小さまざまな魔法陣が浮かんでいる。

 イースはその光景を邪魔にならないようにと部屋の隅で固まりながら見守るほかなかった。



「……。光の魔法自体は天使の体っていうのもあってあまり効力はなさそうだけど、全身の出血とか火傷がひどいわ……、これは最後に受けたっていう攻撃が原因かしら?それに傷の治りがあんまりよくないわね……いや、これくらいなら……」


 ラファエルが容態を的確に判断しながら様々な魔法をかけていく。淡い緑や青の光が明滅しながらルイーゼの体を包み込んでいく。

 よく見れば、ルイーゼの体はゆっくりとだが、修復されていくのが見えるだろう。


 そして、ものの数分で今まで浅かったルイーゼの呼吸が正常な範囲まで戻り、全身に在った酷い火傷も全て治ってしまった。


「あ、ありがとうございます、ほんとにありがとう、ございます」


 イースはそんな彼女の手を握りながらもラファエルに感謝を伝える。


「いいわよ。その子は大事な大事な仲間だもの。ただ、暫くはその子も眠ったままだと思うわ。なんたって結構な量の血を出しちゃってるからね。魔法じゃあ失った血とか体力は回復できないのよ。だから、目が合覚めるまではここで眠らせてあげておくから、あなたは自分の部屋に戻りなさい」


 ラファエルはそう伝えるが、イースは首を振った。自分は離れないとその目は語っていた。


「はぁ……。わかったわ、別にここで彼女が目を覚ますのを待っていてもいいけど、それならその汚い姿をどうにかしなさい。ここ、医務室よ?そんな血だらけでボロボロのままで居られても迷惑なのはわかるわね?だから、一回部屋に戻って着替えてらっしゃい、治療は今からするから」


 言いながらイースの体へと魔法をかけていく。ものの数分で完全に傷は治り、イースは急いで部屋に戻っていく。

 多分あの感じならば十分もかからずに戻ってくるだろう。


「それだけあの子はこの子が大事ってことかしら?愛されてるのねぇ……。

 っていうのは置いといて、このことは報告しなきゃ不味いわねぇ。でも、誰に言うべきかしら……」


 ラファエルは呟きながら考える。

 今回の一件はアリーゴ司教自らが率先しておこなったものではあるが、その後ろには自分と同じ大天使が関わっているのだろうと直感する。

 なぜなら、イースから聞いた話では頻りに大天使の名を出していたからだ。ならば、この件に関わっている奴には報告しても意味はないだろう。

 そして経験則から言えば十中八九こういうことはミカエルが関わっている。ガブリエルは何かあるなら直接行ってしまうほど素直な性格だし、ウリエルもなんだかんだ言って非情なヒトではない。考えられるのはミカエルだけなのだ。


「でも、ミカエルに言ったところであいつはのらりくらい言葉でかわすだけだしなぁ……。

 かといってガブリエルに伝えたらあの子たちを気に入ってるガブリエルの事だもの、後先考えずに殴るに行っちゃうでしょ?

 はぁ……ウリエルに伝えておくしかないわねぇ……」


 嘆息し、ウリエルへと通信をつなげるラファエル。直ぐに応答するウリエルにラファエルは事情を説明した。

 最初は呆れていたウリエルだが、段々と納得したような声を漏らすようになってきた。


『あぁ……。なるほどなぁ、わかったよ。一応俺の方からミカエルには注意しておくわ。

 ただ、あんまり俺も責められねぇよこれに関しては』


「どういうことなのかしら?」


『いや、あいつがそういう手に移ったっていうのは多分だけどイースに俺が天使化の札を渡したのが原因なんだわ』


「……?」


『あぁ~、つまりイースの方に死ぬリスクがあまりない状況且つ覚醒しやすい状況を作ってしまったってことだよ。俺が天使化の札を渡してなかったら多分こんな結果にはなってなかっただろうなぁ……。

 なんだかんだ言ってミカエルの奴も甘ちゃんだからな、もしイースが覚醒してなくてもどうにかする手段はあったんだと思うぜ』


「なるほどね。でも、だからってやっていいことと悪いことがあるわ。そんなの人間だってわかるでしょ?」


『まぁな。だから俺の方で注意しとくよ。あ、ただガブリエルには伝えるなよ?伝えたとしてもしっかり説明してやれ、あいつ脳筋だから簡単に説明しても殴り込まれるのがオチだからな』


「わかってるわよ。そのくらい。それじゃあ後は頼むわ」


『おう』


 通信を切り、もう一度嘆息するラファエル。

 その直後に着替えを済ませルイーゼの衣服を抱えて戻ってきたイースが入ってくる。


 イースは本気でここに居座るつもりらしい。服をラファエルに渡して椅子を準備して視界にルイーゼが収まる位置に設置している。


 イースはそのまま本当にルイーゼが起きるまで医務室に居たようだった。

いかがでしたか?

今回はここまで、次回からは二章に移りたいと思います。

設定集などはまだ公開しない予定ですので、そのまま二章スタートになります。

では、もうひと作品もよろしくお願いして、今回はこの辺で!ノシ

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