孤独死寸前の老人と観測員のなんやかんや
さて、●と○の「この件における最後の仕事」とは何だったんでしょうか?
こんな仕事だったんです。
【とある場末の古ぼけたアパートで、一人の老人(以下老)が、せんべい布団の中で死にかけている】
老:あ゛~……もう…あかんわ~……
老:どうせ普通の風邪やろ思て甘く見とった~……
老:俺の一生って一体、なんやったんやろな~……こんなとこで一人寂しく孤独死なんて……昔は考えてもおらんかったわ……
老:そやけど…思い返してみたら一つ二つは面白い事もあったかな~……
老:……って、ソレがゲームだけっちゅうのはなんかミジメやけど……ってめちゃミジメやん!
老:はぐっ! ……あ~……深…淵…が……みえ~……るぅ~……
(いきなり老人にどこからか照明が当たり、空間が裂けて●と○、登場)
●:こんばんわ~♪
○:おじゃましま~す♪
●:って、あ、いかんっ! もうほとんどイキかけてるっ!
○:待ったっ! まだイクのは早いっ!
●:よいしょっ!
(●、老人の「魂の緒」を掴んでずぽ! と、そのまま体にくっつける)
(老人、痙攣してからいきなり目がカッ! と開く)
老:こ、こら~! オマエラなにすんねん!? 生かす気か~!?
●:お~、黄泉還った~
○:セーフ、セーフっ!
老:な、なんだアンタラわっ!? ヒトが折角涅槃に旅立とうとしてるのにっ!
●:はいこんばんわ~、わたくし、観測員その一と申します~
○:同じく、観測員その二と申します~
老:お、おい、ヒトの話聞けやこるぁ~!
●○:(ぜんぜん聞いてない)あなたは、『竜神ドラグネス』様でよろしいですね?
老:はァ? ……はいぃ? な、何その厨二病な名前? って……えっ!? あれっ!? それっ!? 何でそれ知っとんねんっオマエラ?
●:お迎えに上がりました『竜神ドラグネス』様。
○:『ドラゴニア』の民も貴方のお帰りを首を長くして待っておられますよ。
老:ちょ、ちょっと待ってちょっと待って説明プリイズっ!
●○:説明の前に……そおいっ!
老:のわっ!
(きゅっぽん! と今度は「魂の緒」を老人の体から引っこ抜く)
途端に老人の体がビックン! と痙攣して弛緩。
【後日、一部地方紙の片隅に小さく『老人の孤独死云々』って記事が出る事になる】
(続く)
言っときますけど孤独死寸前の老人にトドメ刺す仕事じゃないですよ。
老:電化製品のコードやあるまいし、魂の緒刺されたり抜かれたりってなんやねん?(ぶつぶつ……)