第十八話 Are you ready ?
お久しぶりです!!
今回は戦闘回です!といっても余りその部分に重きを置いてない感じはありますが……
とにかく、よろしくお願いします!!!
光が爆ぜ、辺りをまばゆく照らす。
アリーゴ司教は反射的に瞑った目を開ける。
すると、そこには一人の天使がいた。
真っ白な一対の猛禽の翼を動きを確かめるようにゆっくりと動かし、金色に輝く瞳をこちらへとまっすぐ向ける天使が。
「馬鹿な……。なぜ貴様が天使化している!?イース・レリジン!!!」
それは予想外で想定外で信じられない光景を目にした彼の精いっぱいの叫びだった。
イースはそれにゆっくりと答える。
「俺が大罪神装を制御するため、レグルスの出した試練を突破するため。
とかまぁあるけど、一番は……お前をぶん殴るため、かな?」
そう言ってイースは己の手を見る。
その両手には今までなかった深緑金の籠手が装着されていた。
深緑金の籠手は指先から肘までを完全に覆っていて、手の甲には大きな赤い宝玉がくっついている。
全体的に鋭く攻撃的なフォルムをしているところを見ると、防御のための籠手ではないのが分かる。
「これが俺の大罪神装ってことで良いんだよな?レグルス」
『そうだ。それがお前に合わせて形成された『傲慢なる獅子』だ。
使い方は……直接感じられるはずだ。俺が説明するより実際に使ってみたほうが早い』
「なるほど、さっきから俺の頭ん中がぐっちゃぐちゃなのはコレのせいか。いや、天使の能力に関しても色々入ってきてるな?頭が痛いぞ……」
『ふん、それくらい耐えろ。その程度で音を上げているようでは先が思いやられる……』
「とりあえず、頭の中に来る情報はあとで思い出す?としてまずはあの司教の顔面をボコボコにしてやんなきゃな」
そう言ってイースはもう一度強くアリーゴ司教を睨む。
睨まれたアリーゴは少しだけ後退し、杖を構える。
「なるほど、天使になり大罪神装を使える様になったのか?だが、それは本当に使いこなせたと言えるのか?不確定だ、だから私がここで貴様を断罪する」
捲し立てるようにそう言い。魔法陣を展開していく。
「知らねぇよ。アリーゴ司教、お前は俺の大切なものを傷つけた。俺が、俺だけが死ぬならまだよかったかもしれない。けど、俺の家族に手を出した。傷付けたんだ、あんたは。なら、俺が黙ってやられる筋はなくなった。
断罪だろうがなんだろうが勝手に言ってろ。俺は構わずお前を殴る。
それだけだッ!!!」
イースは吼え、飛び立つ。
天使の翼は、思った以上にうまく動くようだ。飛び立ってすぐにスピードを上げていく。
「ならば、ここで死ね!!!」
アリーゴが杖を振れば、瞬く間に十数の魔法が弾幕を形成する。
その弾幕を翼をはためかせながら、避けあるいは籠手で弾き飛ばしていくイース。
「さっきから同じ手ばっかりだな!!!もう見飽きたよ!!!」
急速に迫ってくるイースは余裕そうに叫ぶ。
「くぅ!これならばどうだ!?」
アリーゴは杖をイースに向ける。そして背後に大きな魔法陣が展開する。
そして、ビィィという音共にレーザーのような光がイースの方に発射される。イースを追うように照準を合わせ続ける光線は光のミサイルとでもいうべきなのだろうか。
「これは、避けてる場合じゃねぇな……。レグルス!籠手で弾けると思うか!?」
『さあな。お前の女を焼いた光の柱よりも威力は大きいとは思うが?』
「なるほど……。まぁ、やってみるだけやってみるか!」
イースは自分を追ってくる光線の方を向く。そして、翼を使い空中に停まり拳を引く。
「それじゃぁ一発!」
イースを追ってきた光線はそのまま目標を撃破せんと向かってくる。イースはタイミングを合わせるように
身体を後ろへと引き、そして……。
「オラァァッ!!!」
アッパーカット気味に放たれた拳は光線に直撃した。ジリィという焼けるような音と共に光線は真上に吹っ飛び、ドゥンという音と共に爆発する。
「ハッ。結構いけるな」
「なん、だと……」
イースは右手を振りながら余裕そうに笑みを浮かべ、アリーゴは驚きの余りに更に後退する。
「んで?そっちの攻撃は終わりか?」
『そのようだぞ。攻めるか?』
「当たり前だろ。こっから反撃だ」
余裕そうな笑みから獰猛な笑みへと表情を変えるイース。
漂うようにとどまっていた空中から翼を動かし加速する。
「てめぇには、返さなきゃならない借りがいっぱいあるからなァ!!!」
拳を構え突撃する。
アリーゴは驚きと恐怖で固まっていた身体をギリギリで反応させ、目の前に防御結界を張った。
だが、その防御結界はイースの突撃を止めることは叶わず、一瞬で破壊される。
「覚悟しやがれ!!!」
叫びながら勢いをそのままにアリーゴに殴り掛かる。
鈍く重い音が響く。と、同時に
