第十三話 特訓の状況です!
お久しぶりです!ろくみっつです!
今回は少しだけあっさりとしております!よろしくお願いします!
「遅い!イース、てめぇまだ速く走れんだろが!全力でやりやがれ!もう十本追加だ!」
「は、はい!」
早朝の川辺でキツめの怒号が飛び、息を切らせながらも返事をする。
まだ朝の七時くらいだと思うけど、俺ことイース・レリジンの特訓にそんなことは関係なかった。
トレーニングルームを見せられてから三日目の朝、俺はガブリエルさんと共に、件の部屋で早朝のメニューをこなしていた。
川辺の環境そのままに再現された広大な部屋で、今は全力百メートルダッシュを50本3セットで行っているところだ。この全力ダッシュ、少しでもタイムが落ちるとガブリエルさんから怒号が飛び、更には追加で十本ほど回数が追加されるため、少しも気が抜けない。
今も追加分の九本目で、少し気を抜いてしまったために追加が入った。
その追加を終わらせると十分ほど休憩。水を少し飲んで、あとはゆっくり歩きながら体を落ち着かせていく。
このあとは体を壊さないために少しだけストレッチを行った後に朝ご飯になる。
因みに、全力ダッシュの前は、朝の寝ぼけた体を起こすために筋トレと大幹トレーニングを行っている。
「イース。飯を食べたら八時半にまたここに集合だ」
ガブリエルさんは俺にそう伝えると、部屋から出ていく。彼女の部屋から出ると、川辺を再現していた部屋も元の白い部屋へと姿を戻していた。
「特訓開始からはや三日……。驚くくらいのペースで体力とかが上がってるのが実感できてるなぁ……」
ガブリエルさんが居なくなった部屋で俺は一人そうつぶやく。
俺がそう言うのには訳がある。というか少し考えたら分かることだ。
「流石に三日間筋力・大幹トレーニングと全力ダッシュと長距離走をやっただけなのに朝から全力百メートル百五十回とか無理だよなぁ……」
現実的に考えて、三日間普通の人間がソレをこなすだけでも可能かどうか首をかしげるレベルだと思う。メニュー全てに妥協を許されず、少しでも記録が落ちると延々とメニューを増やされるのだ。今までごく普通の一般人だった俺が常識的に考えて無理だと言わざる負えない。
だが、その無理を可能にするだけの非常識が俺の周りにはあるのだ。
例えばそれは、体中の傷やケガを数秒で完治させるモノだったり、筋肉痛を完全に治し、更には筋肉の成長を促すモノだったり、一日の疲れを一晩寝るだけで消し去るモノだったり……。まぁ、いわゆる魔法というやつだ。
一日目の特訓後は既に立ち上がるどころか身動ぎすることすらできないくらいには疲れていたはずなのに、それをモノの数秒で解消させてしまった魔法には、心底驚かされた。
「っと、そろそろ食堂に向かわないと朝飯食いそびれるな」
休憩を終え、俺もトレーニングルームから出て、食堂に向かう。
食堂には十数人のシスターとブラザーが食事をしている。朝早いのに、寝ぼけ眼の人は全くおらず、少しの談笑を交えながら和気あいあいと朝の食事を楽しんでいるようだ。
俺は、その中に見知った青い髪を見つけると、食事を乗せたトレーを持ち隣に座る。
「おはよう、ロゼ姉」
「あぁイースか、おはよう」
ロゼ姉はスープを運んでいたスプーンを止めて、俺に挨拶を返してくれる。
俺は主に感謝を。アーメンと短い食前の祈りを挙げ十字を切ってから食事を始める。
「イース。ここでの生活は慣れたか?」
「ん~、まぁまぁ慣れたかな?元々孤児院のころも生活リズム自体は同じような感じだったし、ここのブラザーたちも優しくしてくれるから」
「そうか、それは良かった。特訓の方はどうだ?結構ハードなメニューになっていると聞いているが、体を壊したりとかは……?」
「問題ないよ。ケガはほとんどしないし、してもすぐに治してくださるから。疲れの方はやってる最中とか日の終わりになると溜まってる感じはするけど、一晩寝たら完全に回復してるし。それもこれも魔法のおかげだよ」
「問題はないか。だが、あまり無理をしすぎるなよ?ガブリエル様はお前の限界を見極めてそのラインを攻めるようにメニューを組んでいらっしゃる。メニュー以上に運動をすれば体に悪い影響が出るかもしれん」
「うん、その辺もガブリエルさんに聞いてるから大丈夫。俺としてはもうちょっと本格的なことをしていきたいんだけどね……。とはいえ、まだ三日目だから、全然ガブリエルさんの要求する力はついてないし、地道に頑張ってみるよ」
と、そんな話をしながら食事をとっていく。
ロゼ姉は、しばらくすると食べ終えたようでまた昼にと言って食堂から出ていった。
俺はゆっくりと食事をしながら、少しだけ考える。
俺が特訓を初めて三日。今やっていることは基礎的な身体能力の向上を図るモノばかりだ。それらをこなしていくうちに、自分の力がどれだけ上がっていくのかは実感できているが、だからと言って焦りがないわけはない。
レグルスは二週間で試練をクリアしろと言っていた。二週間、それは長いようであっという間の時間だろう。毎日特訓をしても試練をふぉうクリアすればいいのかは分からない。ウリエルさんからの連絡がないということは、まだ試練がどういうものか判別がついてないのだろう。
「……あと一週間と四日……。俺のできることを精いっぱいやる。だけど、多分それだけじゃあだめなんだよな……。どうすればいいのやら」
そうつぶやき、ハッとする。時計を見てみれば時間は八時十五分。ガブリエルさんの言っていた集合時間は八時半。
俺はそのことに気付いて焦って席を立つ。
今日もこれから特訓が始まる。レグルスの試練をクリアするために、そしてクリアしたあとに俺がその力をしっかりと使いこなせるように、今は少しずつ着実に力を付けていくしかない。
如何だったでしょうか?
次回は三人称視点で物語を進めたいなぁ……と思っております!
ご期待ください!
では、今回はこの辺で
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ではノシ