『 Hit! countdown! ready? 』
という音声が籠手から響く。
「なんだ?」
とイースが呟くと同時に、理解する。先程大罪神装を初めて装備した時に流れ込んできた多くの情報の中の一つに、今の音声に関することがあったのだが、それを今改めて思い出したのだ。
「カウントダウンってのは、つまりもっと殴れってことか?」
と確認するように呟き、左の拳をアリーゴ目掛け振り下ろす。
その拳が命中すると同時にまた『 Hit!! 』と音が鳴る。
そして、レグルスがイースに声をかけた。
『そのままあと一発殴れば、技が派生する』
「なるほど、了解了解!!!」
右の拳をアリーゴに向け、殴る。
『 Hit!!! change! BoostRush!!! 』
レグルスの言った通りに、ヒットという音に続いて技の派生が出るようだ。
『ブーストラッシュ。まぁ簡単に言うと殴れば殴るだけ攻撃の威力が上がる。上限はあるが元の数倍なんて目じゃないくらいは威力が上がる。とはいえ今のお前の上限はせいぜい十発分ってところだろうな』
レグルスからの補足もあり、この派生がどういうモノなのかを理解する。
「んじゃ、殴ってればいいってことだろ?」
そう言い、イースは地面に足を付けてアリーゴに殴りかかる。
アリーゴは抵抗しようと結界を張ったり魔法を飛ばしたりするが、それらを全て途中で遮られるか殴り蹴散らさせる。
そして、アリーゴ自身に攻撃が当たればその度に籠手から『 Hit! 』の音が響く。
レグルスの言う通り、アリーゴに攻撃が入るたびに自分の拳の威力が上がっていくことを理解しながらイースは回数を重ねていく。
十発目の拳をアッパー気味に入れアリーゴが上に跳ねたところで、もう一度籠手から音声が鳴る。
『 Last Impact!!! 』
ラストということは、これで決めろということだろうか。
「まぁ丁度いいか!このまんま、決める!!!」
アリーゴが空中に漂う数秒の間。イースは体勢を最後の一撃を最大の威力で繰り出すために整えていく。
左足を前に右足を後ろへ、体を右へ向けるように拳を思いっきり下げる。
そして、体制が整えばあとは攻撃を出すだけだ。
足から腰、そして体へと力を伝えるように捻り、その勢いをすべて拳に乗せ放つ。
「うおおォォォ!!!」
落ちていくアリーゴの顔の真横を通り放たれた拳は、空気を打ち、振動させる。
バァンという、拳打の炸裂音ではなく拳銃の発砲音に近しい音が辺りに響き、アリーゴがドサリと地面に落ちる。
「ガヒュっ……」
地面に落ちた衝撃で肺の中の空気をすべて吐き出すように息を漏らすアリーゴ。
イースは構えをとてアリーゴの傍へと寄る。
「アリーゴ司教。これが俺の大罪神装の力だ。俺はコレを使いこなせているぞ」
そういうとアリーゴは途切れ途切れに答えた。
「なぜ……最後の一撃を外した。私が、憎いのだろう?貴様の、大事なモノを、傷付けた私が……。
なぜ、殺さない……」
「誰もあんたが憎いなんて言ってないでしょ。俺はあんたを殺すとも言ってない。ただあんたが俺の大事なモノを傷つけたから殴ってやるって言っただけだ」
「……。分からんな。自分が殺されかけ、大切な家族も殺されかけたというのに」
「もしあんたがロゼ姉を殺してたらあの拳はあんたに当ててたよ。でも、ロゼ姉はまだ死んでない。あんたに当てる必要性は、ないでしょ」
「…………。甘い、な」
「別に、甘くていいですよ。率先して人殺しをしたいからこの力を使おうとしたわけでも天使になったわけでもないですし」
「そうか……。ならばいい。だが、私を殺さなかったことを後悔するなよ。もし貴様が墜ちたと思えば、私は何度だってあらゆる手を使い貴様を殺す」
アリーゴはそう忠告し目を閉じた。もう話すことはないとでもいうように。
イースは翼をはためかせ、ルイーゼの元へと駆け寄る。
「ロゼ姉……ロゼ姉……」
身体を揺すり、呼びかけるがルイーゼはまだ目を開けない。
『傷が深い、流石に意識を飛ばしているだろう。今は早くこの部屋から治療のできる場所まで運ぶのが先だ』
見かねたようにレグルスがそう声をかける。
「……。分かった、そうしたほうがよさそうだな」
イースはルイーゼを背負い、コンソールに近づき、部屋の仕様を解除する。
そして、そのまま急いで部屋を飛び出た。
如何でしょうか?
なんというか、こうじゃないもっとこうしたい!っていう部分が多く残っているので、もしかしたら多少なりとも改編するかもしれません……。
あと、二つくらいこの作品に影響を与えている作品が浮かぶかもしれませんがそっと目を逸らしてくれると嬉しいなぁ……
なんて言いながら今回はここで終了です!
次回は一章の最終回になるかな?というところで、次回をご期待ください!!
では、ノシ